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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第4章‐混血の息子と死の雷‐
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2ndステージ27:混血

 俺たちは慎重に神殿の内部に入る。

 神殿内部は、装飾が美しく、何より雷の噴水が目の前にあった。

 そして、噴水の下には入口があった。

 正確には、入口らしきものが見える。

 しかし、噴水の雷が強すぎて、あまり近づくことができない。


「おそらくあそこから、祈りの間に行けるだろうけど……これじゃあねえ……」


 と言って、フルートは噴水の下を眺めている。


「アニオンの魔法で、どうにかできないかな?」


 と俺が、アニオンに聞くと、首を左右に振りながら


「もう試したけど、無理だった。おそらく、特別な加工がされているから、魔法で無理矢理進むのはダメね」


 と言う。

 じゃあ、どうやって進めばいいのだろうか……

 悩んでいると、ディルが突然声を上げる。


「きゃぁ!!!!!」


 俺たちは驚いて、その声の方へと向かうと、そこにはディルの入っていた人形が子供の虎獣人に食べられかけている光景だった。


「何をしている!」


 とグランが怒鳴ると、その子はびくっとして、人形をこちらに投げて、奥の方へと走り去っていった。

 その子の容姿を見た俺とディルとボル、そしてエンは驚いていた。

 その姿は、俺たちの仲間であるライの、幼児化した時の姿に瓜2つだったからだ。

 あの顔、あの目、あの服装……

 あれは……ライなのか?

 そう思いながら、俺はその子を追っていた。


「待って! 翔琉!」


 そういって俺を止めようとする、仲間の声を振り切って……



 奥にある部屋は、子供部屋と書いてあった。

 俺はその部屋の前へと立っている。


「ここにいるのかな?」


 と俺が息をのみ扉に手をかけた時、後ろから走って追いかけてきたボルとエンがいた。


「翔琉! 勝手に進むなよ!」

「ほんとだよ! なんか罠でもあったらどうするんよ!」


 2人はややキレ気味だったが、俺がこの後にすぐ謝ったため、どうにか許してもらうことができた。

 そして、話は戻る。


「んで? さっきの子は、ここにいるの?」


 エンは扉を見つめながら言う。

 俺が、おそらく……と言うと、エンは辺りを警戒する。


「ーーーー確認だけど、罠じゃないよね?」


 そういいながら辺りを気にするエンをよそに、俺はボルに


「他のみんなは?」


 と聞いていた。

 ボル曰く、みんなは噴水の前で待機しているとのことだ。

 噴水のある場所は神殿の入口であるので、もし敵が侵入した場合でも迎撃できるようにするためらしい。


「じゃあ、扉……開けるよ」


 そういって俺が扉を開けると、そこには先ほどの子供が木馬に乗って遊んでいる光景が目に入った。


「あ! 来てくれたの?」


 子供は俺たちに気付くなり、笑顔で言う。

 俺は子供に向かってこう言う。


「君は誰なんだい?」


 そう聞くと、子供はにやつきながら答える。


「僕の名前はジンライーーーー雷の大魔導士ライとーーーー天野翔琉って人との間にできた子供だよ♪」


目の前に突然現れた子供の虎の獣人、ジンライ。

この子は、俺とライの間にできた子供だというのだ。

は?

え?

どういうこと?


「ーーーーあのさ、ふざけるの止めてもらっていいかな?」


 と俺が言うと、その子は顔を膨れさせながら


「ふざけてなんかないよ! 僕は正真正銘、ライと天野翔琉の子供だよ!」


 いやいやいや……

 なんの冗談だ?

 おいおい、俺子供いないよ。

 これは完全に罠だな!


「よっし、これは罠だね」


 俺がボルの方を見ると、ボルはその子に近づいて、その子の匂いを嗅ぎ始めた。

 すると、突然驚いた顔をして


「いや! この匂いは……あながち嘘ではなさそうだ!」


 と大声で言う。

 ボルまでふざけはじめたら、俺泣いちゃうよ。

 困ったな……


「なあ……」


 と、エンがその子供に向かって声をかける。


「なんで、君は翔琉とライの子供だって言えるの? 君はいつ生まれたの?」


 そう聞くと、ジンライはにこりと笑って


「ーーーー僕の生まれは複雑なんだよ」


 と言って、ジンライは自身の生まれについて語りはじめた。

 小さいながら自分の出生について語れるとは……しっかりしている子だな……


「僕が生まれたのは、今から3日前。 

  この場所で生まれたんだ。

  生まれた時、パパは目が真っ黒になってたけど、もうすぐママ達がここに来るからって言って、姿を消したんだ。

 僕はそれ以来、パパにはあっていないけど、ママたちが来たら噴水の前まで一緒に来なさいって言ってた。

 でも、僕は何かのカプセルの中に入れられてた。

 そこにいれば、ママたちが来た時に開くから迎えに行ってあげなさいってパパが言ってたと思う。

 そして、さっきカプセルが開いてようやく外に出られたんだ。

 この部屋にある鏡を見てみたら、驚いちゃった。

 だって、もうこの姿に成長しているじゃないか。

 あのカプセルはどうやら、中にあるものの時間を進めてしまうものらしい

 そして、僕はそこで成長してしまった……って事だよ

 生まれた経緯について、まだ説明してなかったね。

 僕はどうやら、この世界の魔法って力によって生まれたみたいだ

 何でも、パパの血とママの血を混ぜて、強烈な雷を与えた結果、僕はできたんだって」


 その発言を受けて、ボルは驚きを隠せない。


「まさか……こんなことって……」


 その様子を見たエンは、ボルにその理由を聞く。

 するとボルは、固く閉ざしかけていた口を開ける。


「俺たちの種族は、子をなす時に2つの方法があるんだ……1つが人間たちと同様に、生殖行動をして子をなす場合。 そして、2つ目がこの子が言っていた方法。 別名:血之誓(ブラッドライフ)

 この方法は雷属性の巨大な力を持つ虎の獣人のみが行うことのできる、(いにしえ)の儀式。 普通の虎獣人にはできない手法なんだけど……」

「ライは、雷の大魔導士……雷属性のエキスパート。 なるほど……」


 そういってエンはボルの話に納得する。

 ちょっと待って、え?

 意味わからないんだけど。


「ごめん! ボル。 俺まだわかってないんだけど……どういうこと?」


 俺の顔は真顔になっていた。

 そして、それをみたボルが俺に言う。


「俺たち虎獣人の古の儀式によって生まれた生命。 つまりは、翔琉とライの正真正銘の子供ってことだよ」


 え?

 何言ってんの?

 え?

 この子が、俺とライの子供?


「えっと……どういうことかな?」


 と俺が目線を外そうとすると、ボルは俺のそむけている顔をぐいっとボルの方へ向けて


「……これが、現実だ……」


と言うのだった……。

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