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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第3章‐解き放たれた恐怖‐
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2ndステージ22:ひと時の安らぎ

 空中聖域ーーーーこの場所は、字から見ても分かる通り、空に存在する特殊な空間であるらしい。

かつて、神のために祈りをささげるためにこの場所は作られたと言われている。

 そして、神に悪しきものを近づけないために、この場所を守っていた3人の偉大な魔導士の1人がこの場所に強力な魔法をかけたという。

その魔法によって幾千の時をまたいでも、この地は決して悪しきものは足を踏み入れることができなかった。

その強力な結界を今回は初めて破られてしまったわけなのだが……そんなことは、この地にとってはなんてことはない。

特殊な効果で、すぐに結界は復活する。

神聖な儀式の場……

清浄で、正常な場所でなければならない。

それが、古くからこの場所にかけられた魔法である。

その上から、俺が零式光天神によって、強力な結界を重ね掛けしたので、ここは世界においても安全地帯である。

 さらに、先ほどの攻防によって、この辺一帯の黒い雲はきれいさっぱりなくなったので、この地は現在、この世界において、日が差す場所となったのである。

 そんなわけで、俺たちはここでひとまず、雷の大魔導士の神殿へ行く前に、休息をとることにした。

 それは、俺が戦っている最中に、ディル達に修行を受けていたアニオン達も同様である。

 俺とメイオウが戦っていた時間は30分程度だったのだが、事前にディルに“空間の時間を更に差を激しくする“ようにいっていたので、今あるあの空間は1分で10日分である。

 つまりは、300日分……あの中では、すでにすぎているという事である。

 と言うことは、俺の修行期間より少し長いためアニオン達はもちろんのこと、ディル達も更に強くなっていると言うことであろう。

と言うか、みんな、ディルのこの世とは思えない修行に、必死に耐えてるのかな?

俺は2度とごめんだ。

あんな、恐ろしい修行はーーーー



 外に出てきたアニオンたちは、ボロボロだった。

そして、辺りを見回している。

 色々走り回って、確かめたりもしたのだが、何もなかったようである。


「あれ? あいつは?」


 そうアニオンが聞くと、そばにいたボルが誇らしげに俺を指さして。


「翔瑠の圧勝さ」


 と言う。

その言葉に対して安心をしたようで、アニオンは思わず笑顔をこぼしている。

しかし、その言葉にやや疑問を感じた人がいた。


「翔琉……完全に倒したの?」


 と、真顔でフルートは俺に迫る。

 なんか、フルートが怖いキャラになりつつあるけど……

 俺は首を左右にふる。


「いいや……後少しのところで、逃げられた」


 そういうとフルートは、惜しかったわね、と慰めるかのように頭を撫でながら言う。

 なんか、心の中では舌打ちとかしてそうで怖いな……


「翔琉……どうやって勝ったの?」


 とエンが聞いてきたので、俺はこれまでの戦闘について語った。 もちろん、新魔法の零式の事もだ。

 するとエンは疑問に思ったことを俺に投げかけてきた。


「なんか、以前より神魔法が強くなってないか?」


 そういうと俺の中から、アマデウスが出てきて


 「その件については僕が説明してあげるね」


 と飛び回りながら言うのだった……


「翔瑠達は、先ほどの空間で約1年にもおよぶ修行を行った。 その結果僕の奪われていた魔力分は、修行で戻すことに成功して、更に強化する事ができた。 魔法の力って言うのは、時間がたてば元に戻るものなのさ……でもね、嬉しい誤算がここで生じた。 神魔法:光天神ーーーーつまりは僕自身の意志が完全に働いているときに、翔琉が神魔法を発動すると、今まで以上に力を発揮できることを発見した。 これまでは、翔琉が僕の存在を意識せずに、魔法を発動させていた。 でも、今は翔琉が(アマデウス)を認識して発動をするーーーーそうすると、光天神は更に強くなった。 これまで、他人に使われるがままであったけど、実際に共闘している形になると、普段より何倍もの力を発揮できる……それが、零式光天神であり、真の力を解放した、新たな状態とも言える……“


 説明が終わると、アマデウスは欠伸をしながら俺の中へと入って行った。

何気に、眠たいキャラを確立しかけているな……

お眠キャラだな。


「ーーーー次の目的地は、雷の大魔導士の神殿よね?」


 フルートは、眠そうに目元をこすりながら、俺に聞く。


「確かに、そうだけど……でも、みんな疲れてるよね?」


 と俺が聞くと、みんな頷く。


「じゃあ、明日にしますか?」


そう聞くとみんな再び頷いて、その場に座り込んでしまう。

やはり、疲れがたまっていたのだろう。


「はあ……疲れた……」


 霊体であるディルがどうやら一番疲れているようで、地面にだれている。

 そんなディルを見かねたフルートが


「ダメよ、ディルそんなところで寝ちゃあ。 今、家作るから……」


 といい、植物魔法によって、家を作った。

 メルヘンチックと言うよりかは、少女趣味的な、花で囲まれた家が完成したーーーーなんて、悪趣味……いやいや、いい趣味かな……(今、フルートが俺に向かってマジで、睨んでいます……)


「何か問題でもあるのかしら? ……天野翔琉君……」


 フルートが指をぽきぽきと音を鳴らす。

更に、フルネームで呼んだよね!?

 やめて!

 マジな脅し、やめて!


「いやいやいやいや、別に問題ないですよ。 世界で一番きれいな家なんじゃないかな?」


 と、完全にテンパりながら言う俺。

 そんな俺に対し、笑顔で言うフルート。


 「ーーーー問題ないならいいわ」


 いつ持ったのか分からない石をその辺に投げて、家の中にスキップでフルートは入って行った。

俺、あのままだったら、ぶちのめされていたのかな?

そう思うと膝の揺れと流れ出る汗が止まらなかった。

怖すぎる!



「結界もあることだし、安心して眠れるわね」


 そう言っていたアニオンは、すやすやと既にベッドの中で夢の世界へログインしている。

 フルートや、ディル、エンもよほど修行において体力を使い切ったようで、すぐに寝てしまった。

 グランも同様に寝てしまったのだが、いびきがとてつもなくうるさいため、彼だけ違う場所で寝ている。

 時々壁を蹴る音が聞こえるので、いびきに加えて寝相も悪いようである。

 みんなが寝静まっている中で、俺とボルは外にでていた。

 久々に見れる星空を見るために、ホットミルクの入ったマグカップを片手に空を見上げる。


「綺麗だね……」

「そうだな……」


 言葉にして表現するのが難しい位、壮大な景色であることは言うまでもなくーーーー加えて、この時期はどうやら、流星群が見られるようで、星々の雨が降っているようだった。


「ねぇ、ボル……」


 と俺が言うと、ボルは俺の方を向いて


「どうした?」


 と聞く。

そして俺は自分の手を合わせて、ボルに向かって笑みを見せて


「願い事しよっか」


 と言うのである。

 ボルは、願い事?と頭をかいていてどうやらピンと来ていない様子であった。


「流れ星が流れきる前に、三回お願い事をすると、その願いは叶うんだって」


 そう俺が説明すると、今上空に見える星々のように目が輝くボル。


「それ、本当か!」

「俺の世界ではね、昔からそういわれているんだよ」


 へえ~、とボルは急いで手を合わせて星を見る。

 そして、次に星が流れた時に、ものすごい速さで言う。


「翔琉と一生友達でいますように・翔琉と一生友達でいますように・翔琉と一生友達でいますように」


 嬉しいこと願ってくれるな~。

有難いな……

 そう思ってボルを見ていると再び流れ星を見つけて目を輝かせて言う。


「翔琉と間違いが起きますように・翔琉と間違いが起きます……」

「言わせないぞ!」


 そういって俺はボルの口元をふさぐ。


「もがっ! 何ふるんだ! 翔琉!」


 そういって俺の手を振りほどこうとするボルだったのだが、何故か突然ふさいでいた手を口の中に入れた。

中で舌を使って手を舐められている感覚がする。

 俺はぞわっとしたので、思わず手を引いてしまった。

 手が唾液まみれだよ……


「もう、ボルこそ何するんだよ……!」


 俺の方を見て、鼻をひくつかせて寄ってくるボル。


「翔琉から、俺の臭いがする♪」

「そりゃあ、今舐められたからな」


 ボルがそういいながら、舌で毛づくろいを始めた。

 といっても、自分の手をぺろぺろなめているだけだが、それが終えると、俺の元に再び寄って来てーーーー


「なあ、翔琉は願い事は無いのか?」


 そう聞いてきた。

 俺は少し悩んだ顔をして、そのボルの問いに答えた。


「そうだな……俺は―――」


 次に言った俺の言葉に、ボルは笑い、嬉しそうに星空を見上げるのであった……。

美しき、星々の中……夜は深まって行くのだった……

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