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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第3章‐解き放たれた恐怖‐
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2ndステージ20:神は見捨てなかった

絶望は降臨した。

畏怖を与える、この世の者とは思えぬ殺意。

そして、圧迫感が、空間を支配する。

怖い。

こんなに、怖いと思ったことは、これまであまり無かったかもしれない。

ふと、私ーーーーアニオンは、そんな事を考えていた。


「我の主の敵はその中の空間か……悪いが、天野翔琉と言うもの以外には用はない。 消えてもらおう……」


メイオウはそういうと、黒い炎を空中聖域に向けて放つ。

この攻撃に当たれば死ぬ……そう思うと、走馬灯が見えかけたが、メイオウの攻撃は当たらなかった。

空中聖域の強力な結界によって弾き飛ばされてしまう。


「ほう……なるほど。 その神域の魔法がいまだ健在であったとは……少し驚きだ。 しかしながら、今の我には主がいる……かつては破れなかった結界だが……今はこれがある!」


 そういうと、メイオウは黒い炎を全身から出す。

黒々強い炎の後ろには、悪魔のような翼が生える。

あの姿は……神魔法!?

 その光景に、私は再び絶望した。


「この姿は、神魔法:炎天神・地獄(ヘル)と言うものだ……これなら、その結界を破れる」


 そういって、メイオウが結界に触れると、結界はいとも簡単に破られてしまう。

音を立てて、割れる。

さながら、ガラスのように。

さながら、氷のように……。


「師匠……結界が‼」

「ええ……終わりよ、もう……」


 まだ死にたくない。

誰か。

誰か。

誰か、助けて。


 その瞬間、ディル達の空間が壊れた。

何事かと思い、振り返ると、ボル、フルート、ディル、グランが立っていた。

そして、少しばかり身長が伸び、好青年のような人物がいた。


「お待たせ、アニオン、エン」


と青年は言う。

あの青年はもしかして?

いや、絶対そうだ。


「遅いじゃないの……翔琉!」


 絶望で押しつぶされた私の心に、希望の光が差し込んだ。

 それは、光属性の魔法を扱い、私の恋した少年の姿であるーーーー

涙が止まらなかった。



ーーーー天野翔琉……つまり俺なのだが、先ほどまで修行のためにとある空間にいた。

 その空間では、外での1分が空間内では1日と言う、桁外れな時間間隔になっている。

俺がその空間にいたのは4時間と30分。

単純計算で270日間、つまりは半年以上その中で修業していたことになる。

 そんなわけで、中学1年生だった俺の身体は成長期を迎えてしまったので一気に10cm近く伸びて、現在は170cmほどある。

 まあ、身長の事はどうでもいい。

 今目の前にいる敵に集中することにしよう。

 目の前の敵……すなわちは、メイオウと呼ばれるまがまがしい姿をしている奴の事である。


「よし、じゃあみんな! ここは俺に任せてくれ。 ディル達はアニオンとエンに修業をしてパワーアップさせてあげてくれ、念のためにボルは残ってくれよな」


 そういうと、全員が各自行動を開始した。

え?

ちょっと、待ってよ。

そう思ったアニオンは、ディル達に向かって言う。


「ちょっと、ディル、フルート、グラン! 翔琉一人でやらせていいの?」


 そういうアニオンと、きょとんとしているエンに対して、3人はこういった。


「「「大丈夫!」」」


 その言葉に何故だか信用性と強い信頼を感じたアニオン。

神魔法を扱うチートモンスターに、果たして勝てるのだろうか?

翔琉……気を付けて。

と、言わんばかりの顔をしているアニオンに、俺はにこりと微笑んだ。

そしてアニオンは、俺を見つめつつ空間の中へと消えていったーーーー


「我がいる前で、堂々とよくもまあ修業だのなんだの好き放題いえるな貴様……」


 メイオウは俺に対して、殺意を飛ばしてくる。

 しかし、俺は臆することなく、言う。


「うん。 だって、守れるし」


 その発言がメイオウにとっては気に入らないであろうが、この挑発に対してメイオウは落ち着いた様子で俺に指をさし


「まあ、いい。貴様が我が主からの指令にあった、天野翔琉だな?」


 そういって俺をにらみつける。

 俺は更に奴を挑発しようとして


「だったら?」


 そういって、指をメイオウの真似をしてさす。


「貴様を、我が主に差し出す」

「嫌だね。 絶対に行かないよ」

「別に貴様の同意など聞いていない。 我は任務を遂行するのみだ! 抵抗する場合は、殺しても構わないらしいからな……さっきのように、いたぶってやろう」


そういってメイオウは俺に向かって襲い掛かってきた。

ここじゃあ、ディル達やボルも巻き添えをくらってしまう。

そう思った俺はメイオウをこの場所から遠ざけるため、急いでこの場から離れた。


「逃すか!」


 とメイオウが後ろから追ってくる。

ボルは飛んでいく2人を見つめているのであった。



この辺でいいだろう。

と思い、俺は止まる。

勿論、空中だ。


「どうした? 逃げないのか?」


 メイオウが俺に対して、挑発をしてきた。

 しかしながら、俺も奴を挑発する。


「馬鹿かよお前……」


 俺のこの発言に対して、メイオウは特に何も言わずに黙って俺の方をにらみつけている。

そして、俺はこういう。


「じゃあ、お前を倒させてもらいますね」


 そういって、神魔法:光天神を発動させる。

前の未完成版とはもはや違う姿だ。

背中に生えた翼は、すべてを包み込む美しく翼。

完全版の神魔法とは、また違う形である。


「なんだ、貴様! その姿は?!」


そういう、メイオウに対して、俺は目を見据えて言うのだ。


「神魔法:零式光天神(ぜろしきこうてんしん)……発動」

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