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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第1章‐7人の大魔導士‐
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1stステージ6:突然の好意

 夕食直後、ディルは魔法で食器などの洗い物を自動で行っている。

 なるほど、日常生活においてもこうやって魔法を使えば、非常に便利であるな。

 そしてライはお腹がいっぱいになったようで、近くのソファーでどかりと座り込んで、お腹をさすって


「満腹、満腹♪」


 と言っている。

 何だか、行動が可愛いが、見た目が筋肉質のこわもての虎さんという事が、少し残念な気もするが、まあそれは言わないでおこう。

 そして、ディルがこちらに来て、空いている椅子に座って


「じゃあ、話を始めましょうか。 えっとまずは――――」


 と俺の話を始めた。

 天野翔琉のこれまでの人生、この世界に来たプロセス、そして【オールドア】の事と、神魔法を覚えていることなどなど、大まかに話をしてくれた。

 流石は特権を持つ者――――俺の過去をここまで知っているなんて……

 と、少し怖いと思ってしまった自分がいた。

 まさか他人に自分の人生を端から端まで知る人物がこの世にいたとは、個人情報留出も大概なものである――――


「なるほどな……大変だったな! 翔琉」


 ライは泣きながら俺を抱きしめた。

 まさに男泣きである。

 人情に厚い人(虎)なんだな……

 だけど、ちょっと苦しいかな、甲冑とかムキムキの筋肉とかにゴリゴリと身体の骨が当たっていて、痛い―――毛はモフモフしていて気持ちいいけど。


「で? ディル? これからどうするんだ?」


 ライは俺を膝に座らせて話す。

 まるで子供のような格好である。

 親戚のオジサンが、子供の頃によくやっていた事であるが、まさか中学1年生の160cmを超えた青年がやられるとは、驚きである。

 ディルはそんな事をよそに、話を進める。


「そうね、オールドアに行きたいけど……そのためには……」

「そうだな……」


 とライとディルはうなずいた。

 二人はそのまま黙って考え込んでしまった。

 なんだ? 何があるんだ?


「どうしたの?」


 と俺はライに尋ねた。

 するとライが重苦しそうな表情で答えた。


「オールドアに行くためには、7人の大魔導士全員の力を借りる必要があるんだ。 オールドアは決して交わることの無い異世界へと唯一行けるゲートだから、俺たちで封印を施しておいたんだ。 万が一、悪しき者や異世界へと干渉を行う輩が現れた時の最終防衛としてな―――」


 とライはディルの方を見る。

 そして彼女はライからバトンタッチしたように、続けて語り始める。


「そして炎・水・雷・闇・氷・風・地の大魔導士のうち今所在が分かっているのが炎・水・雷だけなのよ。 残りの大魔導士は現在行方不明。 この意味が分かる?今オールドアに行っても、強力な封印がオールドアを塞いでしまっているから、翔琉――――あなたは現在、元の世界へ戻ることが出来ない、という事なの」


 何故そんな重要な説明をディルは先ほどしてくれなかったのだろうか?

 と言うか、オールドアへと向かう、と俺が言いだした時に教えてくれればよかったのに。

 気を使ってくれたのかな?

 あの時の俺は明らかに焦っていた。

 不安もいっぱいだったし、何より怖かった。

 訳も分からない世界へと突然来てしまって、見たことの無い魔物やら魔法やらを見ていて、いつもの平常心を欠いていた。

 そんな状態で危険な場所に行くなど、無謀な挑戦にもほどがある――――


「じゃあ……どうすれば……」


 俺は暗い表情になっていた――――絶望感に苛まれていたからだ。

 そんな俺を、見かねたライが解決策を提案をしてきた。


「まず重要な事は、7人の大魔導士を全員揃える事が重要だ。

 俺らにじゃなきゃ、あの封印を解くことは出来ないんだし。

 そのためには、全員の行方を知っていそうな大魔導士から片っ端から訪ねて、行くしかねえ。 って事は、人探しの名人にして、世界最高峰の治癒魔法の使い手である、水の大魔導士リュウから訪ねた方が得策じゃねえかな? これから全員を集めるためには、険しい旅になるかも知れないんだし、治癒の使い手はいた方が安全だろう。 何よりリュウは、人を探すのが得意だし――――」


 と言った。するとディルは、やや気難しい顔をしながらも、なるほど……と言い


「確かに彼女なら、人探しの魔法はお手の物だけど、ん~まあ、取りあえず行ってみるか。 どうせ全員の力を借りなきゃいけないんだし」


 と言う、やや曖昧な返答をした。

 少し気になる言い方だったのは気になるが―――

 ライは大きな声で元気よく


「大丈夫! 俺とディルがついているさ!」


 と言いまた身体を寄せてきた。

 事あるごとにべたべたと触る、体育系の男子にある行動なのだろうか?

 流石にいい加減うざくなってきたのだが――――それよりも俺は、虎の生態について前々から疑問に思っていたことがあったので、それを実際にやってみることにした。

 それは虎の首元をかいてみて猫みたいにゴロゴロと声を出すのか―――という事である。

 一般に猫はゴロゴロっと音を鳴らして気持ちよさそうにするのだが、ネコ科の動物、つまりは虎やライオンなども、同様にゴロゴロと言う風に猫なで声を、果たして出すのかどうか、という事が前々から気になっていたのだ。

 ましてや元の世界へと帰ったら、虎の獣人なんてそうそう出会えるものじゃない(と言うか、出会えないだろう)

 だから、思いで作りと言うか、いい経験になると思ったのでやってみることにしたのだ。

 すると、違った意味で裏切られた。

 確かに猫なで声をしたのだが――――身体が縮んでいき最終的には5歳児くらいの身長と容姿になった。

 来ていた甲冑も同様に身体に合わせて小さくなった。

 便利な、服だな―――――と感心していたが、なんで小さくなったの?


「もう、翔琉。やめろ。くすぐったいじゃないか!」


 ライは俺の足元をひっかいてきた。

 正直言おう――――かわいい。

 なんだこの可愛さは……ぬいぐるみレベルだぞ!

 可愛かったので抱っこしてみた。

 毛皮がもふもふしてて気持ちいい‼これは病みつきになりそうなほどの、手触り感‼すごいぞこれは‼


「ちょ、翔琉~何してるんだ♪ おろせよ~♪ こちょばしいだろ~♪」


 と言い、嬉しそうに、じたばた暴れた―――やべえ、かわいい。

 さっきまでいた筋肉質のこわもての虎さんが、こんなにも可愛い子猫みたいな状態になるなんて、世の中は不思議な事が多いな♪

 するとディルが笑いながらこういった。


「あーあ翔琉。 虎獣人の首筋を撫でるって事は、人間で言うところの、キスと同様の行為であるのよ。 でも、幼児化するのは、その虎獣人が好意を持った者が撫でた場合にしか起きないレアケース――――」


 好意を持った……?

 ん? 

 この人……男だよな……

 って事は、男同士の友情の証か?


「え? それってどういうことかな?」


 と俺はディルに尋ねる。


「ああ、表現が遠まわしで、分からなかったかな? 獣人はねみんな恋愛が自由なの。 人間と結婚したなんてのは多いわね。 あと異種族の結婚とか同性と結婚とかも……とにかく気に入ったものに恋をして好きになって繁殖する生物なの」

「それって……つまりは……」

「そうね。 ライはあなたの事が好きになっちゃったみたい。 本気で結婚して繁殖行為を行いたい対象になってしまったって事よ」


 ええええええええええ!!!!!!!

 そんな俺の心の悲鳴の中、ライは頬を赤めて俺の方を見つめるのであった―――――

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