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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第2章‐地は野に栄える‐
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2ndステージ16:アニオンの実力

地の大魔導士グランのいる、地の大魔導士の神殿には今俺たちがいる温暖帝から約30km離れた場所にある。

さらに言えば、その場所は地下であるため、入口が1か所しか存在しないので、待ち伏せにはうってつけの場所と言える。

だが、裏を返せば逃げ場がないためグランも同様に脱出することができない、まさに背水の陣とも言える場所である。

 更に地下であるため、戦闘により地盤が落下してきて、生き埋めになる可能性もある。

そんな、悪条件の中でも俺たちは前に進まなければならない。

仲間を救うため、ロギウスを倒すため、そして俺は元の時代の世界へ戻るために……

深い森の中を進んでいく俺たち。

当初は上空から目的地まで行こうとしたのだが、ここで問題が発生したのだ。

探知魔法によって調べると、現在上空には何体か時限亡者が存在するという。

更に、ディル達によると、その時限亡者はディルとアマデウスを追って来た可能性があるという。

極力戦闘は避けておかないと、グランとの戦闘において支障が来すのではないかと懸念した結果、徒歩での移動という決断がでたのである。

基本的に、地上を進んでいるとは言っても、俺たちは風属性の魔法の応用で軽く地面すれすれに浮いているので楽な移動であることに違いはない。

この世界にいると、走るや歩くなどが少なくなり、太ってしまうのではないか?

そんなことを考えながらも、進んでいく。

森の中を進んでいるのだが、虫一匹すら見当たらない。

しかし、神殿に近づくにつれて木々や草花が増えている気がする。


 ”それは当然だよ。地属性の魔法は植物たちを元気にすることができるんだから”


と俺の中でアマデウスは言う。


(え? そんな力があるなんて知らなかった)


 ”まあ、ディルも”植物と会話ができる”と言う風にしか説明してなかったから、知らなくて当然だけどね”


 (そういえば、そうだったね。でもさ、じゃあ光属性にも何かあるの?)


 ”そうだね……でも、今は内緒にしておくかな”


 (なんじゃそりゃ。 いいから教えてくれよ)

 

”いいから、いいから。いずれ分かるから”


 (ふーん)


 とまあ、心の中で会話をしているうちに、どうやら地の大魔導士の神殿の入り口前についたようだ。

結局、森の中ではあったものの虫や動物が見当たらなかった。

変な森だな。



 入り口前には時限亡者がうようよいて、入口を防ぐ壁になっていた。

その光景は、まるで海苔みたいだった。

ぱりぱりではなく、ぐちゃぐちゃしてそうだけど。

まるで、弁当に入ってる海苔みたいだ。


「どうしましょうか?」


とフルートは腕を組む。

そんなフルートに向かって、私がやるわ、とフルートは言う。

前回時限亡者を倒した、本日も元気いっぱいなアニオンであった。


「私に任せて。 すぐ終わらせるから!」


 そういって、彼女は森の茂みから飛び出して入り口前の時限亡者たちの前に行き、奴らにビシッと指をさし


「翔琉にいいところ見せるんだから、悪く思わないでね」


 と言い放ち、手を前に突き出すと、そこから魔法を放つ。

 しかしながら、前回同様には消えなかった。

 むしろ、敵の数が増えたようにも思える。


「あれ?」


 そういったアニオンに、時限亡者たちが襲い掛かる。

 それを防ぐがごとく、俺たちはアニオンの前に立ち奴らをはじく。


「アニオン! 何をしているの? 早くあいつら消しちゃってよ!」


 そういうディルに対して、アニオンは明らかに慌てた様子でディルに向かって


「やったけど、効かないわ!」


 と言った。

 その発言に対して、フルートは敵の攻撃を回避しながら


「一体何故……?」


と聞く。

そんな議論をしながらも戦闘は激しく繰り広げられる。

すると、アマデウスが俺の中から表に出てきて全員に向かって言う。


「みんな! あいつらは時限亡者じゃない! 時限亡者に肉体を奪われた人間なんだ!」


 と大声で言う。

 そんな彼に向かって、疑問を投げかけたのは絶賛敵からの攻撃を回避中のフルートだった。


「え? つまりは、厳密に言えばあれは、時限亡者ではないって事なの?」


 アマデウスは俺の周りをくるくる回りながら、フルートに向かって言う。


「うん。 過去においても、似たような事例があってね……時限亡者たちは、相手の肉体を奪い、使役する能力を持ったもの……中級(ミドラー)と言うのがいるんだ。 おそらく奴らは、それだろう……」


 引き続きフルートとアマデウスの会話は続く。

 ちなみに、この会話中に、フルートは時限亡者を3体ほど倒している。


「中級? その言い方だと、時限亡者たちにも階級があるってことかしら?」

「ああ、一応ね。 おそらく、昨日アニオンが倒したのは下級(ダウナー)と呼ばれる、時限亡者たちの中で一番レベルが低いものだろう」

「ちなみに、階級はどのくらいまであるのか、教えてもらっていいかしら?……!」


 油断したフルートに中級たちの攻撃が襲い掛かるが、なんとかギリギリのところでかわして、フルートは再びアマデウスの方を見る。

アマデウスはあくびをしながら言う。

呑気だな!


「時限亡者には全部で、4つの階級が存在する。1つは下級、いわゆる雑魚キャラだ。 2つ目は中級で、さっき言ったとおりに他の生物に寄生する。 3つ目は上級(アップナー)と呼ばれている。 こいつは、時限亡者の中でも特に厄介な他人の魔法をコピーする能力を有するもので、中級同様に他者の肉体を奪える。 そして4つ目が特級(エクスナー)で、肉体を奪う能力を有してはいないけど、他者の心を操る力を持っている。 そして、唯一前世の記憶を持っている時限亡者と言える」


なるほど。

分かりやすい説明だけど……


「何故、そんな大事な事をもっと早く言わなかったの?」


 そういうフルートに対して、アマデウスは舌をぺろりと出して


「ごめん、忘れてた。 てへぺろ」


 そういいながら、俺の中に戻って行ったアマデウス。

 みんな先ほどの発言で心の中でこう思ったのではないだろうか?


 ”後で、アマデウス一発殴る……”と。


 特に、フルートとアニオンの目が今現在最も怖い。

 このままだと、俺まで殴られてしまうのではないだろうか?


「アニオン! 別の魔法は?」


とディルが聞く。

アニオンは考えぬいた結果、今考えられる最大の魔法を放つ。


「負極魔法:明鏡止水零(めいきょうしすいれい)


 アニオンの手から放たれた波状が中級たちにあたると、奴らの動きが止まった。

 正確には限りなくゆっくりな動きである。


「今の魔法は、相手の動きを限りなく0にする魔法。 あと、24時間はあいつらの行動はこの状態のままよ」


さあ行きましょうか、とアニオンが笑顔で俺の方を見る。

やっぱりアニオンの魔法は恐ろしいな……

まあ、とにかく道は開けた。

道が開けたのなら、後は進むだけだ。

地の大魔導士の神殿……その奥にいる、グランの元へ……

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