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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第2章‐地は野に栄える‐
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2ndステージ12:いたずらっ子

「ーーーーというわけで、逃げてきちゃった♪」


てへっと、舌を出して可愛らしく笑うディル。

てへっじゃねーだろ!

状況説明を、さらっとしやがって。

だから、懇切丁寧に詳細を説明しないと、分からねーだろーが!


「えっと……それで、後ろにいる金髪のツンツン頭の男の子が、アマデウスくんなのかな?」


アニオンは、冷静に指を指して訪ねる。

冷静過ぎねーか?


「オッス! おら、アマデウス!」


やめろ、やめろ!

ここで、ドラゴンボールのネタを持ってくるな!


「ところで……本当にディルなのか?」


本当は、こんなことを聞くべきではないかもしれない。

しかしながら現状としては、警戒をせねばならない。

もし、それが本当だとしても、追手が来ている可能性や、嘘をついている可能性がある。

ましてや、そもそも、このディルは本物なのか?

ディルは、膨れ顔になりながら


「酷いな~。 誰が、あんたに魔法教えたと思ってんのよ」


といって、懐かしい魔法を俺に見せた。

一番初めに見せてくれた魔法。

炎の魔法:陰である。

この魔法を、初めて見たのは、この世界に来てから間もない頃。

ディルに魔法を見せてもらったときである。

つまりは、ディルと俺だけが知る出来事ってやつだ。

間違いない……これは、本物のディルだ。


「本物……みたいだな」

「もう、だから本物だっていってるじゃん。 まあ、今は幽霊だけどね」


そういうと、ディルは近場にあったソファーをすり抜けて見せた。

ファンタジーの次は、オカルトチックな、現象かよ。


「幽霊……つまりは、魂の存在となって、肉体から切り離された……いや……自ら切り離したんだね」


とアニオンは言う。

そして、ディルはその言葉にうなずく。


「そうそう、翔琉。 アマデウスが、あなたに会いたかったってさ」

「え? なんで?」

「そりゃあ……あなたが……」


そして、少年(アマデウス)は泣きながら俺に抱き付いてきた。

アマデウスは、実体があるような感覚だった。

何だか、懐かしい感覚。


「翔琉~会いたかったよ!」


それを見たボルと、アニオンは歯軋りを立てて睨んでいる。

怖い、怖い。

少年は俺に抱き付いたまま、言う。


「翔琉‼ 僕の大好きな翔琉‼ 僕は幸せだよ‼ こうして、再び君に会えて……」

「そうか……それは、よかった……」

「こうして抱かれて……」

「へ?」

「こうして抱かれて……」

「おい?」

「パパの胸の中で、抱かれて……」


パパ?

え?

あれ?


「パパ? 誰だ?」

「え? そりゃあ、翔琉しかいねーだろ」


その言葉に、驚いたのはこの場所において限るならば、俺が一番驚いていた顔をした、といえるだろう。

何故ならば、俺の子供と公言する、見知らぬ少年がその場で俺にいたのだから。

子供なんていないのに。

何言ってるんだ? 

どういう状況?


「え? ちょっと待ってーーーーかなり待って」


俺の手は汗でびっしょりしていた。

そして、身体から水分と言う水分がなくなってしまうんじゃないかと言うくらいに、とめどなく汗が出ていた。


「パパって、俺?」

「うん、そうだよ」

「母親は誰?」

「母親? そんなの、いないよ」

「じゃあ、どうやって君は生まれたんだよ!」

「そりゃあ、コウノトリが運んできて……」

「いつの時代だよ!」

「翔琉が分裂して……」

「俺アメーバなの? アメーバだったの?」

「卵から、ポン、って生まれて……」

「鶏かよ!」

「よくそんなに、ツッコミ入れれるね~」

「ボケが多すぎるんだよ!」

「まあまあ……落ち着いて……」

「いいから、母親の正体を明確にしろ!」

「母親? いねーよ」

「いないのかよ!」

「むしろ、翔琉が母親」

「俺、両性生物なの!?」

「嘘嘘ーーーー」


もうだめだ。

次の瞬間には思考が完全にマヒしてしまい、その場に倒れてしまった。

疲れた……。


「翔琉! 大丈夫か!」


といいボルは翔琉の元に駆けつける。

そして、アマデウスはその場に堂々と立っていた。


「あれ? 翔琉ってこのくらいで倒れたっけ?」


 そういうアマデウスを強い眼光で睨めつけるアニオンとボル。

 ボルは翔琉(おれ)の身体を持ち上げ、近くのソファーに寝かせる。

そして2人は、アマデウスに詰め寄る。


「お前……翔琉に何しやがった?」

「こととしだいによっちゃあ、ただじゃおかないよ……」


目も怖いが2人の表情はかなり怖くなっていた。

それを見たフルートが2人を抑える。

鬼気迫る状況に、ディルは笑っていた。

相変わらず、マイペースな女性だな。


「まあまあ、2人共落ち着いて……アマデウスって言ったかしら? 君」


とアマデウスに聞く、フルート。

そして、アマデウスはニコリと笑いうなずく。


「ディル……もっとちゃんと説明しなさい。 この子は何者なの? そもそも人間じゃないでしょ? 神魔法の化身って言ってるんだし」


と言うフルートの言葉で、先ほどまで怒りに満ちていた2人の表情は驚いた表情に変わった。

そしてフルートの問いに答えるよう、ディルは彼・・アマデウスについて語る。


「ええ、その通りよ。 彼は人間じゃない。 そして、翔琉の子供でもない。 彼は翔琉がロギウスに奪われた神魔法光天神の化身……つまりは、魔法本体ってことになるわ。 そもそも、彼との出会いは翔琉が魔法を取られて、元の世界に帰ってからの次の日だったわ。 私はロギウスによって、私の身体にある、深層心理の奥深くに封じ込められていた。 そんな中でも私は、意識だけはあった。 何とか、肉体から抜け出せないかと試行錯誤したけどダメだった。 そんな中に、光が差し込んだの。 そして、声が聞こえたの。 その声を頼りに光の筋を除くと、アマデウスがロギウスに融合されそうになっているのを、必死に抵抗していたの。


「僕は翔琉の魔法だから・・お前などには屈しない!」


 そういって、アマデウスが必死に抵抗する姿を目にしたの。その姿に向かって、私は声をかけ続けたの。 そしたら、その声が通じたようでそのあとからは、ロギウスが眠る昼の時間帯に会話ができるまでに至ったの。

 そして彼と私はお互いに、自身のこれまでやこの先をどう切り抜けるかを合作しあったりしていたってわけーーーーそんなわけで、彼とはお友達になりました・・ちゃんちゃんっと」

「ちゃんちゃんじゃないでしょうが!」


と声を荒立てて言うのは、珍しくフルートだった。

その声に反応したのはアニオンだった。

アニオンは部屋の隅に肩を震わせながら体育座りで座っている。

そして、何かぶつぶつ呟いている。


「フルート怖いフルート怖いフルート怖い……」


 エンには、アニオンのトラウマがあるように、アニオンにはフルートにどうやらトラウマがあるようだ。

何があったんだろう?この2人には……

そんな中ディルも、若干身体が震えているようだ。

どうやら、ディルもフルートに何かされたことがあるらしい。


「そんな曖昧さで、敵と味方決めてんなら、ここであんたを消すわ……この先……心配だからね。 力になると言った以上は、全身全霊を尽くすのが、私の流儀だし……」

「ごめん、ごめんーーーーいや、本当にごめんなさい。 そんなんで決めたんじゃないから、本当にそうだから、まずは彼の話も聞いてあげてお願い!」


いつにもなく、ディルは慌てていた。

そして、フルートもその言葉で少し落ち着いたようで


「分かったわ……でも、納得のいく答えが得られずに、この少年が敵になった場合は……分かってるわね?」


 このいつにもなく張り詰めた空気の中、カレーの鍋が煮終えたようでふたが、コトコトと鳴り響くのであった。



エンが台所で、カレーの火を消してきて戻ってきたとき、俺の目は再び覚めた。

汗で服がぬれていて気持ちが悪いのだけど……今は着替えているときではなさそうだ。

 アマデウスがみんなに話を始めるようだ。

そんな中俺の目覚めに気付いたようで、アマデウスは


「翔琉も聞いてね!」


と笑顔でこちらに元気よく手を振る。

その瞬間、ガバッと、全員がこちらを見てた。

タイミングピッタリすぎ!

そして俺は、身体を起こし、ソファーに座り、彼の話を聞くのであったーーーー

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