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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第1章‐最後の魔導士‐
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2ndステージ6:上には上がいる

 アニオン―――3人の太古の大魔導士の1人。

 情報屋であり、なんでも知っている女の人。

 もっと、大人っぽい人かと思ったけど、幼女のような姿で、髪はポニーテールのように後ろで、黄色いリボンで縛っている。

 何というか、幼稚園児にいそうな風貌である。


「やれやれ―――フルート。 あんたは昔から抜けてるところがあると思っていたけれど―――ここまでとはね」


 あきれ気味に、アニオンはフルートに言う。

 ちなみにあの後、アニオンに連れられて、俺たちはアニオンの隠れ家に来ている。

 あんなに目立つ場所にいては危険なので、避難したのだ。


 ”結界が張ってあるのでもう大丈夫だよ”


 と彼女は言っていた。

 何というか、古風な家であった。

 日本の昔ながらの家、と言う印象を受けた。


「ごめんごめん。 なんかね~焦っちゃうんだよね。 私―――」


 そういいながらアニオンに向かって笑っているフルート。

 いくらなんでも、焦りすぎだろ――――

 そして、アニオンは俺の方を向いて言う。


「―――あなたが、天野翔琉君?」

「はい。 そうですが」

「始めまして。 私が、太古の魔導士の1人アニオンよ――――あなたの事は、ディルから聞いていたわ。 何でも、魔法の才能が異常で気持ち悪い少年だとか……」


 あいつ―――方々で、俺の事をそういう風に言ってんのか?

 普通に、悪口じゃねーかよ。


「―――そして、あなたがボル君ね。 あなたに与えられた使命を与えたのは、私よ。 と言っても、ジジイどもを騙して、命令しただけだけど――――とにかく、いくつか条件を守ってくれているみたいだし―――もう、あなたは暗黒賢者と呼ばれていたころの、ボルではないようでホッとしたわ―――」


 そういって軽く会釈するアニオン。

 そしてボルもそれに合わせて会釈する。


「それにしても、翔琉君―――元暗黒賢者であった彼を友達にするなんて、君は心が広いんだね」


 そうアニオンは俺に向かって言う。

 この人は何が言いたいんだろう?


「心が広いだなんて―――そんな事は無いですよ。 それに、ボルは間違った考え方でゆがめられていただけです。 元々はこんなにもいいやつなんです。 俺は周りの人間に恵まれているだけですよ――――」


 と俺は笑顔で言う。

 するとアニオンは笑う。


「はっはっは~。 いやいや、君は本当に心が広いよ。 そんなことを言えるのは、強い心を持つ者のセリフだからね―――っと、前置きはやめて、そろそろ本題に入ろうか」


 と話を変えるアニオン。

 そして場は真剣な面持ちや雰囲気に変わる。


「さて―――まず、君たちが知りたい情報を開示することにしよう。 翔琉君―――君を襲った黒い何かは、”時限亡者タイムロスター”と呼ばれる、時が生み出したものだ」


 時が生み出したもの?


「いったいそれはどういうことですか?」

「彼らは生物であって、生物ではないもの。 時が生んだ生物に、なり損ねた生物のなれの果て―――そういえば説明がつくかな? もう少し、説明するとねあれは過去に裁かれた罪人の魂そのもの……そして、彼らは世界のはざまに落とされてやがて生まれ変わることができる。 その、生まれ変わる途中のものが時限亡者ということなんだ」


 なるほど―――あの黒い何かは、生まれ変わるはずの魂その物であると。


「―――つまり、ディル達は時限亡者を時空城から召喚し続けているってことかな」

「そうだね、時を操る魔導士ならば、すぐに呼び出せるし―――何より、ロギウスが今回の首謀者だからな―――神話に出てくる罪人、そんな奴が命令したら、どんな罪人もいう事聞いちゃうわよね――――」


 そういい悔しそうな顔をする。

 始め、俺たちはアニオンが現状知っていた情報は、あの黒い何かの正体だけだと思っていた。

 でも、それ以上に重要な情報を得ることができたといえる。


「じゃあ、アニオン! 私たちに協力してくれない? ディルを助けるのもあるけど―――」

「ええそうね―――神殿の書物を読み解くなんて、こんな機会でもない限りないだろうし―――それに、私の家沈ませた仕返しもちゃんとさせなきゃいけないからね」


 と言った感じであっさりと旅の動向を許可してくれたアニオン。

 心強い仲間が増えた俺たちは、次なる目的地について話し合うことになった。


「ここから、近い神殿は―――炎の大魔導士の神殿よ。 そこには私の、馬鹿弟子もいるでしょうね――――」

「馬鹿弟子?」

「ああ、えっとね翔琉君は知らなかったみたいだけど、炎の大魔導士エンを育て鍛え上げたのは実はアニオンなんだ―――」


 とフルートが答えた。

 へえ、そうなんだ。

 この人が、エンのお師匠様。


「久々に、馬鹿弟子を調教―――いや、指導しなきゃね」


 今さらっと恐ろしい事を言いそうになってなかった?

 この人、エンにいつも何してんのさ!


「おやおや、翔琉君。 そんな怖そうな目で人を見ないでよ。 恥ずかしいじゃない」


 絶対Sだこの人。

 幼女の皮を被った、悪魔だ。


「じゃあ、馬鹿弟子の目を覚まさせに行きましょうか」


 と言って、アニオンは道具の入っているであろうカバンを背負い外へ行く。

 そのあとに俺たちもついていき、一行は炎の大魔導士エンが待ち構える神殿へと向かうのであった。

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