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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:第1章‐最後の魔導士‐
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2ndステージ5:氷樹へ

 俺たちは、1000km離れた氷樹まで風の魔法によって移動していた。

 その道中、戦闘はなく町や森が焼け焦げていたり凍り付いていたり―――様々な光景を目撃していた。

 そのたびに地上に降りて、生存者や負傷者の回復などを行っていた。

 そのおびただしく、生々しい光景を、俺はこの先忘れないだろう。

 これが戦争と言う奴なのだろう―――戦争のない国で育ってきた俺にとっては、ニュースや新聞でしか見たことがなかった。

 でも、改めて思う。

 こんな惨いことは繰り返されてはいけない―――――そして、現在残り300km付近にいた。

 そして、気づけば時刻は22時を過ぎていた。


「―――今日はこの辺で休みましょうか」


 そういって、フルートは地へと降りる。

 俺たちも、地上へと降りて行った。


「で? どこで身を隠す?」


 とボルが言う。

 すると、フルートは


「私の魔法で地下に、家を作るわ―――そうすれば、身も隠せるし、中で休めるわ」

「そうか―――なら、安全だな」


 俺たちは地下の魔法の家へと移動した。

 その空間は前にいた、あのフルートの小屋の内部とほとんど変わらなかった。

 そして、俺たちはその場にてすぐに眠りにつくのであった。

 この場においても俺の腕は枕と化していた。

 ボルとフルートは俺の腕を枕にしてすやすやと眠っている。

 ボルは幼児体型、フルートは浴衣に着替えて寝ている。

 そしてその浴衣が壮大にはだけていて、すごくやばい状況。

 もう少し、女の子なんだから、羞恥心持ってくれよ!

 俺はフルートの方を見ないで、ボルの方を見て寝るようにしたがボルの顔が異常なまでに近く、あともう少しで俺の顔に完全に鼻が当たりそうだ。

 こっちは、こっちで、やばいんだけど!

 仕方がないので俺は天井を見て、目を閉じたのだが―――心臓の鼓動が早くて眠れない。

 隣には美女(しかも結構やばい格好)、そして幼児(顔がやけに近いので耳元に寝息が当たってこちょばしい。)そのため素直に寝付くことができなかった。

 俺が眠りについたのは次の日の2時だった。 


「ふああ―――よく寝たわ」


 とフルートは起き上がり言う。

 すでに着替えて甲冑などを着込んでいる。


「あれ? 翔琉―――目の下にクマが出来てるけど、寝れなかったのか?」


 とボルは言う。

 今の状態は元の灼眼の大きい虎獣人の姿である。

 そういうボルに俺は笑顔で言う。


「うん―――まあね」


 寝た気がしない。

 隣で美女が裸同然で寝てて、もう片方では幼児(子猫?)が可愛すぎた。

 あんな状況は、中学1年生の身には、刺激が強すぎる。


「あれ?翔琉君、少しにやついてない?」

「いやいや―――気のせいだよ。 さあ、目的地に向かっていこうか」


 俺は少しふらつきながら外へ出る、そのあとをフルートとボルが続く。

 外はいい天気とは言えない。

 なぜなら、暗雲が覆い尽くしているからだ。

 そんな中でも俺たちは進まなければならない。

 ディルを元に戻すためにも、7人の大魔導士を助けるためにも―――俺たちは氷樹へと再び向かうのであった。

 そして、とうとう俺たちは着いた。

 3人の太古の魔導士の1人がいるとされる、氷樹へと――――



 氷の樹と書くため、寒いところなんだと考えていたのだが、意外にもそこは南国のような場所であった。

 ヤシの木や、海が広がりぽかぽか陽気な場所。

 まあ、空が黒くなければの話だが―――そしてその光景を見たフルートは慌て初めてこう言う。


「しまった! そうだ―――そうだった!」


 そういうと、頭を抱えて地面にうなだれる。


「どうしたんだ?」


 そうボルが聞くと、フルートは顔を曇らせながら言う。


「ここは本来、極寒の地であるべき場所なんだが―――この場所の近くには、炎の大魔導士の神殿があるために、その影響でここの氷は融けてしまったんだ!」

「それがどうしたんですか?」

「アニオンは氷の大地の上に自身の家を建てていた。 この意味が分かる?」


 そういうと、フルートは海面を指さし慌てて言う。


「アニオンの家は今、海底にある」


 そういうのだ。


「え? でも、魔導士なんだから簡単に浮上できるのでは?」


 と、俺が聞くと首を横に振るフルート。

 そして彼女は言う


「あの子はかなずちだから、水が苦手なのよ。 だから、自力で上がるなんてことはしないと思うわ。 それに、水の底なら外敵からも身を守れるから安全と思ってるんじゃないかしら?」


 なんともまあ、おおざっぱと言うかわかりやすい性格の人なんだろう。

 でも、水の中にいるって、すげーな。

 普通脱出するものだけど―――


「とにかく、水の中に潜るしかほかないわね。 翔琉君―――確か風属性の魔法を使えたわね?」

「はい。 一応―――」

「そして、ボル君は空間魔法を使えるのよね?」

「そうだ」

「じゃあ、話は早いわ。 風魔法で空気の循環を良くして、空間魔法でそれを圧縮していけばいいわ―――さしずめ、泡の部屋を作ると言ったものかしら」


 なるほど―――頭いいな。

 まさか、こんなところでダイビングするとは思わなかったが――――


「じゃあ、行きましょうか!」


 そういう、彼女の後ろの茂みから、眠そうにしている女の子が1人出てきた。

 そして、フルートにその子はやや怒りながら言う。


「―――ボケてんのか? フルート。 私は水の中にそうそう、沈むドジな女じゃねぇよ」


 その子の姿を見るなり、フルートは彼女に向かって抱き付きながら言う。


「ああ! アニオンじゃない!」


 アニオンの言う通り、沈む家から脱出しない奴などは、いないものである。

 と言うか、フルートって本当に天然すぎやしないか?

 人と離れた生活していたから、そういう常識を無くしてしまったのだろうか?

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