2ndステージ3:打開策
ボルの話を聞き終えた感じから、7人の大魔導士は全員、囚われている―――または、洗脳されている事が示唆される。
配下に加えようとしているならば、あの人たちを完全に軍隊として飼いならすには―――ロギウスにとってきっと、手っ取り早くできる洗脳を選ぶのではないだろうか?
そう思っていると、フルートが自身の知る彼らについての情報を重々しい表情で語りだす。
「7人の大魔導士―――そして、ディルもといロギウス―――あいつらの行方を私は知ってるわ」
「本当か?」
そういって、ボルと俺はフルートに詰め寄る。
「近い近い、まあ少し落ち着いて。 ほら」
と俺たちを押しよける。
そして、近くにあったソファに座り語りはじめる。
「じゃあ、教えるわね。 彼らは現在、魂揺篭と言う組織を立ち上げて、世界中で洗脳行為をしているわ―――これじゃあ、まだ暗黒魔法教団の方がましよ。 どっちも無い方がいいけど―――奴らの目的は、神話の神の打倒、そしてそのためには、多くの兵士が必要なの。 そして、この世界を手中に収めるためにもね―――少し神話の話をしてあげましょう。
じゃないと、きっと何故ロギウスがそんな事をしているのか、分からないかもしれないもんね。
オールドアを生成した神。神が創り出した異世界への架け橋オールドア―――その扉をくぐり様々な世界へかつては渡ることができた。
しかし、とある欲望にまみれた1人の人間とその仲間たちのせいで、世は混沌とかし、世界どころか違う世界においても混沌へといざなっていった。
その時、神に仕えた3人の偉大なる魔導士と7人の弟子がそれを阻止する。
3人の偉大なる魔導士は弟子の7人の魔導士とともに、その者たちを打ち破った。
仲間たちは降伏したが、その主導者と思われる男、ロギウスは再び現れた神によって処刑された。
これが一般に普及している神話―――でもね、これはね真実ではないの」
「真実ではない?どういうことだ?」
と俺は聞く。
すると、彼女は再び答える。
「この神話は人々によって口伝により伝えられたものなの―――だから、事実とは少しねじ曲がってしまっているの。 真の神話を知るには魂記憶と呼ばれる8個の書物が必要なの。 真実の歴史を知らない限り、ロギウスと神との間に何があったのか―――それすら知る機会を逃してしまうのよ」
「8個ってことは、8属性?」
「ええ。 その書物に神話の中に、ロギウスについて詳しい記述があるはずよ。 それが分かれば―――」
「ロギウスを倒す事が出来るってわけか?」
なるほど―――神話の敵が相手なら、神話に基づいて倒せばいいのか。
でもね―――とフルートが悲しそうな顔をして、再び語る。
「でもね、その書物は8つの神殿に祀ってあるの。 でも、噂だと、各神殿には―――各属性の大魔導士たち、つまりエンを始めとする7人の大魔導士たちが待ち構えてるわ。 勿論彼らは洗脳されているらしいわ―――私の森は、ヒョウにやられてしまったし」
「あれ? でも、8属性なんだから、光属性の大魔導士はいないはずだろ? 光属性の神殿は誰が守ってるんだ?」
「それは、洗脳された暗黒魔法教団の暗黒賢者たちと教祖が守っているわ――――あいつらも可哀想に―――まあ、自業自得だけど」
「―――厄介だな。 あとそうそう、肝心のディルは?」
そうだ。
ディル―――
「――――ディルは、8個の神殿から発せられている結界の中心にある、時空城にいるわ―――まあ、ディルじゃなくてロギウスなんだけどね」
「なんで、ロギウスはディルの身体にいるんだ? 乗っ取られているのかな?」
「恐らくそうでしょうね―――悪霊に取りつかれているって感じかしら。 聖水でもぶっかけたら、除霊できるかしら?」
そんな―――エクソシストみたいな真似しなきゃ、倒せないのかよ。
それだったら、光属性の浄化で倒してしまった方がいいのでは?
「―――まあ、今はそういっても仕方がないか、じゃあ―――」
「―――神殿を攻略しなきゃいけないみたいだな」
とボルと俺は早速出かけようとした。
が、フルートに呼び止められた。
「あなた達だけでは危険よ。 それに、翔琉君―――私はあなたの力になると言ったはずよ?」
「でも、フルート―――君は森を守らなきゃいけないんだろ?」
「その点は心配ないわ。 守るべき、植物たちは全員逃がしたし、今凍ってるのはカモフラージュ用の森だったからね」
ああ、そうなんですか。
木を隠すには森の中とは言ったものの、規模がデカいな――――
「―――そして、あと1人、太古の魔導士はいるのだから、彼女にも応援を頼まなきゃね」
と言うのだ。
そうだ。
ディルや7人の大魔導士たちに頼ることが出来ないなら―――3人の太古の魔導士の2人に頼むしかないのだ。
連合のTOPのくそじじいどもは使えない―――って、前誰か言ってたし。
「――――私と同じ、3人の太古の魔導士の1人で、負極魔法の使い手、アニオンよ。 彼女は今、ここから北にある氷の大地:氷樹にいるわ」
そういって、彼女は地図を広げ指さす位置は、ここから約1000km離れた地だった――――




