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2ndステージ0:奪われた時間

 気が付くと、そこは病院だった。

 辺りを見回すと、埃の被った千羽鶴が3束ほどおいてあった。

 そして、俺の寝てるそばには花が飾られていた。


「ここは……」


 俺が起き上がろうと、身を動かそうとすると、ちょうど点滴の交換に来たと思われる、看護師と思われる人と目があった。

 その瞬間看護師は驚いた表情を浮かべた。


「天野さん! 目覚められたんですね――――よかった」


 先生を呼んできますと、急いで出ていった。

 そうだ―――俺、理科室で爆発にあったんだった。

 あれ?

 でも、そのあと[魔がさす世界]へ行って、魔導士や悪い教団―――そして、オールドア―――そうだ! ディル!

 俺は立ちあがろうとしたが、足に力が入らない――――なんでだ?

 ベッドから、転げ落ちてしまった。

 すると、医者の先生が来て


「翔琉くん、ダメだよ。 君はまだ立てるような身体じゃないよ」


 といい、俺をベッドに戻す。


「あの―――俺、どうしたんですか? あの理科室の爆発の後――――」


 そう聞くと、先生は徐に答えた。


「そうか。 爆発の影響で、記憶がないのかな? あの爆発のあと、君は行方不明になったんじゃないか。 そして13日前、突然、あの学校で君が倒れているのが見つかってこの病院に運ばれてきたんだよ―――いや、驚いたよ。 日本中の話題になったニュースだったからね」


 そっか、俺―――行方不明だったんだ……


「いやあ、よかった、よかった。 君の意識が戻って――――さっきご両親に連絡するように頼んでおいたから、後少しで来るんじゃないかな」

「ご迷惑かけてすみません。」

「いやいや、医者と言う立場だし、なにより1人の人間として当然のことをしたまでだよ」


 そういって先生は、じゃあ検査道具を取ってくるから、といい先生は病室から出ていった。

 行方不明―――あの爆発から、あの世界で過ごした時間は長かったからな―――まあ、当然なのか?

 いやでも、そもそもあの世界で起きたことは本当だったのか?

 あれは、俺が気を失っている間に見た夢とか、そういうオチじゃないのか?

 科学科学―――ばかり見てきた俺に、非科学的な魔法の夢を見たのではないのか?

 所詮夢オチと言う展開だったのか?

 なんか、そう考えると残念だな。

 俺は神魔法を使えるようになって、神域魔導士になった。

 そして、時と空間を操る女性や、虎の容姿をした時々幼児になる男も――――

 戦うことに興奮を覚える戦闘狂の医者も、龍族と人間のハーフの情報屋も――――

 悪い教団に騙されていた虎さんも、マントを着ている闇の男も――――

 氷の城の麗しき美女も、風城で偉そうにしている変態も――――

 植物を操る女性も、地をすべる堅物そうな男も――――

 全ては夢なのかな?

 ディル―――ライ――――

 リュウ―――エン――――

 ボル――――ホルブ―――

 ヒョウ―――トルネ―――

 フルート――グラン―――

 彼らは幻?

 非現実?

 俺の妄想?

 何だったんだろうか?

 あんなにも、苦労して得た仲間たちは、夢?

 そんな、馬鹿な――――



 そんなことを考えていた時、扉がノックされる音がした。

 誰だろう?

 見知らぬおじさんとおばさん、そして高校生くらいの青年が入ってきた。

 他の人のお見舞いかな? 

 そう思っている俺の方へと駆け寄ってきた。


「翔琉―――分かる? 私たちが分かる?」


 と涙ながらに、おばさんは聞いてきた。

 あれ?

 知り合いなのかな?

 でも、こんな人見覚えないな。


「すみません―――誰ですか?」


 そう聞くと、見知らぬおばさんは表情を悲しくさせてこう答えた。


「翔琉のお母さんと、お父さん―――そして弟の翼よ」


 え?

 なにこれ?

 冗談なの?

 ドッキリなの?

 こんな人たちは知らない!

 不気味に思ったが、俺はベッドのそばにあった自身の名前と入院日のプレートが目に入り、その記述をみてすべてを悟った。

 今は、俺が爆発事件を起こしてから、13年たっている日付になっていたのだ。

 つまりは、タイムスリップをしてしまったらしい。

 なんでこんなことに―――

 嘘だ――――嘘だ――――

 こんなの嘘だ‼

 嘘だ。

 これこそ、非現実的だ。

 目の前が真っ暗になって、頭は真っ白になって行った――――

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