表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第1章‐7人の大魔導士‐
5/349

1stステージ4:準備

「さて、魔法も覚えたことだし、取りあえず町に行きましょうか」


 とディルは俺に言う。


 「あれ? 魔法を覚えたから、オールドアに行くんじゃないの?」


 と聞くと、ディルは、軽くため息をつき真顔で


「まだやることがあるわ」


 と言う。


 いったいこれ以上何をするのだろうか?


 早く帰りたいのに……


 そう思いながらも、焦らない焦らないっとひたすら自分に言い聞かせている。

 今は彼女に従うしかなかったのだ――――――



 草原の終わりまで行ったが、何もなかった。

 せいぜい見えるのは、【オールドア】のある塔だけであった。

 他に見えるのは青々とした山々と、空に浮かぶ2つの太陽と雲位なものである。


「町って? この辺には見当たらないけど……ここからどの位の場所にあるんだ?」


 そう辺りをキョロキョロとしながら聞いた。

 ディルは、ふふっと、笑いながら言う。


「ざっと、20kmくらいかな」

「20km?!」


 あからさまに驚いてしまった。


 遠いな……。

 え?やっぱり歩きなのかな?

 この距離歩いちゃうのかな?

 タクシー……なんて、ないだろうし……

 まあ、そりゃあ、フルマラソンの半分くらいだから―――――って半分でも多すぎ‼


 慌てふためいている俺を見て、ディルは必死に笑いをこらえている。

 他人事だと思って……いや?ディルも歩くのか?


「なあ、やっぱり町まで歩いていくのか?」

「何言ってんの! 歩きで行ったら時間かかるでしょ。早速だけど、魔法を使って移動するわよ」


 とディルは言った。

 あ、その方法ありましたね。

 あー良かった。

 歩きだったら、大変そうだもんな……


 ディルは魔法を発動させた。


(ウィンド)魔法(マジック)浮遊ふわらいどう


 そういうと、ディルは空高く舞い上がっていく。

 空中浮遊専門の風の魔法。

 この魔法は、単純に空中に浮くという風属性の魔法の基礎中の基礎である。


「翔琉も、ほら早く~さっき教えた通り、やれば大丈夫だから♪」


 とディルが腕を振っている。

 俺をせかしているのだ。

 初心者なんだから、もう少し甘くなってくれよ……鬼教官め‼

 俺も先ほどの呪文を唱えた。


「風の魔法:浮遊ふわらいどう


 俺の身体もふわふわと浮いていった。

 おお!

 空を飛ぶ間隔はなんとも心地いい。

 トランポリンで飛んでいるのがずっと続いているような感覚。

 最初はバランスがとりにくかったのだが、次第に慣れていき、すぐに空中浮遊を楽しむことができた。

 俺……空を飛んでいる!

 わーい!

 そして上空へと行くと、ディルが先ほど言っていた町が見える。

 どうやら、あそこに俺たちは向かうらしいな。



 ディルは俺に修行の続きと称して


「じゃあ、魔法を融合コンフリートさせるよ」


 と言った。

 また新しい用語が出たな……

 融合って事は、何かと何かを混ぜ合わせて、1つにするって事だな。


「え? それって、どうやってやるのさ」


 と俺が聞くと、ディルは


「違う属性の魔法を今使用している魔法の上に重ねればいいのよ。 いつも通りに魔法を使うように発動させるようにすればいいだけだから。今の場合は移動速度を上げるために雷属性を融合させると――――とまあ、口で説明するより、実際にやって見せた方がいいか♪」


 と言って、実際にやってくれた。

 手のひらを足に向けて呪文を唱える。


(エレキ)魔法(マジック)瞬進かそくぐるま


 といい、一瞬で町の上空まで移動した。

 凄まじい速さだった。

 20kmもある場所に、一瞬で―――


「じゃあ、俺も……」


 とやろうと、呪文を頭の中に浮かべていた。

 心の中でそっと呟いた。

 すると勝手に発動し、ディルの隣にいた。

 俺には何が起こったのか、一瞬の事で理解できなかった。

 俺は起こった出来事を認識する間もなく、いつの間にか町の上空に、ディルの隣にいたのだ。


「あれ? なんでだろう……。 まだ何も言っていなかったのに……」


 自分の手や足や身体を見回したが何も異常はない。

 汚れた白衣に、学生服姿。

 いつも通り、何の変哲のない自分の身体だ。

 先ほど起こった出来事をディルに話すと、彼女は再び驚いた顔をして、小さく笑った。


「あんたの才能が妬ましいわ。 次のステップで行おうと思っていた高等技術である無詠唱ノーリードを、こうも簡単にやるなんて――――」


 と俺を指さす。

 またまた、新しい用語が出たな。


「無詠唱?」


 と俺が聞くと、ディルは話始める。

 無詠唱の説明を――――


「そうそう。 無詠唱。 魔法技術の中でも高い技術力と才能を要するもので、一般に習得するのは困難な技――――なんだけど……」


 と難しそうな顔をし、首をかしげて、俺の方を見つめている。

 いや、俺だってわかんないよ?

 なんで出来たかなんて。


「たぶん、偶然出来ちゃったのかな?」


 とディルは、自分を納得させるように言った。


「まあ、こんな空中で話をするより、取りあえず町に降りましょうか」


 そんな感じで、俺たちは町へと降りていった――――



 町の様子はいたって普通だ。

 ヨーロッパにありそうな煉瓦の家が多い。

 その奥に小さいが城が見える。

 現在は夕暮れ時であるので、城に2つの夕陽が反射して赤々しくなっている。

 住人は普通の人間に見えるのもいれば、虎や狼の容姿の獣人など様々だ。

 俺たちが下りた場所は、丁度市場の近くだったようで、人がいっぱいいる。

 こうやって人ごみが、ごちゃごちゃしている様子が、俺のいた世界でも何ら変わらない光景だな……と思いながら俺はその光景を眺めている。

 違う点をあげるのならば、ここで売り買いされているのは、魔法の道具であるということであろう。

 火の出る刀や、水でできた食器、雷を帯びている果物など、様々なものが売られている。


「ここが魔法の世界か……」


 俺は不安もあったけど、案外こちらの世界も自分のいた世界でも、対して変わらないものなのだな――――と思った。


 だけど、この世界から早く戻って研究がしたいな……

 今頃、元の世界ではみんなどうしているのかな? 俺の事を心配とかしてくれているのかな?


 と、1人で考え事をしていた。

 ん?

 1人?

 どうやらいつの間にかディルとはぐれてしまった。

 これはとてもまずい……


「あれ? ディル? おーい‼ どこ行った?」


 俺は辺りを探し回るがどこにもいない。

 とりあえず、街中を探してみることにした。


「いらっしゃいませ! 本日は炎属性の商品が10%OFFだよ!」

「らっしゃいやせー! 今、食品のタイムサービスやってるよ!」


 辺りの店から、絶え間なく大声で商品や店のアピールする声が聞こえる。

 市場なのだから当然だろう。

 しかし、周りの人々が興味津々でこちらを見ているのは気のせいか?

 まあ、この世界の人間と服装が違うので、当然と言えば当然なのだが――――

 この市場はくまなく探した。

 市場の店主や、買い物に来たおばさんにまで、声をかけて尋ねた。

 みんな知らないようで


「頑張って、ディル様を見つけられるといいね」


 と言ってくれた。

 ディルに様がついてるけど、どうしてなんだろうか?

 案外、ディルは有名人だったりして。

 それにしても、あちらこちらを探したが、この市場にはディルはいないようだ。

 他を当たってみることにしよう。

 お城の方に行ってみようかな。

 そう思って、俺は城に向かって駆け出した――――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ