1stステージ47:窮鼠、猫を噛む
長い階段を登り始めた俺たち。
怪物や、罠などの仕掛けによる妨害―――などは無かった。
噂に聞いた怪物などはいなかったし、仕掛けも無かった。
否――――全てが破壊しつくされた後だった。
怪物たちの死体で溢れ、仕掛けは無残に粉々になっていた。
怪物たちの滴る血だまりの中、足跡が頂上へ行く階段に続いている。
恐ろしい光景に、震える。
「酷い―――」
思わず涙が出そうになった。
その光景を、俺は忘れることが出来ないだろう。
俺たちは再び階段を登る。
螺旋のような、長い階段。
そして、頂上に到着した俺たちの目の前には大きな扉と、その前に立っている血まみれのフードを被っている人の姿が見えた。
そして、どうやら俺たちに気付いたようでこちらを向き、フードを脱ぐ。
その素顔は、目の下にくまがあり、眠そうにしている長髪の男だった。
「ふああ……」
そういって、その男―――ブラッドはあくびをする。
「君たちも大変だね~そんな少年のために、色々と頑張らなきゃいけないなんて――――俺には到底真似できないよ~そんなことするなら、世界を滅ぼして眠りたいな~」
再びあくびをする。
やる気のない、典型的なタイプだな。
「相変わらず、眠そうにしている男ね、ブラッド。 で? なんであんたがここにいるの?」
そういうと、ブラッドは再びあくびをしてから、その質問に答える
「え~ほら、なんかさ~そこの少年を元の世界に返されると~俺たちの教団に洗脳して人間兵器にするっていうことできなくなっちゃうじゃん~だから、ラスボス的なポジションでわざわざ待っててあげてるんじゃないの~」
「人間兵器って、考えが頭悪そうな言い方するわね、外道」
「そんな~褒めないでよ~褒めても、殺すしかできないよ~」
嫌な褒美だな。
絶対いらない。
「おいお前‼ よくも、ボルを洗脳してくれてたな‼」
そうライが言うと、ブラッドは徐に髪を後ろで束ね始める。
「ん~あ~そんな事もあったね~もう忘れたから、どうでもいいんだけど~」
「ブラッドぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼‼‼‼‼」
ライの怒りが、フロアいっぱいにこだまして、雷がブラッドに襲い掛かった。
しかし、雷はブラッドの手のひらでかき消されてしまう。
「な~に~? そんなに慌てるなよ、雷の大魔導士ライ~もうじき、君たちを洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して洗脳して―――飼いならしてあげるよ」
狂気の沙汰だ。
これが、教祖。
見ているだけで、聞いているだけで、心がおかしくなりそうだ。
「あんたに翔琉ちゃんは渡さないわ‼ それに、あたし達は、あんたのペットになるつもりもない‼」
「その通りだ―――お主には、ここで罰を受けてもらおう。 あの戦争の罪―――そして、今回の事もだ‼」
「ワタクシ達がいる限り―――」
「世界は、そんなに簡単に滅ぼさせやしないぜ‼」
ブラッドは、俺たちの覚悟を、ものともせず、羽織っていたマントを脱ぎ捨て、こちらに静かに歩み寄る。
「うるさい連中だね~でもね、そこの少年は俺にとって、道具にしてやることに決めたんだから~何言ってもだ~め。 お前らも、いいおもちゃにしてやるよ――――」
ブラッドに向かって、リュウ達が攻撃しようとした―――が、ホルブとエンによって止められる。
「おぬしら―――あやつの魔法を忘れたわけではないじゃろ? うかつに攻撃するではない!」
「その通り。 ブラッドの魔法は攻撃した相手の魔法を2倍にして返す加重魔法。 そう簡単に攻撃したら、うちらは一瞬でやられるよ!」
ふふっと、笑みをこぼしたブラッドは、リュウ達を指さしていった。
「君たちはいいの~? 翔琉君を素直に元の世界へ返すなんて~君たちは、彼が好きなんだろ? 好きな人を遠くに放置しておくとか、そんな危険極まりない行動をとってしまっていいのかな? 本当に後悔しないのかな? ねえ? 聞いてるんだから答えろよ」
そういうと、4人は少し考えてしまう。
だが―――
「翔琉ちゃんが、たとえ元の世界に帰ってしまって2度と会えなくなっても―――」
「俺は友として―――」
「運命の人のためなら―――」
「翔琉君のためならば―――」
「「「「願いを叶えてやるのが仲間だ!」」」」
そう、ブラッドに言い返す。
ありがとう―――みんな。
俺のために―――みんな悲しいのを我慢して……
俺は……俺は……
「そう―――なら、返される前に奪っちゃうね~」
といい、ブラッドは俺に向かってくるのであった。
しまった!
反応が遅れてしまった。
「風の魔法:風来盾」
トルネは全員に風の盾を作る。
勿論俺にもだ。
ブラッドは、盾にはじかれて、元の位置へと戻った。
そのあとに俺が光の盾を重ねて、風と光の盾を作った。
防御面は、これで少しはましになる。
「氷の魔法:氷壁陣」
ヒョウがブラッドに対して、移動を妨げるように氷の柱を作り出す。
氷柱が、地面からどんどん生えてくる。
そんな猛攻をかわし、ブラッドは攻撃を仕掛ける。
「加重魔法:七通星」
そういうと、先ほどのヒョウの放った壁が今度は俺たちに襲い掛かってくる。
しかも、量が倍になって―――そこにエンが炎を当てて相殺させる。
氷属性には、炎属性の魔法だ。
そして、ホルブとディルがブラッドに向かって攻撃する。
「闇の魔法:闇夜月」
「時の魔法:遅時間」
ホルブの杖の先から放たれた、月のような形をした黒い球体が何百と増えてブラッドに襲い掛かる。
「これは~闇属性と光属性の合わせ技――――ディルが時間を巻き戻して、ホルブの魔法を0.001秒差で魔法を発動させているのか~なるほど。 よく考えられているけど甘いね。 加重魔法:七通星・弐式」
ブラッドの放った魔法によって、ホルブとディルの攻撃は倍の数千と言う量になって跳ね返ってきた。
更に威力も格段に上がっている!
「翔琉! あれを使いなさい!」
とディルが叫ぶ。
「分かった! 神魔法:光天神! そして――――光の魔法:絶対神域」
俺は全員を守るために巨大な光の結界を作る。
神社のお社のような形をした結界が、俺たちを包み込む。
何とか間に合ったようで、攻撃を防ぐことができた。
「へえ~それが神魔法~まじかで見ると、すごいね~いや~ますます、欲しくなったよ、その魔法~そして君自身もね」
「いいや、渡さないよ」
そうディルが言うと。
「冷たいこと言うなよ~無理やりにでも奪うけどね~」
そういって、ブラッドは呪文を詠唱し始める。
「彼の地に降り立ちし、偉大なる魔導士よ―――我の呼びかけに応じ、再び世へと現れよ―――」
その瞬間ディルが慌てる。
「だめえ!その魔法は使っちゃだめ!みんな、阻止して!」
「え?」
「いいから、早く!」
ディルに言われるがまま全員がブラッドに攻撃する。
しかし、少し遅かった。
「―――召喚!」
すると、光の柱が1本たった。
その光の柱は俺たちの攻撃をかき消した。
そして柱から現れたのは1人の女性だった。




