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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:最終章‐扉が開くとき‐
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1stステージ44:ヒット&アウェイ

「驚いたな、こんな風に君たちは寄ってたかって1人を弄るなんて最低だな――――」


 そういいながら、再び光の雨を降らす。


「それはそうだけど、ごめんね」


 再び光を消し去り、俺はヴィルの背後に回って光で拘束する。

 かつてボルとの戦いで使用したあの槍の魔法で―――

 しかしながら、これもまた囮―――


「いったい奴の魔法はなんなんだ?」


 実体が全く見えない。

 そう疑問に思ったときに、ボルが皆にヴィルの魔法を説明する。


「ヴィルの魔法は太古魔法である、鏡魔法ミラーマジック。 鏡のように映し世に自身を反映させることによって相手の攻撃をよける最強防御魔法――――」

「―――して、打開策は?」

「すまない、ディル。 そこまでは――――」

「じゃあ、いい考えがある。 相手が鏡なら……ね」


 そういったのは俺だった。鏡が相手と言うなら対策方法はある。そして俺は、天高く飛びフロアいっぱいに光を照射する。


「鏡なら、きっと反射するはず! だから、角度を合わせれば――――」


 チカチカと、一点から光が反射した。


「そこだ‼ 行け! 聖封輝」


 その一点に向かって、光の槍は飛んでいく。

 しかしながら、またしても囮だった。


「残念だったね、翔琉君。 君はまだ、この魔法の真の力を知らないようだね――――」

「くそ! 本物はどこにいるんだ? 声は聞こえるってのに―――」

「ボル君が言ってただろう? この魔法は最強の防御魔法。 そう簡単には、破ることも―――否、割れることは出来ないのさ。 鏡だけにな」

「面白くない、ジョークだな」


 考えろ俺。

 相手は、科学の常識を外れた力―――魔法を使っているんだぞ。

 いったん冷静になろう。

 奴の魔法は、鏡魔法―――攻撃をよける防御魔法―――打開策はボルは知らない―――今いるのは、囮の分身―――そして、光の攻撃のできる範囲に奴はいる――――ロジックをつなげるんだ。


「あは? 何か、考えてるけど、翔琉君。 無駄だよ。 僕は今、この場において一番安全な場所にいるのだから―――何より、君たちには到底予想できない所だから―――君たちは、僕に攻撃する事は出来ないのさ。 だからさ、大人しく僕の光にやられちゃえよ」


 攻撃することが出来ない場所―――予想外―――。

 分かった。


「分かったぞ! ヴィル―――お前の居場所が」


 俺は空中に浮遊しながら、再び先ほどの槍を出した。


「ははは―――そんな、見えを張っても、僕の居場所は――――」


 グサリ。

 それは、生々しい音だった。

 人体を貫く、忌々しい音。

 それが、空間にこだました瞬間。

 ヒョウやディル、そしてボルの叫び声が響く。


「翔琉!」

「嫌あああああああ‼」

「お前何してるんだ!」


 彼らの目に飛び込んできた光景は、俺の胸に光の槍を突き刺すことだった。

 翼越しに、透き通る光の槍――そして、一筋の汗が流れ落ちる。

 痛い―――思った以上に痛かった。

 普通ならば、痛いで済まされないのだが、術者本人のため、つまようじでつつかれた程度の痛さでとどまっている。

 だけどどうだろうか?

 術者以外の、他人の場合は、尋常じゃないほどの苦痛があるのではないだろうか?

 俺の体内から切り離されたヴィルのように―――苦痛に表情をゆがませて、地面に投げ出された彼のように……

 そのまま、俺とヴィルは地面に落ちていく。

 落下した。

 俺はすぐに回復したので直接落下を阻止できたが、ヴィルは頭から落ちていった。

 それをうまくホルブが封印した。

 ナイス、ホルブ。


「翔琉―――あんた、何したの?」


 そうディルが俺に聞いてきた。


「ボルの話―――そして、これまでの話しから、ロジックを組み立てただけだよ。 もし、ディルがさ―――敵の攻撃から逃れるときに隠れる場所はどこ? ”もし、相手が攻撃しているとき安全な場所と言われたら……” そこは、敵自身の中じゃないかな? この魔導士たちの中で、俺の使用する魔法がおそらく強くて、一番厄介であろう、とヴィルは思ったはずだ。 だって、太古魔法より上位の神魔法を、ポンポン出されたら、勝ち目はないと思うからね。 だからヴィルは俺の――――つまりは天野翔琉の体の中に隠れた―――と言うことになるだろう? 木を隠すなら森の中、と言ったもんだけど、人を隠すなら人の中ってか―――」


 そのため、俺は自身を攻撃した。

 勿論、急所は外しているが、軽い痛みを伴う結果となった。

 ノーダメクリアは、やはり難しいな。

 しかし、結果ながら勝利することができたので結果オーライなのである。


「もう、無茶しすぎ」


 そう皆は言う。

 確かに、賭けみたいなものだったので、よほど自信のある時以外は、もう2度としない戦法だろう。


「暗黒賢者は倒したわ―――あとは教祖とガイルだけよ。 この教団の人間はもはや、羽をもがれたトンボだわ」


 と、ディルがリュウ達に報告しているようだ。

 不思議なたとえだ。

 悪役のような言い方。

 だがまあ、言いたいことはなんとなくわかる。


「そして、グランの居場所も分かったわ。 他の組にも同時並行に魔法をかけて、脱出するわよ」


 そういって、ディルは空間魔法を発動させて最後の目的地、オールドアへと向かう。

 離れ離れになっていた仲間たちも、無事に合流できた。

 そして、本部を壊すために、時限式魔法を仕掛けてきた。

 まあ、俺の世界風に言うならば、時限爆弾と同じであると認識してくれればいい。

 一応、ディルには、あのビル内の生物を全員別の場所に移動させてもらっているので、誰も死なないので安心してほしい。

 こうして、俺たちは最後のダンジョン―――オールドアへ通ずる巨大な塔に来たのであった。

 いよいよ、最後の戦いが幕を開ける―――

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