表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:最終章‐扉が開くとき‐
39/349

1stステージ38:マイペース

 夢幻峡谷―――ここには不思議な植物や、動物が生息している。

 この世界において、貴重な植物や、絶滅しかけた動物たちがこの地には多く存在するらしく、そのため、密漁目的で訪れる魔導士たちが後を絶たないという。

 それを迎撃するためにフルートは、この地で守護神の役割をしているらしい。

 彼女は、そういった植物や動物たちに、魔法によって様々な耐性を極限までに上げているというのだ。

 しかも、耐性を極限まで上げた結果、植物たちは自我を持ち、話すこともできるようになったあげく、自由に移動ができるようになったという。

 植物が歩く―――そんな光景を俺は見るまで信じられなかったが、心のどこかではきっとこの世界で起こることだからな―――と思っていたのだろう。

 目の前を花々がかけっこをして走り回っていても、木々が川の水で乾杯をしていても、意外にも驚かなかったのがいい証拠だろう。


「うわ、ほんとに走ってるな!」


 俺は、ついつい大声を出してしまった。

 すると、花々や木々は俺たちに気付いてすぐに、警戒態勢に入ったのだが、ディルがいることに気付くと、あっさりと警戒を解き、俺たちに近づいてきた。


「ディル様ですね―――フルート様がお待ちです。 どうぞ、こちらへ―――」


 そういうと植物たちは俺たちをフルートの元へと案内すべく、深々と生い茂る森の中へと進んでいくのであった。

 道中、様々な美しい木々、花々が見られたが案内してくれている植物の一人が


「ここの木々や花々は、危険な毒をもっておりますので、お触れにならない方がよろしいかと―――」


 おいおい、なんて恐ろしい場所なんだよ。

 見た目は天国でも、中身は地獄かよ。


「着きました、こちらです―――」


 森の中心にある、大きな樹―――その下にある一軒の小屋に着くと、彼らはそのまま、木々の中へと消えていった。

 木を隠すには、森の中――――と言ったものだ。

 俺たちが家の前に来た時に、1人の女性が出てきた。

 どこかのお姫様のような顔立ちに、綺麗なドレスを着て、その上からエプロンをつけている。

 どういうファッションなんだ?


「ディル――――待ったじゃないの、遅いじゃないのさ」

「ごめんごめん、フルート。 ちょっと昨日は遅かったから、温泉に寄ってたからね」

「え? 温泉!? いいな~私もたまに、のびのびと疲れをほぐすために、温泉行きたいわ――――あれ? そんで? あんた達……何しに来たんだっけ?」


 ディルが盛大にこけた。

 いや、驚いた。


「昨日連絡したばかりじゃないの!」


 そういい、ディルが身体に着いた土ぼこりをほろいながらフルートに、がみがみ説教をしている。

 フルートはどこからか取り出した紅茶を飲みながらそれを聞く。


「相変わらずの天然ね~フルートは」

「全くだわ……」


 と、リュウとヒョウは近所のおばさんみたいに談笑している。

 あの2人、本当は何歳なのだろうか?

 この間、聞こうとしたら怒られちゃったから、結局分からずじまいだし。


「相変わらず美しいな、フルート! 抱き付いて、軽く揉んでもいいかな?」


 トルネの手付きがいやらしい。

 トルネの目がいやらしい。

 トルネの鼻息の荒さがいやらしい。

 トルネはいやらしい。

 見境なしの、超変態怪物(ドエロモンスター)かよ……


「うん、間違いなく殺されるよ、トルネ」

「お主は懲りぬのう――――昨日もあんなに血の池地獄を作っておったのに……」

「ホルブ――――言うだけ無駄だろ」


 とライとエン、そしてホルブまでもが談笑を始めた。

 ディルによるフルートの説教は未だに続いている。

 フルートは、今度はクッキーを食べ始めている。

 どこに持ってたんだよ……

 そして、そのクッキーを求めてやって来た花たちや、動物たちに、こっそりと、クッキーをあげている。

 何故ディルは気が付かないんだろう?



 俺は近場の切り株に腰を下ろして、説教が終わるのを待つことにした。

 ライたちも話で盛り上がっているから、すごく暇だ。


「うーむ……暇だな……」


 そう呟き、空を眺めている。

 雲が流れていく。

 ふと、地面を眺めると、猫じゃらしのようなものにじゃれている虎が1匹――――ボルだった。

 しかも、3歳時の姿より、遥かに幼い容姿だった。

 あれ?


「なにしてんの、ボル」


 と歩み寄ると、足元にすり寄ってきた。

 完全に猫になってる?!


「可愛い!」


 と思わず、抱っこしてしまった。

 やべぇ、この肌触り。

 このモチモチとした、肉球。

 そして、この暖かさが、半端じゃない!

 暖かい♪


「翔琉~くすぐったいじゃないか」


 尻尾を振りつかせて、嬉しそうにほっぺを擦りつかせるボルが異常なまでに可愛い!

 子猫とか、子犬とかも可愛いけど、今のボルの方が、遥かに上なんじゃないかな?

 と、ボルとじゃれついていると、ライとリュウとヒョウが、物凄い勢いで走ってきた。


「ボル~! その位置代われ!」

「翔琉ちゃん、あたしもだっこして~!」

「翔琉君~♪」


 やべぇのに見つかってしまったな。

 俺の下に3人がたどり着きかけたとき、森の方から爆音が聞こえた。

 そして、爆煙が空に立ち込めたのだった――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ