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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第3章‐進化するべき時‐
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1stステージ35:最後の1人へ

籠の中の鳥ーーーー現在の俺を示すに当たっては、これ以上に妥当な言葉はないだろう。

俺は、ガイルの魔法によって、見事に封印されてしまった。

神魔法ですら、脱出不可能な、籠の中に。

しかし、俺は思うのだ。

こんなか弱い鳥を捕まえたところで、なんの意味もないものだと。

所詮、俺の実力は不死鳥程度……

ごめんなさい。

飛躍させ過ぎました。

鳥だけに。

……。

はい、お後が宜しくないようで。

ここは可愛らしく、雀かヒヨコといこうかな。

雀を捕まえたところで、外に凶悪な鷹やカラスがいるならば、むしろ籠の中の方が安全ではないだろうか?


「まさか、神魔法でこんなことができるだなんて――――」


 とガイルが言い終わる前に、ライによって鳥かごを奪い取られる。

ガイルは一瞬何が起こったのか理解できなかった。

それほどに、今の彼は素早い―――


「神魔法:雷天神! 雷属性の俺の動きは、雷と同様の速さに―――いや、それ以上のものになるのさ」


 そういって、かごの中の俺を見る。


「翔琉―――籠の中の翔琉。 やべえ、可愛い。 このままいけば、翔琉は、俺の―――」


 おいおい、変なこと考えていないで早く出してくれよ。

と言うか、出せ!

今すぐ出せ!

この状態危険すぎるだろ!

リュウの目も、ヒョウの目もすごい目でこの籠見てるぞ!

ヤバいって!


「やれやれ、早く、解放してやれよ」


 とエンが、ライの隙をついて籠を破壊する。

俺は籠から、出られた。

身体も、元の大きさになったし、良かった。

何より、恐ろしい事態は回避できたことだし―――


「助かったよ、ありがとう」

「どういたしまして、翔琉君」


エンをすごく睨んでいる3人は放置しておこう。

状況をいまいち呑み込めていないガイルは、この状況に焦るのだ。


「ぶつぶつ……なんだ、この状況……ぶつぶつ……」

「しかたねーな……皆の者、俺の攻撃をくらうがいい!」



 慌てるガイルをよそに、トルネは攻撃を続ける。

先ほどより酷い、暴風を―――

台風どころでは済まない。

スーパーセル並だ。

ああ、ドラゴンボールの方じゃなくて、災害とか天候の方ね。

しかし、もはやトルネの攻撃は誰にも通用しない―――何故なら、神魔法を全員が発動しているからだ。


「トルネよ―――これまでの攻撃を受けよ!」


 そういってホルブの吸収魔法の攻撃を受ける。

闇天神状態での、吸収魔法―――これを先ほどの俺を封じた壁でトルネは防ごうとした。

しかし、その攻撃を完全に防ぐことができずに壊され、さらにダメージを受ける。

それは当然だ。

神魔法だもの。


「俺の最大防御を―――ホルブが壊すだと!」

「隙あり!」


 そういって、ヒョウの氷がトルネを覆う。

動揺したため、かなり隙があった。

 そして、トルネは氷の中に封じられてしまった。

可哀想に―――


「トルネ! ふん、役に立たない駒だな―――それでも、7人の大魔導士の中でも、1・2を争う実力の持ち主か? まあいい―――」


 そういって、とうとう玉座から立ち上がるガイル。

重々しい空気が、周囲を襲い―――


「まさか、俺自ら手をくだすとはな――」

「―――いや、さっきからちょくちょく、手を出してたじゃん。 何言ってんの? 馬鹿なの?」

「……」


と、リュウがぼそりと言ったのだが、どうやら聞こえていたらしく―――図星であった。

次の瞬間、俺たちは黒い風に襲われたのだった―――


暗黒賢者ガイル。

彼の魔法は太古魔法:重力魔法グラビティーマジックである。

この魔法は、その名の通り、重力を操ることが出来る魔法である。

そして、様々な魔法にその重力を付加できる。

先ほどの黒い風は、風属性の魔法に重力を付加したものであるようだ。


「風の魔法:重力化大竜巻じゅうかたつまき!」


俺たちは、壁に投げ出されてしまった。

遠心力が、半端じゃない。

ミキサー機に、入れられているのと同じだ。

このままじゃ―――本当に―――


「っく! ディル!」


渾身の力を振り絞って出た、助けを呼ぶ言葉は、1人の女性の名前だった。

彼女は、すさまじい重力下で、体勢を直し


「任せて! 時の魔法:平衡崩へいこうくずし!」


 そう言って、魔法を放った。

彼女の手が、黄色く光ったと思ったら、ガイルと同様の魔法が飛び出て、重力化大竜巻とぶつかって打ち消しあった。


「平衡崩は、相手と同様の魔法を一時的に過去から、引っ張ってこれる魔法―――でも、タイムパラドックスとか発生しちゃうから、後処理大変なのよね……」


まあ、なんにせよ助かったよ。

ありがとう、ディル。


「―――くそ、分が悪い。 ここは、一時撤退だ」


 そういうと、ガイルは懐から水晶をだしその中に消えていった―――ガイルが入りきると、水晶玉は割れて消えた。


「逃げたか―――チッ」


リュウの舌打ちが聞こえた。

なんにせよ―――取りあえず、ひと段落ついたようだ。



風城内部の王の間―――取りあえず、トルネを氷の中から出してあげよう、という事になった。

そりゃあ、当然か。

だが、洗脳状態である彼を見す見す出してしまうのは、再び戦闘になる恐れがあったので、勿論氷から出す前に、リュウの異常状態回復魔法によって洗脳を解いた。

良かった、無事で―――


「無事なもんか! お前ら、もう少しまともな方法で助けろ、馬鹿どもが‼」


助けなきゃよかった―――

そう一瞬でも思ってしまった俺がいた。


「翔琉―――こういう男なのよ、トルネは……」


ため息交じりに、ディルは言う。

やれやれだよ―――


「お前が天野翔琉だな? 俺の名前はトルネ、この風城の王だ。 全く、神魔法なんか危なっかしい魔法なんか覚えやがって―――そもそも、お前がな……ゴフッ」


トルネに、ディルとリュウとヒョウのパンチが炸裂した。

痛そう―――


「―――何するんだ、花魁ども! 王に向かって、こんな仕打ちをして、ただで済むと思うな―――ガハッ」


偉そうなことを言いかけた、偉そうな王様は、女王様―――いやいや、リュウに頭を踏みつけられている。

そして彼女は、笑顔で、笑顔で、笑顔で―――こう言った。


「トルネ―――死ぬ? ああ、間違えた。 あなた、地の大魔導士グランの行方を知らないかしら? あたしの魔法でも探せないのよ―――」


グリグリ、とトルネの頭を足で撫でている。

まあ、正確には踏んでいるのだが―――

そしてなんだろうか?

トルネは若干嬉しそうにしている。

ドMの変態かよ。


「いてててて! そろそろ、快感フィーバーが……ゲフンゲフン。 そろそろ、やめてくれよ。 話すに話せないじゃないか!」


なんか今、すごいダメな発言があったような気がするが―――

気のせい、気のせい。

トルネは、女王様リュウの足をどけて、すっと立ち上がり、軽く咳払いをして、話し始めた。


「―――地の大魔導士グランは、現在行方が知れずになっている。 しかし、最近聞いた話では、グランの故郷である、地底の国である大地之中心グラウンドキングダムに、いるのではないかと言うのを耳にした」


大地之中心?

深そうな名前だな。


大地之中心グラウンドキングダム―――鎖国国家にして、軍事国家。 多くの戦闘能力の高い魔導士が在籍し、歴史的に古い建造物のある、特別指定区域―――そして、暗黒魔法教団総本部がある場所だ」


敵の本拠地のある国。

危険度MAXじゃね?


「そう―――そこに、奴らもいるのね。 残りの暗黒賢者、そしてブラッドも―――」


ディルの目は怖かった。

目が座っていた。

威圧感のような、凄まじい気迫を感じた。

ブラッド=ブラックと、ディルの間には何か、あったのか?


「でも、鎖国している国に、どうやって入るのですか? 密入国する――――と言う訳にも行きませんし―――」


とヒョウが言った。

確かに、そこはどうするのだろうか?

いくら有名な魔導士だとしても、犯罪を犯していい理由なんてないのだ。

密入国―――これは、れっきとした犯罪行為だ。

しかし、仕方ない場合もあるのも現実だ。

さて、どういった解決策をディルは出すのだろうか?

と、考えていると、彼女はあっさりと、きっぱりと言った。

悪ぶれもせず、おどけたりせず、ただただ冷淡に言った。


「連合の最高権力者を頼りましょう―――私と同じ、太古の魔導士にして、大地之中心出身の植物魔法プラントマジックの使い手―――フルートをね」

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