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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第3章‐進化するべき時‐
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1stステージ34:風

 魔方陣の発動によりやってきたのは、風城。

 激しい風の音が聞こえる。

 外の風の壁の音だろうか?

 まるで、台風のような激しさが伺えるのだが、内側の城の内部には全くといっていいほど、風はなかった。

 台風の目みたいだ。

 そして、どうやら、ここは既に王の間のようで、辺りは赤と黄色の、よくあるゴージャス感溢れる作りであった。

 と、突然風属性の魔法が俺たちを襲った。

 まるで、バッドで殴られたような痛みが、身体を襲った。


「くっ! この魔法は、トルネの……!」


 リュウが言ったのも束の間、声が飛び込んでくる。


「ようこそ、我が城へ……」


 そういったのは、玉座にどかりと座り、一昔前の西洋の王子様のような格好をした、王冠をかぶる青年だった。


「トルネ!」

「久しいな、ディル……2年ぶりか?」


 昔話に花を咲かせるのかと思えば、それを遮る男が、トルネの近くにいた。

 黒いコートを羽織った鳥族の男……カラスのような漆黒の翼を広げる暗黒賢者ガイルだった。

 こいつが、ジャクさんの息子……

 父親に全然似てないな……特に羽根が。


「さて、トルネよ……こいつらを蹴散らせ!」

「分かりました……ガイル殿……」


 そういうと、トルネは浮かび上がる。

 そして、空いた玉座にはガイルが、どかりと座り


「さあ、ショーの始まりだ!」


 そのセリフを合図に、強力な竜巻が俺たちに襲い掛かる。


「風の魔法:竜巻落(せんぷうき)


 激しい竜巻の中、身体が引きちぎられるかのように、左右に引っ張られた。

 全員のガードが間に合わないようだった。

 ここは俺がやるしかない。


「神魔法:光天神!」


 そういって、光天神を発動させた俺は全員の竜巻を光速でかき消した。

 竜巻の中で、縦横無尽に舞う閃光。


「それがうわさに名高き、神魔法の能力と言うことか……実に愉快だな」


 そうトルネは言う。

 玉座に座る、ガイルは偉そうに


「トルネ!そいつが、神域魔導士だ!捕獲しろ!」


 と、トルネに命令をしている。

 典型的にダメな息子だな……ジャクさんには、悪いけど。


「御意……」


 ガイルの命令に対して、即答したトルネは再び魔法を俺に仕掛ける。


「風の魔法:魔風印(ふうへきいん)


 そういって、俺の周りには風の城を覆っていたレベルの風の壁ができたのであった。

 手で触ろうとすると、手がなくなってしまうのではないかと思うほどの強い風――――


「この魔法なら、流石に貴様も動けまい……」


 完全に鷹をくくっている、トルネに対して、俺はニヤリと不適な笑みをこぼしていた。


「いいのか?」

「何がだ?」

「俺だけに集中していて……」

「!!」


 俺の忠告通りの事が起こった。

 トルネに、水・雷・炎・氷・闇の槍が襲い掛かるのだ。


「翔琉ちゃんばかりに……」

「負担をかけるわけには……」

「行かないんだ‼」

「ワタクシたちの……」

「攻撃を受けろ!」


 その槍は、トルネの隙を完全についていた。

 行ける!と思ったが――――しかし、槍が刺さる前にトルネの周りを黒い風が覆い、槍をはじく。


「おいおい、俺の相棒に攻撃してんじゃねえよ……クソ魔導士どもが……」


 どうやら、ガイルによってガードされてしまったようだ。

 しかし、その隙をホルブとディルがつき、ガイルに攻撃する。


「ガイルぅぅぅ‼」

「捕えたわ‼」


 これは決まっただろう!

 そう思っていた。

 ホルブの吸収魔法と、ディルの空間魔法が、ガイルを捕えかけた時……トルネの竜巻が2人を襲う。


「甘いぞ、俺がいることを忘れたのか?」

「甘いのはお前だ!」


 そうライたちがトルネに再び攻撃を仕掛ける。

 ガイルも完全に意識外だったようで、ガードできなかった。

 その結果、今回は、トルネに当たった。

 しかし、浅い――――


「俺のガードをかわすとは……貴様ら、全盛期より力が上がっているではないか」


 そう言って、顔を曇らせたトルネを見て


「何をやっているトルネ。 早くこいつらもあいつみたいに・・」


 とガイルは、俺が閉じ込められている場所を指さす。

 その瞬間俺の周りの壁は消え去った。

 ガイルとトルネには、何が起こったのか分からなかったようだ。

 そんな、ポカンとした顔をしている彼らに俺は言った。

 ニコリと微笑んでーーーー


「なんだ……やっぱり、やぶれるんじゃん!」


 そういって、俺は地に降り立つ。

 翼は生えたままだ。


「俺の作った壁を……解くのではなく、破壊しただと!」


 さすがのトルネも動揺する。

 汗が、彼の頬を伝う。


「さすが、神魔法……恐れ入るよ。 こうやって、そうやって、油断した者たちはやられていくんだろうな……だが、俺は違う!」


 といい、ガイルが鳥かごを懐から取り出す。

 どこに入ってたんだよ、その大きさ。


「これで終わりだ! 風の魔法:神鳥捕獲(すざくほかく)!」


 そうすると、俺の身体が鳥かごに引き寄せられる。

 あれ?

 なんでだ?


「翔琉!」


 そういって、大魔導士たちはガイルを攻撃するが、トルネの風の魔法によって防がれてしまう。


「これで、終わりだ!」


 と高笑いするガイルをよそにトルネは無表情のまま空中浮遊し始め


「そうは、させないわ!」


 そういって、ディルは時間を止める。

 時の魔法だろう。

 トルネとガイルのみ時が止まる。

 だが、魔法によって俺が引っ張られるのは止まらない。

 掃除機に吸い込まれる気分だよ。

 くそ!逃げられない。


「翔琉! その魔法は発動したら、絶対に捕まってしまう魔法なんだ! だから、逃げるのは無理だ!」


 そうボルは俺に言う。

 光すら捕らえてしまうとは……ブラックホールかよ。


「だから、捕獲された瞬間にあの鳥かごを壊す! そのためには……」

「トルネの壁を破る魔法……すなわち、神魔法が必要‼」

「じゃあ、みんな! あれをやるからね!」


 そういって俺は全員に俺の力を・・俺の神魔法を送る。

 全員に送り終えた時、俺は鳥かごに囚われた。

 神魔法は発動中、そして背中に翼が生えたままだ。

 まさに、籠の中の鳥、である。


「ごめん……みんな、後はお願い……」


 そして、再び時が動くとき、トルネとガイルが見たのは驚くべき光景だった。


「なんだ! これは! ルーン……話が違うぞ!」

「これは……」


 全員の背中から、それぞれが最も得意とする属性の翼が生えている。

 つまりこれは、それぞれの属性の神魔法が発動されている状態だと言うことを示すのであった――――

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