表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ラストストーリー編:最終章~真終の巻~
345/349

Lastステージ54:戦慄の図書館

究極神魔法……神のつくりし20個の宝具の1つ【閃光矛】。

これらこの世界最高峰の戦力で、俺はこいつを倒そう。

俺が勝てなかった神の管理者を倒した、始まりの神ファーストさえも、意図も簡単に殺したこの化物相手に、俺はどこまでやれるか分からない。

下手をすれば死ぬだろう。

だが、やらなきゃダメなんだ。

俺がやらなきゃ、他の仲間たちはみんな食い殺されてしまう。

そんなところ、もうみたくないんだ。


「閃光矛……舞え‼」


俺の手元から放たれた閃光矛は、縦横無尽に滑空し、消去者の腹部を貫いたーーーかに見えたが、寸前でピタリと動きを止められた。


「コノ矛モ旨ソウダ」


そう言って消去者は止まった矛をひょいっとつまみ上げ、食べようとした。

だが、閃光矛は食べられなかった。


「【第一戦闘状態】発動」


矛の形から、うって変わって、ブーメランのような形状になった矛は、消去者の掴んでいた手を引き裂いて、どうにか脱出することができた。


「グフフフ……」


と、消去者は不気味な笑いを放ち、切り落とされた手をむしゃむしゃと食べる。

すると、切り落とされた手が、元通りに生えてきた。


「まじかよ……こいつの肉体は完全に消し去らないとダメなのか……」

「ムフフ。オマエハ我ノ邪魔バカリスルナ……本当二……コノママダト、マズイ……時間ガ無クナル」

「お前、何を言って……‼」


俺は、目を疑った。

【消去者】は、俺の前から忽然と姿を消した。

先程まで戦っていたのに……先程まで会話をしていたのに……唐突に。


「いったいどこへ……」


次の瞬間、衝撃波が俺を襲ってきた。

究極神魔法によって、常時発動している光によって、ダメージはないが、すさまじい威力だった。

究極神魔法使用中の俺が、吹き飛ばされる位の威力だった。

そして、俺は衝撃波の来た方向を見て、戦慄した。

それは、時空図書館への入り口……。

先程まで固く閉ざされていた扉は、もの見事に穴を開けられていた。

そして、その穴から、断末魔のようなすさまじい雄叫びと、ぐちゃぐちゃと、なにかを貪る音が聞こえた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


俺は図書館内へと急いで向かう。

戦慄の図書館内……それは、逃げ場のない狩り場だ。

【魔がさす楽園】内全ての生物が集まるこの場所……【消去者】にとっては、まさに食べ放題の会場だ。

俺は急ぎやつを追う。

やつの狙いは、この【魔がさす楽園】全ての生物だ!



血飛沫……死体……骨……内臓……。

至るところに、食い散らかしたあとが残っていた。

暴食の【消去者】は、やはり真っ直ぐに、図書館内の一番でかいシェルターへと向かったようだ。

鳥族、虎族、精霊族、龍族……その他、多くのものたちが、戦ったようだ。

だが、全員成す統べ無く……殺られていた。


「……」


俺は次第に自らの力の無力さに失望していた。

力さえあれば……俺が油断さえしていなければ、こんなことにはならなかったのに……。


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼」

「‼」


広間の方から、声が……。

急がなくては。

俺は手を血がにじみ出るまで握りしめ、光速で向かう。

【魔がさす楽園】の住民たちを守るため……そして、仲間たちを守るために。


「もう、手段は選ばないぞ……」


封印もダメ、気絶もダメ……こうなったら……殺してでも、あいつを止めて見せる。

この命に変えてでも……刺し違えになったとしてもだ。



「こないで!いやぁぁぁぁぁ!!やめ……」


ごりっと、首をへし折られ、赤子を抱えた母親が赤子ごと食われる様を、俺は到着早々見ることになった。

酷いを通り越し、心がないとまで思えるほどに、辺りは凄惨な光景になっていた。

戦えるものは、前に出て……戦えないものはシェルターの奥へ奥へと詰めていく。

だが、シェルターの奥にあるのは小さな別シェルターへの出入口……。

こんなにも多くの生物が一斉に逃げることは叶わない。

一人、また一人と、別シェルターへの出入口を潜るが、その間にも、戦えるものたちは次第に数を減らしていく。

世界魔法連合のTOPクラスの猛者ども、各部族の最強の戦士たち、その他武芸の達人たちが、必死になって【消去者】を抑えているが、徐々に徐々に、非戦闘者ばかりを捕食していく。

また一人、また一人……確実に人口は減っていっている。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼」


と、俺は【消去者】を壁に向かって思いきり蹴り飛ばした。


「翔琉‼」


と、ライは嬉しそうな顔をして言った。

天野翔琉の登場……それによって、先程まで荒々しく逃げ惑っていた住民たちに、希望の光が差し込んだ。

絶望の縁から、希望へと転換させた。


「みなさん、慌てずに‼ここは、俺に任せて、避難してください‼」


と、俺はライたちと俺との間に、【閃光矛】の防御状態を展開させ、隔離した。

これでこちら側に残っているのは、俺とこの【消去者】だけだ。

先程の様子から見るに、閃光矛の攻撃は通用した。

ってことは、防御状態にも、効果は期待できる。

俺はここでこいつを倒してやる。

今度こそ、悪夢を終わらせてやるんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ