Lastステージ53:【なにか】
俺が話終えると同時に、アマギは治療を終えて、こちらにやって来た。
そして、その閉ざしていた口を開き……先程俺に話そうとしていたことを語り始めた。
あの、【なにか】について……。あの【なにか】の正体について……そして、【なにか】が出てきた原因についてを。
「あの【なにか】と呼ばれているもの……それは、概念だ。
世の概念……世界の概念……宇宙の概念……。
この世界、この宇宙には、始まりの神ファーストが世界を創造する前から【概念】が存在していた。
その概念は不可侵で、不介入で、不可視の存在であった。
だが、始まりの神ファーストは1度だけ……非公式だが、あることをしてしまい、自らの命をリセットさせられる。
もちろん、概念によってだ。
その理由として、彼女は【概念】が取り決めたルールを排除しようとしたというのが大きい。
概念のルール……それは、宇宙が生まれる以前から、始まりの神ファーストが生まれる前以前から……全てを確定させて、確立させた。
だが、始まりの神ファーストはその概念を1度だけ破った。
その時に現れたのが【なにか】だった……らしい。
非公式だったから、どこにも記録は存在していない上に、ファーストが俺が幼少期に少し話してくれた程度だから覚えていないけど。
あそこまで、母が狼狽しながら話してくれた過去はなかった。
でも確か……【なにか】の発動条件は「概念が置き換わる瞬間の後継者以外の抹殺」だったかな?
概念は、年々衰え、世代を世界を変えるごとに、新たな概念となり得るものを選別するらしい。
そして、その選ばれた者がいる世界は【後継者】を概念にするために、全ての命を【なにか】が捕食し尽くして、無に返す……。
それが【なにか】の目的で、世界の終わりの始まりだとか。
当時のファーストは、身代わりとして自らの力を当時の10分の1にすることで、どうにか全滅を回避したらしいんだけど……今となってはもう……。
だから、概念を倒すなどできはしな……」
語り部であったアマギの声が唐突に途絶えた。
俺たちは、なぜそれが起こったのか……全て見えていた。
飛散する彼の血飛沫を浴びながら……。
「見ツケタ……オマエラ食ウ」
そこには、アマギを捕食し始めた【なにか】がいた。
彼の父親と母親と同様に……。むしゃむしゃと、捕食されている。
「あ……あ……」
っと、全員が呆気にとられている中、俺は冷静に事を対処するに当たった。
まず最初に、アマギの一部を奪取すること。
始まりの神であるファーストの息子である以上、彼には強力な再生機能が備わっているはずだ。腕の一部でもあれば、そこからなんとか再生……つまりは、生き返らせることが出きる。
次に行ったのは、仲間たちを時空図書館内へと避難させ、シェルターを閉じることだった。
どうやってこの空間に来たのか分からないが、とにかくシェルター内へと仲間たちを逃がしてしまえさえすれば、例え概念だろうがなんだろうが、あの図書館への侵入は出来ない。
もう、誰も死なせたくないんだ。
「究極神魔法発動‼全員転送!」
俺は即座に、【なにか】以外を全員図書館内へと移動させ、入り口を固く閉ざした。
更に、扉には【全属性】による絶対神域を何十にも展開した。
「マタオマエカ……エット……天野翔琉ダッケ?」
「【なにか】……生きていたんだな」
【なにか】は、口から出ていた血をペロリと舐め、それらを飲み干した。
まだ食い足りないようで、やつの腹は異常なまでに鳴り響いている。
「グフフフ……神ハ旨イナ。天野翔琉。オマエノ中ニモ、似タヨウナ匂イガスル……我ニ差シ出セヨ」
「嫌だ……絶対に嫌だ……というか、お前はそもそも何者なんだ?」
アマギの説明では、やつは【概念】であると予想を立てて話していた。
だから、それを確証させるために、やつ自身から情報を引き出さなくては……。
「我カ?我ハ概念……」
「……」
「ナドデハナイ」
「‼」
アマギ……はずれだな。
「我ハ終ワリヲ告ゲル者……存在シテハイケナイ世界ノ【消去者】。タダソレダケノ話シダ」
「消去者……存在してはいけない世界だと?」
この世界が……この【魔がさす楽園】が、存在してはいけない世界だと?
「ふざけるな‼誰がそんな事を決めたんだ‼いい加減にしろ‼生きている者を無惨に殺めているお前が、存在してはいけないものだろ!」
「全テハオワリノハジマリノタメニ……眠リカラ覚メルタメノ儀式ダ」
「そんなことさせるものか!【なにか】……いや、【消去者】‼お前はここで絶対に倒す‼」
そして、俺は異空間から、ある武器を取り出す。
この武器ならば……この【閃光矛】ならば……。
今度こそ、あいつを……この手で。




