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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ラストストーリー編:最終章~真終の巻~
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Lastステージ47:食ベル

むしゃむしゃと不気味な音を立てながら粗食をしていた【なにか】は、城の中にいた俺に言葉を発した直後、雨の中すごい勢いで走り始めた。

俺のもとへ向かうのじゃないな……。

この方向……おいおい。


「俺がディルに連れられて始めて行った、町の方向じゃん……」


俺は慌てて【なにか】の後を追う。

はげしい豪雨が襲い来る中、俺は必死になって【なにか】を追いかけた。

だが、俺が町につく頃……それは既に始まっていた。


「なんだよこれ……」


ザーザーと降り注ぐ雨の中、町は真っ赤に染まっていた。

色んな人種、色んな種族、色んな店が立ち並ぶ商売で溢れていたこの町にいた者たちは、全員殺されていた。

全員、頭から食べられてしまっている。

だが、【なにか】は、頭だけを捕食しただけで、他は全部残していったようだ。

だから、首から下がある死体が、その辺に転がっている。

雨の臭いに混じって、血の臭いと死体の臭いが充満してきて、俺は頭痛と吐き気に襲われた。


「うぅ……」


口元を押さえながら、俺は【なにか】を探す。

だが、この町の住民を食い終わったやつはもう既に、次の場所へ向かったようだった。

町からでる方向に、大量の血が足跡のように残っている。


「この方向……やばい!」


俺はなんとなく次の場所が分かってしまった。

この直線方向にある場所は、病人が集まる場所ーーー癒しの泉だ。

病人が幾億人と集まるあの場所……とてもじゃないけど、あの【なにか】から病人は逃げ切れない。


「神魔法:光天神発動!」


俺は光速で向かう。

あの場所には、あの人がいるから大丈夫だと思うけど……でも、向かわなきゃ。



癒しの泉に到着した俺は、自分で見た光景を疑いたくなった。

否、夢だったら覚めてほしいと思った。

顔に手を当てて、世界全てを見えなく覆ってみたが……なんにも変わらなかった。


「ううう……」


俺は目を開けて、吐きそうなのを堪えて、光景を改めて見る。

癒しの泉ーーーその名に相応しくなく、目の前に広がっている光景は惨殺の泉だった。

超回復能力のある起源泉のある泉には、泉の水面よりも高くつまれた首のない死体が沈められ、山積みとなっていた。

その滴る血で、泉はすっかり真っ赤で黒々しく濁っていた。


「……だ……だれか!誰か生きてる人は……!」


その時、癒しの泉にある古城から、あの不気味な音が聞こえた。いる……あいつが……。


「ちくしょう……ここで倒してやる……」


そう思い、神魔法を発動させながら俺は古城へと向かった。

古城の入り口部分は、明らかに戦闘のあとだと分かる程にボロボロになっていた。

そして、治癒魔導士たちの死体も……。

その奥から、くちゃくちゃと貪る不気味な音が鳴り響く。


「何を食べて……まさか!」


俺は嫌な予感しかしなかった。

だってここに来るまで、【あの人】の姿が見えなかった……。

嘘だといってくれ。


「……‼」


俺が着いたとき、【それ】はもう終わっていた。そして【なにか】も消えていた。

残っていたのは……。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ぁぁぁ……ミコト……」


かつて支配者とまで言われた女の首のない死体だった。

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