Lastステージ43:無双の神
俺はセカンドによって封じられた直後ーーー神界にある者たちが降り立った。
天空の扉を抉じ開け、天と地を引き裂かんばかりの力をもってして、彼らは現れた。
ある者、漆黒の衣を纏いし冥界の蔓延る魔の者たちの王。
ある者、銀色の衣を纏いし邪の道を歩み改心したこども。
ある者、純白の衣を纏いし全てを産み出した祖。
つまるところ、悪魔神ヨルヤ=ノクターン。
つまるところ、元邪神アマギ。
つまるところ、始まりの神ファースト。
この3神が現れたのだった。
「やっほぉ~セカンド。おっひさー♪」
軽い感じで言うファーストだったが、聞いているセカンドは冷や汗が止まらなかった。
それどころか、恐怖を覚えた顔をしていた。
醜く、醜く、醜く、醜く……彼女の顔は強ばっていた。
「ファースト……様……」
「んんん?ねぇ、あそこに捕らえてるのって、私の友達なんだけど……何してくれちゃってるの?」
「え?いや、その……」
「んんん?そういえば、私……紹介状書いて上げたんたけど、それを持っている人たちが何処にも見当たらないってのはどう言うことかな?」
「だから、その……」
「おい、セカンド……」
急にドスの利いた声へと変貌したファーストの声に、セカンドはビクッと怯えている。
セカンドとファーストの間に何があったのかは分からない。だけど、少なくともセカンドはファーストに逆らうことは出来ない様子だった。
「翔琉くんたちを今すぐ解放しなさい」
「……」
「セカンドォ!」
「は、はい……今すぐ……」
ファーストの指示に従ううのだろう……と思っていたら、セカンドは対に反撃に出る。
「んなわけねぇたろ!神罰魔法:流逝群!」
俺が受けた攻撃同様、88星の光が辺りを照らすが、ファーストが指をならすと、88星全ての光はかき消された。
「んな!」
と、セカンドは口をぽっかり開けて驚いていた。レネンたちも口をぽっかりと開けて驚いていた。ヨルヤでさえもぽっかり口を開けて驚いていた。
「……88星なんて、懐かしいわね。でも、所詮は昔私が砕いた惑星の塵の88塊ってだけでしょ?なら、魔法さえも使うことないわね。指をならすだけで、誰がご主人かってことを思い出させて上げたんだから……」
「ファースト……相変わらず、規格外の力を……」
「あら?これでも、手加減してるのよ?ていうか、今の私って封印状態だからね?お前と、死んだお前の妹のサードとフォースによってな」
「……ならば、神罰魔法:生贄太陽!!!業火に焼かれろ!!!」
灼熱なんて生易しいほどの高熱度を帯びる無数の疑似太陽が、ファースト目掛けて飛来する……かにみえたが。
彼女はーーーファーストは笑っていた。
「だーかーらーむーだーだーよー」
スッと、手を差し出すとファーストの手の表面から氷の結晶のような物が飛び出て、セカンドが放った疑似太陽は凍てつく氷に閉ざされてしまう。
そして、辺りも……氷の世界に変わった。
「嘘でしょ……ファースト……。太陽だよ?太陽を凍らせるだなんて……」
「太陽なんて、所詮は高エネルギーの塊にすぎないんだから、そのエネルギーを奪ってしまえば何の効力もないのだよね……」
にこりと微笑むファースト……だが、セカンドには威圧しか感じることが出来ない表情に見えていた。
絶対に勝てない、絶対に戦ってはいけない……それが、始まりの神ファーストだということを永らく彼女は忘れていた。
だからこそ、彼女は再びある感情を思い出していた。
【恐怖】という、感情を……。




