Lastステージ40:強襲の管理者
意識を戻された直後、12星座の紋章に輝く水晶は粉々に砕け、リュウの究極神魔法は解けた。
だが、解けた瞬間に神魔法をかけたので、神界の天災が襲い来ることはなかった。
「なんだったんだ?あの女ーーーそれより、ホルブたちが……」
と、一同が困惑している最中、俺は感じていた。
巨大な殺気が、こっちを見ている。
「みんな!気をつけ……」
警告するのが遅すぎた。
否、言い終わるまえにそれは現れた。
殺気の正体にして、ホルブたちを閉じ込めている者だと思われる、それが……。
しかも、俺とレネン、アマデウスとジンライを除く全員を、あの謎の液体の入った容器の中に閉じ込めた上で……。
「はあい。始めまして、と久しぶりな神様も居るわね」
その女は邪悪な笑みを浮かべて、こちらを見ている。
「私の名前は【セカンド】。この神界の管理者にして、この世界に君臨する者よ」
「君臨する……だと?」
「そうよ、人間と虎族もどきの、作られた生命体」
この女、ムカつくな。
「さてさてーーー私の世界に足を踏み入れたことを、後悔させてあげようかなって思ったけど……チャンスをあげようかしら」
「チャンス?」
「トルネをーーー麒麟をあっさりと素直に諦めて帰ってくれるかしら?」
あの状態の仲間の姿を見て、諦めろだ?
そっちの方がちゃんちゃらおかしい話だろ。
「……こちらにメリットは?」
「トルネ以外の仲間の安全を保証した上で、元の世界へと無事に帰らせてあげるよ……どうかしら?」
「……ホルブとボルは、既に手足を千切られていた……その状態で安全を保証するなんて言われてもなぁ……」
「おいおい。人間……黙れよ。本来、この世界へ入ってきた時点で、死罪確定の所を、命だけは助けてやるって言ってやってるんだぜ?ありがたくそこは、ありがとうございますだろ?」
迂闊にこの女の事を信用するには、情報が足りなさすぎる。
それに、こいつが約束を必ず守るとは限らないーーーどうすればいい。
どうすれば……。
一人の命を見捨てれば、大勢の命が助かる。
一人の命を助ければ、大勢の命が死に絶える。
どちらに転んでも、必ず命の十字架を背負って行かなければならないこの状況は、悪夢と言ってもいいだろう。
だが、俺は決めた。
この2つの選択肢ーーーそれを無視することに。
「セカンド……その条件、承諾しかねる」
「はぁ?」
「悪いな、俺は欲張りな人間なんだ。なにかを得るために、なにかを捨てるなんてことは、したくねーんだ。悪いけど、力ずくで奪ってやる……」
「ふーん。無粋な人間だね……じゃあいいよ。もういい……やはり、お前らみんな死罪だ。まずは、お前からだ……人間風情が穢らわしい……お前は概念もろとも消し去ってやる」
そういって、女は不気味な笑顔から、冷血な真顔へ変わり、殺意を放つのだった。




