Lastステージ38:神の守護
神界へと俺たちはやって来た。
そして行きなり、雹が降ってきた。
それも、氷柱のような鋭い雹だ。
「炎龍魔法【乱舞】」
炎をまとったエンが、上空の雲ごと、氷柱を蒸発させた。パッと一瞬虹が見えたのも束の間、今度は激しい雷雨が俺たちを襲う。
異常気象による排除ーーーそれが、この神界の天候らしい。
神ならざる者は、侵入を許さず。
ファーストは、そんなことを言っていたな。
じゃあ、こうするとどうなるんだ?
「神魔法:光天神発動‼&全員に神魔法を付加‼」
俺の掛け声と共に、俺の心に宿りし【神魔法の化身】アマデウスが飛び出て、この場にいる俺の仲間たち全員に神魔法を授ける。
全員が全員、もっとも得意とする属性の神魔法をそれぞれ発動させる。
炎天神、水天神、雷天神などなど……無属性を除く8属性の力が場に溢れる。
神ならざる者の侵入を許さないこの【神界】という世界。
神ではない者が訪れると、強力な魔法由来の天災が襲いかかってくるという、嫌なシステムが配置されている。
回避する事は容易いかもしれないけど、延々と天災が襲ってくるのは、休まる暇もなければ、油断することさえもできない。
だが、神になってしまえばどうだろうか。
神界に居るのに相応しいとされた、神。
その相応しき神と同等になってしまえば……。
「……やっぱりな」
神界は、神様になってしまえばいい話だったようだ。
先程までの天災が嘘のように、美しき天国のような花畑や、美しき世界が広がっている。
先程までの攻撃自体が嘘のようだった。
「神界とは本来……このような姿が普通なのだよ……」
フワッと俺の後ろに、いつの間にかレネンが立っていた。
あれ?
いつの間に俺の魂から出てきたんだよ。
「この神界ならば、魂と融合せずとも……こうして現出できる。意外と、現出するのって力使うから楽でいいや♪」
「レネン……現出ってことは、お前に触れるのか?」
「うん。触れるよ。ほら♪」
そういって、俺のほっぺにレネンは指を押し込む。
痛い痛い。
こいつ、力加減間違えてるぞ。
「僕も出れるよ、翔琉♪」
「アマデウス!」
いつの間にか、足元に抱きついていた少年アマデウスの人体ならではの感触がそこにはあった。
この神界に居る間は、どうやら彼らも魂の状態で活動せずとも平気なようだ。
「はぁ♪翔琉♪今まで、触れなくておあずけ食らってたけど、今は肉体あるからひゃっふぅだぜ♪」
「アマデウス‼俺のママから離れろ!」
「おや、ジンライ。嫉妬か?醜いねぇ……まあ、その気持ちは分からないわけではないが……今は、離れないぜ♪」
バチバチっと火花を散らす二人はさておき、ホルブたちやトルネはどこに居るんだろう。




