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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ラストストーリー編:第2章~朱雀の巻~
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Lastステージ28:変態vs不死鳥

ピトフーイ女王陛下は、俺の元にゆっくりと歩み寄ってきた。じわりじわりと、まるでこちらから攻撃させることを望むように。

そんなに攻撃して欲しいんだったら、してやるよ。


「風の魔法:竜巻落(せんぷうき)


激しく縦横無尽に吹き荒れる竜巻がピトフーイに襲いかかるが、さすがは鳥族……あっけなく、羽で風を押し退けてしまう。


「風は私たちにとって、呼吸に等しいもの……御することなど容易い……」

「言ってくれるね、ピトちゃん。こう見えて、風使いとしては最強の部類なんだけどね……」

「……のわりに、こんな下級魔法で応戦しようだなんて、甘々ですね」


なんだ、バレてたのか。

竜巻落は確かに……下級魔法だ。

単純に、俺の力が強いから上級と変わらないってだけで、基本的に下級は下級……。

風を扱うものとして、竜巻程度起こすことはほんの嗜みにすぎない。

じゃあ、次だ。


「風の魔法:疾風怒号巻」


最強の風属性の魔法が空間を埋めつくし、ピトフーイに向かって襲いかかる。

さしものピトフーイ……鳥族王族の女王陛下といえど、特級魔法に羽を使って弾こうとしても、無駄だったようだ。

あっけなく風に飲まれる。

飲み込まれ、引き裂かれる。

辺りには、ピトフーイの羽がはらはらと舞い散るが、その場にピトフーイの姿は見当たらなかった。


「あ、やべぇ……倒しちまったか?」


俺は辺りを見回すが、やはりいない……。

鳥族王族の女王陛下が、あっけなさすぎる?

何が起こっている……何が起こって……。

うっ……。


「ゴホッゴホッ……はぁはぁはぁ……なんだ、これ?」


熱い……。皮膚が焼けるようだ……。

そしてなんだこれ?身体が痺れて……。

バタッと、俺は倒れてしまった。

全身が痙攣し初めて、心臓がやけに痛む……なんだ、これ。


「うふふふ……ようやく効いてくれたようね……トルネ……」


舞い散る羽毛の中から、1匹の小さな小鳥が現れた。

そして、その鳥は姿を変えて、ピトフーイ女王の姿になった。


「あらあら、無様に倒れちゃって……笑えるわね♪」

「ピトちゃん……何をした……?」

「なにもしてないわよ?強いて言うならば……私の羽が舞ったくらいよね?猛毒の羽が……ね」

「毒……」

「よく言うでしょ?美しい女ほど、毒のある女はいないって」

「そりゃ、刺じゃねーのか?」

「うるさい!とまあ、言ったところで、あなたはあと数分で死ぬけどね?ごめんね、トルネ……旧友とはいえ、朱雀の力を他部族のために使うことは禁止されているの……。もしも、強行に相手が出た場合は殺すことさえ止まないとね……」


ピトフーイは笑う。

嘲笑う。

笑う。笑う。笑う。

そして、その笑みは突然消える。

俺も毒におかされながらも、その顔は驚きの顔でいた。

ある人物が登場したのだ。

それも、有名な人物ーーー。


「やれやれ……トルネ……毒におかされちゃってるみたいだけど、また女の子にちょっかいかけたからじゃないのかな?本当に女の子が好き過ぎるね」

「うるせぇよ。てか、なんでお前がここにいる?いや、なんでお前動けるんだ?お前、あと数十時間で死ぬはずだろ?翔琉!」

「うん。そうみたい。でも、やっぱり、真似てるだけだからね……本人からは程遠いと思うよ」

「ってことは、お前翔琉じゃなくて、ドッペルゲンガーかよ……」


ドッペルゲンガー……かつて、癒しの泉の深くにある、オールドア修復に必要なあるものを求めて、ディルたちが戦った敵だった男……いや、正確に言えばこいつは人形だ。

始まりの神と互角の力で戦えた女……そして、水の大魔導士リュウの師匠であるミコトが生み出した人形。

やがて、彼はディルの記憶を消して拉致したが、改心し今では俺たちの仲間となっている。

彼の力は、単純な他者のコピー。

だが、変身できる人間によっては、その力は最強となる。

そう、たとえば今変身している天野翔琉のように……。


「天野翔琉本人かとびびったけど、まあ劣化版のコピーじゃあ、ねぇ?」


ピトフーイは油断している。

そりゃそうだ。

天野翔琉本人でなければ、天野翔琉本体でなければ、あの神魔法などが使えないのだとーーー油断している。

だが、それは間違いだ。


「光の魔法:光治」


光が俺を包み込むと、身体から毒素が全て抜け出し、舞い落ちていた羽さえも打ち消していた。

これぞ、光属性の浄化の力だ。


「ピトフーイ……ふむふむ……ニューギニアってところの毒鳥の名前らしいね。トルネの症状からみて、まあ羽をさわった程度の様子だけど、もしも皮膚に触れてたらすぐに死んでたかもね……」


毒鳥?

じゃあ、ピトフーイ女王陛下は、朱雀ではないということか?


「鳥族王族女王陛下……の影武者さん……そろそろ、朱雀の居場所について教えて貰おうかな」

「影武者?ピトちゃんが!?」


ってか、なんでこんなにドッペルゲンガーは知っているんだ?


「んん?トルネ、そんなに落胆するなよ。翔琉はなんでも知ってるんだぜ?前に、全世界の記録の集まる図書館で、全世界の記録を解読した上で全て読みといてて、全て記憶の奥底に眠ってるんだから……そりゃあ、なんでも知ってるのさ。まあ、翔琉はその知識をあまり使いたがらないみたいだけどね……本人は天才天才って言われるのが嫌いらしいからね。だけどまあ、翔琉が読みといた考察と結論さえ理解できれば……今の翔琉がどういう状態で、どういう対処しなければならないのか……ディルが懸命に図書館で調べているよりも、早く答えに行き着くことができるって訳だ……だからこそ、俺はここにいるんだよね」


横ピースをして、笑顔のドッペルゲンガー。

うぜぇ、けど、助かった。

いや、しかし恐るべき知識量だな、翔琉……。苦しんで昏睡している状況でなお、その存在は衰えないとはーーー。


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