表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ラストストーリー編:第1章~虎の巻~
312/349

Lastステージ21:怨念の覚醒

"ボルの心は、そのある者のお陰で、兵器としてではなく生物として……自我を持って行動できていた。

その者のもつ【慈愛の心】が、作用した結果とも言える。だが、裏では着実に怨念が蝕んでいた。

ボルは、人間を殺したい……だけど、目の前にいる癒しを与えてくれる人物は人間だった。

最終兵器としての彼は、やがて存在意義を混雑にさせてしまって、停止していた。

いやまあ、ボルとしては動いてはいるけど、最終兵器としては機能していなかったんだ。

もしも、ボルが最終兵器として行動していたら……ある魔法が発動していたことだろう。

怨念抹殺操作(バッドキャンセル)】……虎族が秘匿にしてきた、人類殲滅魔法。

この魔法が発動したら……ボルは全ての感情を消し去り、人類を根絶やしにするまで、破壊活動を止めなくなる。

言ってしまえば、最終兵器のスイッチみたいなものだと理解してくれればいい。

単純に、最終兵器発動ってだけの話しだ。

だけどまあ、ボルは怨念抹殺操作を使用することはなかった。

慈愛の心を持つその者の近くにいることで、ボルの中に眠る怨念はボルを蝕みはしたものの、支配するまでには至らなかった。

やがて、ボルが凶暴にならずに済みそうだと理解したそのとき……私たちの元へ、ある情報が来た。

それは、人間を恨む虎族の【最終兵器発動計画】だった。

未だに人間に対する恨みや怨念は、我々虎獣人の血には流れている。

そのため、怨念に支配された者達は、怨念に操られるがままに、人類を根絶やしにしようとするのだ。

事実、ボルが目覚めてしまったのも、後にその(やから)の者たちによる事だと判明した。

ボルが……最終兵器が発動してしまう。

それを知った私たちは、ある計画を立てた。

それが、ジンライと天野狼牙に助力を願うと言うことだった。

ジンライ……天野翔琉の息子にして、神魔法の後継者……そして、ボルと同じく血之誓で生み出された生命体。

天野狼牙……天野翔琉の異世界の義理の弟にして、かつてパラノイアを鎮静化させて封じ込めていた力を持つ少年。

この二人によって、ボルの兵器としての部分を封じてしまう作戦だった。

ジンライの神魔法と天野狼牙の能力(アビリティ)で、ボルの兵器を分離させてしまう作戦だった。

だけど、うちのコミュ障の旦那のせいで、ジンライや狼牙は勘違いをさせてしまった上に、拉致すると言う暴挙に出てしまった。

あーあ、本当にダメダメなんだから……。

コホン、さてそれでとりあえずジンライにはとある人物の足止め要因でコロシアムへ……そして、狼牙には事実を話して、インドラと合体していて貰ったってわけ……。"


「これが、全ての事情です……私が知っていることは全て話しました……」


アスラは深々と俺たちに頭を下げた。

ボルが最終兵器だったということは、もう事実として認識するしかない。

だが、先程のはなしによるならば、最終兵器は封じられるのか?


「アスラさん……俺の親友を……ボルをどうやれば、最終兵器としてのボルから解放できるんですか?」

「……安心してください。ボルはもう、最終兵器ではありませんよ……」

「え?」

「ほら、あれをご覧ください」


と、アスラは空中に浮かんでいる真聖絶光剣・監獄状態を指差す。

その中には、黒いなにかが形を変えて存在していた。

それは、ボルの姿になった。


「あれが、最終兵器としてのBlood Lifeです。翔琉様が、真聖絶光剣によって魂を分離させたお陰で、ようやくボルは最終兵器という立場から解放されました……なので、ボルは長い年月をかけましたが、最終兵器としての立場を永遠に剥奪されたということです。もう、二度とボルが最終兵器として目覚めることはないでしょう……1度怨念が抜け出した以上は、ボルの体内へと戻ることはもうできません。これで、私の……私たちの役目も終えたと言うものでしょうね……」


アスラは嬉しそうに涙を流していた。なんやかんや言っても、子供のように可愛がっていた兵器として扱われていた少年が、ようやく普通の生き物になれたことが、よほど嬉しかったのだろう。母親は、子供のためならば……とかよく聞くけど、彼女はまさにそういうタイプなんだろうな。


「じゃあ、あの最終兵器とやらをもう二度と使わせないためにも、完全に消滅させますか……」

「……いや、それは困るな……師匠(・・)


そう言って、空中に浮いていた真聖絶光剣をすかさず持ち去って、ふわふわと空中に浮かぶ人物がいた。

いや、人ではない……虎だ。

しかも、ここ最近出会った虎だった。


「最終兵器には、俺がなるよ……そして、師匠共々人類を根絶やしにしてやるよ……」

「……どういうつもりだ!ベルクーサス!」


ベルクーサスは、そんな俺の言葉を気にせずに、剣ごと最終兵器を飲み込む。

そして、まがまがしくどす黒い虎へと変貌したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ