Lastステージ13:白虎殿④
偉そうにふんぞり返っているものたちは、顔面蒼白となっている。
燃え尽きた……というよりかは、なんてことをやってしまったんだろうと言う感じではないだろうか。
まあ、そんなことは知ったこっちゃねぇーな。
それ以上に、今は怒っているのだから……。
「さて、トルネ……お前のお仕置きは、別の人に頼んでおくから、お前はスルーでいく……俺が今お仕置きするのは、ここにいる自称VIPってやつらと、インドラ……お前だ」
ギロリと、俺はインドラを睨む。
まるで、蛇に睨まれた蛙のように、インドラは呆然としていた。
完全に思考停止しちゃってるな。
「待ってくれ翔琉‼いくらなんでもお仕置きってのは……」
と、トルネが言いかけたが、その瞬間トルネは首根っこを捕まれ後ろに引っ張られた。
ぐえっと、言いながら後ろに倒れた彼が見たのは、俺の腕から解放され、今にもトルネをぼこぼこにしようと指をならして、彼を見下しているディルだった。
「ト・ル・ネ……大事な会議にも連絡にも出ないで何してるかと思えば、こんなところにいたんだね……」
「おお、ディル‼久しいな、だがその場所からだとパンツが丸見え……」
「天誅!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
トルネのお仕置きは任せたよ、ディル。
「さてと……んじゃまあ、俺もサクッと勝たせて……‼」
その時、壁の天井を通り抜けて、空より雷が飛来する。
迎撃魔法【鳴神斧】……それが、発動されていたのだ。
だが……。
「絶対滅亡操作」
魔法拒否によって、雷はかきけされた。
以前は、この国全域に魔法を拒否する魔法を放とうとしたから、【白虎の守護】によって防御不可の雷が落ちたのだったが、今回は違う。
国の内部で、国の中でそれは発動した。
つまり、国全域にではなく、国内での発動。
故に、今回は雷が消えただけで、なにも起こらないのだ。
「さて、インドラ……俺の弟の身体……返してもらうよ」
そう言って、立ち止まっているインドラにゆっくりと近づいていく。懐から、四角い箱を取り出す。
これは、真聖絶光剣【監獄状態】。
かつて、始まりの神ファーストが作った20個の宝具の1つにして、分離させることに特化した能力を持つ剣だ。
本来ならば、真実の神ロギウスの所有物なのだが、もしもの時のためにと拝借してきたのだ。
ちなみに、俺にはもうひとつ宝具が装備されている。
腕にあるブレスレット……これこそ、閃光矛。
始まりの神ファーストでさえも、完全に扱え切れなかった曰く付きの矛なのだ。
この矛は、矛が認めた人物の手にあるときにしか真の力を発揮しない……故に、今俺の手元にあるのだがな。
「お待ち下さい、翔琉様‼」
そう言って俺の前に立ち塞がるのは、白くて美しい虎だった。他の虎とは違い、高貴で、押しとやかな……そして、着ている高そうな服装がその美しさに敵わないような……そんな女性の虎獣人だった。
その虎を見たライとボルは言葉を漏らす……。
「「お母さん……」」
そう……この白くて美しい虎は、ライとボルの母親にして、インドラの妻……つまりは、この国の王妃アスラなのだった。




