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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第3章‐進化するべき時‐
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1stステージ25:聖なる矢

 真っ白になった。

 白い白い、頭の中。

 しかしながら、その白さはやがて、赤々しく変わる。

 プツン、と何かが切れた。


「なにもできない翔琉さんには止められないの―――――!」


 ルーンは俺の気迫を感じたようで、反鏡之扇を俺に構える。

 あたりの壁や、床が、大地が、大気が振動する。

 俺の―――天野翔琉の、魔法の力が異常なまでに高まりを見せる。


「止めろ! 翔琉!」

「使ってはならん!」


 2人はそういったが、もはや俺の耳には届かなかった。

 ライも必死になって止めたのだが、もう無理だった。


「神魔法、光天神―――発動!」


 そういって俺は発動を禁止されていた魔法を発動する。

 この光景が教団に見られてももはや、構わない。

 今はボルとホルブを助ける事だけしか頭に無い―――

 仲間を助けるために俺は戦うのだ。

 神々しい翼が、背中から生え、全身から光があふれ、城を照らす。


「神魔法ですって―――翔琉くん、あなたは素体として完璧よ! 何としてでも捕獲して洗脳してやるわ! これであたしは――――」


 何か言いかけたが、続きをいう事は叶わなかった。

 何故ならば、壁にたたきつけられていたからだ。


「痛いな――――でも、これが神魔法の力。 凄いわ……凄いわ!」


 ルーンは壁から這い上がり、扇子で俺に斬撃を飛ばす。

 しかしながら、その攻撃は強力な光にかき消される。

 いいや、俺がかき消した。

 かき消してやった。


「――――ここまでの威力とは!」

「ルーン、君は俺の友達を傷つけた―――だから、君には罰を受けてもらう」


 俺の全身を覆っている光は、いっそう輝きを増した。

 浄化の光―――それが、ボルやホルブを封じていた封印すらを解いた。

 光属性の真骨頂は、強い浄化の光である。

 強まれば強まるほど、浄化の力は強くなる。

 例えば、悪意を持った攻撃を無効化することも可能だったりする。

 ルーンの悪を持った攻撃―――それは、ボルやホルブを封じていた魔法であったりする。

 それを、強力な浄化の光によって、効果を打ち破ったのだ。


「こんな……こんな事さえも、できるだなんて――――なんて力なの?神魔法――――何としてでも、何としてでも、あたしの物にしてやる」


 そう言って彼女は、再び俺に攻撃をする。

 何度も―――何度も――――

 しかし、無駄であった。

 攻撃はことごとく無力化した。


「俺の友達を痛めつけた――――報いを受けろ!」


 そう言うと、俺の姿は消えた。

 光のごとく、放っていた光は消えた。


「??? 翔琉はどこに行ったんだ?」


 そんなボルの声が聞こえた気がした。

 俺はここだ。

 氷の城の、はるか上空。

 ここに、俺は居る。


「光の魔法:透過しんにゅう―――この魔法はいかなる物質を通過する魔法、そして!」


 と天高く手を突き出す。

 すると、光の弓矢が現れる。


「光の魔法:邪撃輝矢めつあく。 俺が当てたいと願う相手以外には当たらない特殊な弓矢―――」


 弓を引き絞ると、矢に膨大な光が蓄積される。

 俺の全身を覆っていた、光が矢に宿る―――そして


「邪な意思を持つ女よ―――その悪しき心に、引導を渡そう! 俺の友達を傷つけた罰を―――受けるがいい! 行けぇぇぇぇぇ!」


 そういって矢は放たれた。

 聖なる一撃を秘めた、聖なる矢が……




「あの男―――逃げたのかしら?」


 そういって部屋中を探し回るルーンだった。

 ライ達も部屋を見回すが、俺の姿はそこには無かった。


「まあ、いいわ。 あんたたちを殺してから、じっくりと探しましょう。 さて、誰から殺しましょうかしら。 やっぱり、ボルかしらね――――っ!」


 全員が騒然とした。

 それは突然飛来した

 ―――聖なる輝きを放つ、美しき矢。

 それは、ルーンの胸に、見事に突き刺さっている。


「な……何よこれ――――」


 そう言ってルーンは倒れてしまった。

 安心しろ。

 死んではいない。

 気を失っているだけだ。


「これは―――いったい」


 唖然としているみんなの前に、俺は舞い降りた。

 光臨した。

 神魔法だけに―――


「みんな、ただいま」


 そう言って笑顔を飛ばした直後、俺は気を失ってしまった。

 お約束である。



 気を失っている間、こんな声が聞こえていた。


 ”

「すさまじき魔法じゃな―――光の矢とは、恐れ入った」

「そんな事よりホルブ。 ルーンが起きる前に、力を封印しておいてよ! できれば姿ごと」

「姿ごと? はて、何故じゃ?」

「忘れたの? この女は、目で見たものを教団に送ってしまう魔法を持っているんだ。 しかも、全魔法を封印しても、これだけは使えるように、人体を改造してまでな」

「なるほど、なるほど。 それもそうじゃの―――」

 ”


 目が覚めた時、それは丁度ホルブが、ルーンを封印しているところだった。


「封空魔法:閉鎖管くだん


 とホルブが言うと、ルーンの姿が消えた。


「ホルブ、これは?」


 と俺が声を出すと、みんなこっちを向いた。

 そして


「うわーい、翔琉♪ よかった、心配したんだぞ!」


 とボルが、俺を持ち上げてぶんぶん振り回す。

 振り回す。

 振り回す。

 ふり……


「やめろボル~~~~目が回る~~~~~~~」

「おっと、すまない。 つい、嬉しくなっちゃって」


 よいしょっと、俺を下ろす。

 全く、困った奴だな。

 ライも同様の事をしようと思ったのか、近寄ってきたが、俺は手をクロスさせて×を作って、拒否した。

 そんなに、何度もやられては、身体がもたない――――


「この魔法は、別の空間に封印する魔法じゃ。 この状態だと封印されたものは何もできなくなる。 考える事も動くこともできなくなり、封印された対象者はずっと眠っている状態になる―――と言う説明でよかったかのう?」


 飄々と聞かれたことに答えるホルブに、若干イラッとしてしまった。

 見てたんなら、助けてくれよ――――



 取りあえず俺は、ホルブとボル、そしてライの傷を治療してあげた。

 痛めつけられていた傷や、切り傷なんかも、全く無い。

 流石は、光属性の回復魔法。


 ボルは唐突にこんなことを聞いてきた。


「翔琉……俺、お前を助けられたか?」


 俺は”もちろん!”と笑顔で答えた。


「俺――――初めて友達の役に立てて嬉しいよ」


 と笑顔で返してくれた。

 俺はボルの頭を撫でてあげた。

 と言うか、精一杯お礼のつもりで。

 感謝の念を込めて――――

 すると、ボルは幼児体型になってしまった。

 その瞬間、ディルが笑いながら現れた。

 そして彼女はこういったのだ。


「モテモテですな―――色男さん」

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