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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:第3章~愚かな獣の鎮魂歌~
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4thステージ27:最悪な運命へと繋がる

泰山府君の祭を終えた瞬間、始まりの神の魂が元の器からスッと抜きでた。そして、ゆっくりと、あたしの方へと向かってくる。ゆっくりと……ゆっくりと……ゆっくりと……。

およそ、あたしのところに来るまで30秒ほどかな。



何て言ってる場合じゃない!


「早く! 早く! 早く!」


逃げなきゃ!逃げなきゃ‼逃げなきゃ‼‼

もういい!いっそ肉体は、あとで治せばいい!今はあの魂から逃げなきゃ!


「うぅぅぅぅぅぅぅ……!!」


ぶちっと、自分で自分の腕も足も切り落として、あたしは急いで蕀から抜け出した。そしてすぐさま、自分の身体を治した。なんだ、最初からやればよかったじゃんって思うかもしれないけど、これすごく痛いんだよ。もう半端なく痛いから、よい子は真似しないでね。


「逃がさないよ……水の大魔導士リュウ!」


魂となった始まりの神は、スピードを上げて追いかけてきた。さっきまでより、断然早い!水切りの石レベルだ。


「水の魔法:神水領域(しんすいりょういき)!」


あたしは、自身の周りを聖水で覆い尽くした。これで、幽霊や魂などは突き抜けることが事実上不可能になったはずだ。一般的に知られている聖水とは、ゾンビや吸血鬼などに有効だとされている。まあ、それも正しいのだけど、こういった魂に対しても有効だと言うことはあまり知られていないのではないかと思う。だがーーー


「無駄よ……」


と、始まりの神は言った。その通り、聖水は清らかな水ではなくなり、泥水になっていた。闇に汚染された水……こんなものに、退魔の力など宿るわけもない……。


「祭りの最中は、魂を拒否する魔法は全て使用禁止♪ これ、鉄則!」


と、楽しげに言う始まりの神は残り100mほど……どうする……。


「くっ……一か八か……」


そういって、あたしは始まりの神の方へと身を投げ出した。もちろん肉体を差し上げるため……ではなく、脱出するためだ。

この世界からの唯一無二の脱出ゲートである湖へ……。

ギリギリのところで始まりの神の魂をよけ、勢いよく湖へ向かう。


「あと少し!」


だが、例の蕀が邪魔をした。湖一辺に張り巡らされた蕀は、さながら蜘蛛の巣のような光景だった。捕らわれたら不浄な魂を入れられてしまうーーー。


「逃がさないよ……新しい肉体!!!」


後ろからはよもや悪霊と言ってもいい、始まりの神の魂……さてさて、どうしたものか。いっそ、魂を受け入れてみると言うのも面白いかも……いや、やだ。絶対にやだ。翔琉ちゃんを愛するならこの身体、この魂で有りたい……。


「蕀……邪魔しないで! 水の魔法:腐蝕水(アシッドポイズン)


黒々と手のひらからこぼれ落ちた水滴が蕀に触れると、蕀は腐り落ちる。あーあ、最初からこの魔法使えばよかったよ。なんだよ、身体をちぎって脱出したってのに……。



ちゃぷん……っと、湖に見事に入ることに成功した。始まりの神も流石に魂だけでは現実世界へと来ることは出来ないようで、水面の底には悔しそうな魂の光が輝く。ざまあみやがれ。


「全く……とんだ神様もいたもんだよ……」


と、後ろを振り向くと……。


「お、リュウ!みーつけた!」


と、目の前にはパラノイアがいたのだった……。ざまあみやがった、あたし……どうなるんだ?


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