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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:第3章~愚かな獣の鎮魂歌~
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4thステージ26:泰山府君の祭

墓場で戯れている女を、もし見たことある人がいるならばこのような状況でどういった対処をするのが一番いいのか、ぜひアドバイスして欲しいとは思うけど……まあ、人間相手しか相手していないみなさんに神様の対処というかマニュアルを請求するのはおかしいのか。そんなあたしはといえば、必要なアイテムはゲット出来たわけだから、現実の世界へと戻ろうとしているところだ。


「全く……今までの流れが、クソも面白くないわね……」


そんな愚痴をぶつぶつと言いながら、湖の中央へとダイブしようとしたーーーが、それは叶わなかった。叶わなかったというか、阻止された。墓場で戯れる女神に……。


「ダメよ帰っちゃ♪」


そういって、蕀のような植物であたしを拘束して、ピラミッドに磔にした。蕀のような……という表現をしたが、刺がまるでナイフのようにあたしの身体にズブズブと突き刺さる。内臓には達していないことが幸いだが、この流れ落ちる血をどうにかしてほしい。この状態で回復魔法を使うと、不純物を身体の中に取り込んでしまってかえって危険だ。まあ、そもそもこの蕀のせいか、魔法が全く使えないのだが……。

始まりの神は、ふわりと浮かび上がってあたしの近くに現れた。いや、正確には近づいたというべきか。最初から居たわけだから、現れたというのはいささか語弊を生むだろう。


「逃げようとしても無駄よ♪ 私はこの世界に飽き飽きしてたと頃なんだけど……そろそろ出ようと思ってるんだ♪」

「へぇ……それが、あたしを拘束するのとなにか関係が……」

「口答えしてんじゃねぇーよ!」


バチン、とあたしの顔を平手打ちした。痛い。本当に女の喧嘩って怖いから困っちゃうわね。結構勘違いしてる方多いけど、女の子って可愛いだけじゃなくて、醜い部分もちゃんと持ってるんだよ。それを見せてないだけ。各言うあたしも……ゲフンゲフン。


「じゃあ、話を戻すけど~それでね。 私はこの世界から抜け出そうとしたいんだけど、なにせ身体がボロボロで、回復できないんだよね~さらに言えば、外には化物(パラノイア)が居るわけじゃん……だから、新鮮な器が必要なのよね……」

「……つまり、あたしの身体をあなたに捧げろと?」

「ピンポーン大正解♪ あなた見たところ、可愛いし……なにより、回復魔法の達人っぽいし……永遠に肉体を若返らせてるみたいだから、かなり丈夫な器じゃない? だ・か・ら……、私にその身体を差し出して♪」

「……断る」

「てめぇの意見は聞いてねぇんだよ!」


バチン、と再び始まりの神はあたしのほほをぶった。さっきより強めの一撃だ。かなり痛い……。


「んじゃあ、快く肉体を明け渡してくれるみたいと言うことで、儀式を始めまーす!♪」


そういって、始まりの神は湖に降り立つ。そして、水面の上に立つと、垂れ落ちるあたしの血を辺りに散らし、小さな陣を描く。

あれは、東洋に伝わる五芒星(ペンタグラム)


「陰と陽に生きる全ての命よ……我は全てを生み出した者……狭間の世界にて眠りにつく神……」

「まずい! その詠唱は!」


泰山府君の祭……東洋の陰陽道に通じる魔法。一般的に知られているのは、死者復活の儀式……だが、実際は違う。術者の魂を別の肉体の魂と入れ換える魔法……それが、泰山府君の祭。


「どうにかして……抜け出さなきゃ!」


必死に蕀を振りほどこうとするが、いっこうに切ることすら叶わない……。ヤモリみたいに尻尾だけ切れるとかならいいんだけど、さすがに身体全部を切って脱出するなんて、できやしない……。


「くっ! ダメか……いえ、諦めちゃダメよ……翔琉ちゃんなら、こんな時絶対に諦めない! 絶対に諦めちゃだめだ!」


だが、時すでに遅し……。


「……東西南北全ての祈りを魂に注ごう……陰陽道(おんみょうどう)、泰山府君の祭……発動♪」

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