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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
パラノイアクライシス編:第3章~愚かな獣の鎮魂歌~
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4thステージ19:強襲の獣

天野蘚琉が眠ってから、一時間が過ぎようとしていた。丁度そんなときに、気が緩み始めたそんなときに、やつは動いた。


『ふぁぁぁ……そろそろ物語に関与しないと、おいらの存在が蘚琉に忘れ去られてしまいそうだ……そう思わないか?』


そう言って、パラノイアは水晶越しにあたしを睨み付けた。というか、なぜそんな芸当ができる?

向こうからはこちらの姿が見えていないはずだし、なにより異空間越しを裸眼で見るだなんて……規格外すぎる!


『さてさてさーて、いまそっちに行ってやんよ……あらよっと♪』


と、パラノイアは水晶から3Dかと思うほどの勢いで飛び出してきた。だが、普通の3Dと違うのは、映像が実体となってこの場に出現したということだろう。


「やあ、リュウ。 おひさー♪」

「パラノイア!」


と、あたしの叫び声に近い声に、ぞろぞろと反応した者たちが現れた。もちろんその中には、天野蘚琉もいる。


「狼牙!」

「おや? 蘚琉……久しく呼んでなかった本名で呼んでくれるなんて……心変わりというか、過去でも思い出してたのかな?」

「狼牙……あなた、なんでそんなに変わってしまったの? 昔はあんなにも素直でいい子だったのに……」

「いい子? 今でもいい子だけど?」

「いいえ……あなたは……悪い子よ」


蘚琉はハッキリとした口調で言った。パラノイアにとっては、天野蘚琉からの叱咤より、天野蘚琉との会話を楽しむことが目的だったようで、そんな話を無視するかのように顔がデレデレしている。本当にストーカー以上にたちが悪い……。


「さて、蘚琉以外は消えな」


そう言って指をパチンと、鳴らすとあたしと天野蘚琉以外の全ての登場人物は事切れたようにその場でバタバタと不様に倒れた。


「これは! 魔力零!」


しかもこんなに1度に……。これじゃあ、回復がおいつかない。


「あっれ? リュウはなんで倒れてないの? お前も狙ったんだけどな~」

「え……いや……そもそも、あたしには状態異常系魔法は効かないんだけど……」

「へぇ……先天的なのか後天的なのか……非常に気になるところだけど……まあいい」


クルリと、イミナを見つめたパラノイアは、そのまま彼を殺した。

アリを踏み潰す人間のように、害虫を殺す人間のように……あっさりと呆気なく殺した。


「これで、天野翔琉は残り一人……うふふ……あはははははははははははははははは!!!!」


パラノイアが高笑いを続ける中、天野蘚琉は泣いていた。また兄を目の前で殺された……兄が大好きな彼女にとっては、どんなに苦痛であるか……それは想像がつかないところだ。


「あはははははははははははははははは!!!!」


愚かなる獣は、主人の思いを知らずにその場で不気味に笑い続ける。そんな中あたしは、本物のイミナをこっそりとあたしに隠していた。そう……死んだのは囮……まだ本物は生きている。イミナの魂を一時的にあたしの中に封印することによって、その正体や存在を消し去った。蘚琉に秘密なのが痛ましいが、そんなことを言っている暇ではない。

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