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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第2章‐暗黒魔法教団‐
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1stステージ17:ブラザーエンド

 図体のデカい虎が、かなり小さな虫眼鏡を持っているだなんて、なんだか可愛いな――――と思ったのは俺だけだったらしく、ディルとリュウとライ、そしてエンは、ボルが俺に虫眼鏡を向けた瞬間に、俺の前に立って、盾の魔法を展開した。

 俺にはいったい何が起こっているのか分からなかった。


「え? え? どういう事なの?」

「翔琉―――ボルが虫眼鏡を向けたら、急いで自分と虫眼鏡との間に、盾を発動するように心がけておきなさい!」


 とディルは強い口調で言った。

 具体的な説明が全くなく、突然言われたことに俺は、ただただ従うしかなかった。


「―――全く、ディルは説明不足だな。 やっぱり、せっかちだな。 仕方がないから、うちが説明してやるよ、翔琉君」


 エンが、盾を張りながら、俺の方を向いて、ボルの虫眼鏡について説明をしてくれた。

 おかげで、何故あんなにも迅速に4人は行動したのが理解できた。

 あの虫眼鏡は、暗黒賢者ボルが戦闘に用いた道具で、(ダーク)魔法(マジック)奴隷宣言かごのなかのとりを発動させるために必要なものらしい。

 奴隷宣言―――闇属性の中にある異常状態系魔法の1つで、虫眼鏡越しに見た相手を”洗脳”してしまう魔法である。

 この魔法は絶大な威力を誇るが、虫眼鏡と自分との間に壁を張れば容易にガードできるという、欠点もあるらしい―――なので、初対面の相手には絶大な威力を発揮する魔法であるといえる。

 もし俺が1人でボルに挑んでいた場合、間違いなく洗脳をされていたことだろう。

 魔法の知識も、戦闘経験もまだまだ浅くて未熟者の俺は、あっさりと洗脳されて、ディル達の行く手を阻んでいたかもしれない――――けど、俺は現在1人ではなく、頼れる仲間がいる。

 こうして、ボルのあの魔法は、仲間たちによって無効化されたのだった。


「翔琉ちゃん、あたし達が今から、特攻をかけるわ。 翔琉ちゃんは、自分を守ることに専念すること――――あいつは、あたし達が倒すわ」

「いや、俺も戦う。 俺には、あの魔法があるし―――」

「いいえ、それはもしもの時に取っておきなさい翔琉。 むやみやたらに使う魔法じゃないんだし、使った後、あんたは気を失っちゃうでしょ?」

「それは、そうだけど――――」

「もう少し、うちらを信用してくれよ、翔琉君。 これでも、この世界のトップクラスの魔導士なんだからさ―――」

「ああ、翔琉。 俺たちを信頼して、祈っててくれ」


 そういって、ライ達はボルに向かっていった。

 そこから、激しい攻防が幕を開けたのであった――――

 


 ライとエンによる、近接からの雷と炎の攻撃、リュウとディルによる、遠距離からの水と光の攻撃―――その攻撃を一度にさばききっているボル―――両者の実力は、ややボルの方が上のようであるという風に見える。

 しかしながら、状況に応じてコンビネーションを変える4人の攻撃に、ボルも押され始めた。

 どうやら、ディルの時の魔法による時間差攻撃と、ライとエン、そしてリュウのヒット&アウェイによる攻撃が効果的であったといえる。


「中々やるな―――だが今の俺の敵ではないな、ふん!」


 ボルは身体から闇の衝撃波を出してライとエンを吹き飛ばした。

 2人は左右の壁に思いっきりぶつかった――――が、すぐに2人は起き上がり、再びボルに向かっていくがボルは余裕の顔をして


「お前ら―――俺の魔法―――忘れたわけじゃないだろな……」


 といい、再び闇の衝撃波で2人を吹き飛ばす。

 今度はうまく2人は受け身を取れたようだ。


「あいつの魔法はなんなんだ?」


 そう聞くと、ここでは普通味方が答えるものなのだが、何故かボル自身が答えた。


「俺様の魔法に興味を持つとはお前なかなかだな。 俺様の魔法は太古魔法:空間魔法フィールドマジック。 自分の周り1kmに対し、闇属性の魔法で攻撃することができる―――つまり、この空間は俺様のものだ‼」


 そう答え俺に攻撃してきたが、盾が俺を守ってくれた。

 光の盾……もちろん魔法である――――


「光属性の盾―――このガキが?」

「よそ見してんじゃねえよ!」


 とエンが重い一撃を食らわせた。

 ボルは俺に完全に意識をして油断していたため、見事にヒットした――――が、エンの足をボルは即座に掴み、ライの方に投げた。

 ライはスピードを上げていたため、エンとライ、ともに大ダメージのようだ。

 リュウが2人を回復しようとしたが、何故か回復することができない。


「どうなっているんだ?」


 彼女が言うと、ライが口から出た血を拭いながら言った。


「おそらく――――ボルの魔法の効果だろ。 空間魔法によって、回復を邪魔しているんだ」

「くっ‼ やってくれるね‼」


 ディルがボルの時間を遅らせる魔法をかけて、奴の隙をついて2人を空間外へと出して、回復させようとするが、空間に亀裂が走り時間魔法が解けてしまう。


「もうその魔法は飽きたぜ」

「時間に干渉しただって!? 馬鹿な! 戦争の時にはそんなことできなかったはず!」

「いつまでも昔のままの俺じゃねえんだよ!――――」


 そういってボルはディルとリュウを闇の球体の中に閉じ込めた。


「しまった! やられた!」


 ディルとリュウは中から打ち破ろうと蹴ったりするが、一向に破れない。


「平和ボケしたなお前ら。 昔はこんなんじゃなかったのにな・・。」


 言い返す言葉もなかった――――と言うか、彼女たちは言い返すことができなかった。

球体の中に封じられてしまい、外界と一切遮断されてしまったのである。

これで、残るメンバーは3人――――しかし、俺が戦えないという状況なので、残るメンバーは2人……ライとエン――――この2人が勝敗の鍵を握っている状態である。

しかしながら、2人は大ダメージを負っている。

そのため、現状は圧倒的に不利である。



「どうした? もう終わりか?」


ボルの部屋中に響き渡る、勝利を確信した笑い声――――もうだめかと思ったが、ライとエンは諦めていなかった。

必死に身を起こして、再び歩みだす――――悪を倒すために。


「どんな状況でも……うち達は……」

「諦めないぞ……‼」


ふらふらになりながらも、2人は互いに支え合いながら、ボルへと向かっていく。


「あー……もう、お前らは飽きたから退場してろ」


パチン、と指を鳴らすと、ライとエンの周りを闇の球体が覆った。

そう、リュウとディルを覆った、あの球体である。


「お前らには直接触れる機会があったからな……直接仕込みができたぜ。 これで、お前らは何もできまい。その球体は内側の攻撃はすべて反射する特別な球体だ。 大人しく見ているがいい」


 球体の壁は割れず、エンとライは悔しそうな顔でボルを睨めつけた。


「くそ!やられた」

「翔琉を‼ 逃げろ‼」


 とライは俺に向かって叫んでいるようだったが、球体は密閉されているようで、音が全然聞こえなかった。


ボルはゆっくりと、俺に向かって歩みより始める。

俺は、後ろにどんどん後退りして行くが、やがて壁に追い詰められる。


「見習い魔導士……いや、お前はそんな生易しい実力ではないな――――下手をすれば、あいつらなんかより、余程強い実力者かもな」

「そんな事ない‼ あの人たちの方が強いに決まっている‼」

「ふっはっはっはっはっ……この状況で、威勢のいいことを言えるやつは、大抵大物か……バカの2種類だ――――お前はどっちかな?」

「何が言いたい?」

「――――まあ、いいや。 どうせ皆殺しするんだ……じゃあ、まずはお前から……殺してやろうかな‼」


 とボルが舌なめずりをした後、襲い掛かってきた。

俺はとっさに、横に飛んだ。

ドガン、と壁がボルによって破壊された。

彼のパンチによって……威力的に、大砲並なのではないだろうか?

だとすれば、普通の人間である俺が、あんなものを食らったら――――ああ、想像するだけで恐ろしい……。

 

「ほう……今のを避けるのか。 やはり、貴様は見習い魔導士レベルでは無いな」

「いや、たまたま避けることが出来ただけだよ」

「たまたま、で俺様の攻撃を避けただと? なめるな‼」


どうやら、挑発と取られてしまったらしく、ボルの攻撃は凄まじくなった。

部屋中に、黒い剣が出て来て、俺に向かって、一斉に飛んできたり――――突然目の前が爆発したりと、まさしく奴の空間に翻弄されてしまっている。

が、俺は難なくそれらを避けきって、どうにか無傷でいる。


「――――お前、何者だ? 大魔導士達と言えど、初見で、しかも無傷で俺様の攻撃を避けきった奴など居なかったぞ……」


ボルは苛立つより、驚いていた。

自分の攻撃が、こうもあっさり避けられた事が無かったらしい。

そろそろ、決着をつけなければ――――球体の中のみんなも心配だが、未だに磔にされているホルブの安否が気になる。


「悪いね、ボル。 そろそろ、決着を着けさせてもらうよ」

「は? 何をバカなことを言うと思えば、お前が俺様を倒すだと? 若僧の癖に生意気なこと言いやがって――――」


 それは刹那の瞬間であった、全ての力を一点に集中し俺はボルに向かって光の槍を刺した。

光速で刺さった槍は、光の柱となりそのままボルを拘束した。

ボルは自分自信に何が起こったのか、全く理解できていなかった。

気がつくことが出来たのは、拘束され終わった時である。

――――背中に光の羽を生やし、神々しく輝く、俺の姿を。


「これは……光属性の上級魔法、聖封輝(せいふうき)! 邪なる者を排除し、封印する魔法……それに、その魔法は……神魔法の光天神……なるほど……だ……」


 そういってボルは意識を失ったのだった。

――――俺は、自身が意識を失ってしまう前に、球体に閉じ込められた仲間と、磔にされているホルブを解放した。

全ての事を成し遂げた後、俺は意識を失い、眠りについたのだった――――

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