4thステージ5:真聖絶光剣
『お前……いったい何が面白くてこんなことを続けるんだ?』
ロギウスは、異空間より剣を抜き、パラノイアに構えながらそう言った。あの剣は、神の作りし20個の宝具のひとつ……真聖絶光剣。空間を切り裂き、魂を分離させることのできる剣。もしかしてロギウスは、パラノイアの体内の蘚琉ちゃんをパラノイアから引き剥がそうと考えているのか?
『うふふふ……もういいよ……蘚琉のために、お前を消してやんよ……じゃないと、蘚琉の生命活動を維持できないもの……俺だけの蘚琉……それを壊そうとするもの、引き剥がそうとするもの、邪魔するものは死ねばいい……無様に地面に這いつくばって死ねばいい……死んじゃえ!死んじゃえ!死んじゃえ!死んじゃえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
パラノイアは、空中を蹴り飛ばしロギウスに向かっていく。狂気の生物は、今一度……神に勝負を挑む。
『そんなに、直線的に来たら反撃が取りやすくて助かるよ……』
ロギウスは手持ちの剣を、ロギウスに向かって振りかざす。
しかしながら、その【反撃】は成功しなかった。直前でパラノイアは、身体を捻ってヒラリと避け、ロギウスの背中に張り付いた。
『んじゃ、味見するね……いただきます、あむ……』
パラノイアは、ロギウスの耳に噛みついた。どうやら、本噛みではないようで、甘噛みのようだが、なんというかすごい光景を見ている気がする。
おっさんの耳に噛みつく獣耳の少年って……一歩間違えたら法律とかに引っ掛かりそうだ。
『離れろ気色悪い……』
ロギウスは勢いよく剣の柄の部分でパラノイアの顔を殴り飛ばす。パラノイアはすぐさま空中で受け身をとったが、殴られた箇所は赤くなっている。
『痛ぇな……痛いよ……なにするの? もう、顔に傷がついちゃったら今よりワイルドに……む?それはそれで、蘚琉は好きなのかな?だったら嬉しいな……うわーい!うふふふ』
気が完全に狂ってるとしか言いようがなかった。見ただけで、聞いているだけで吐き気がするほど、この化物は狂気で満ちている。そんな風にロギウスも思っているような顔をしていた。
『いやいや~それにしてもぉ! 君の魔力は他のと違って、なんか濃いね。 味的に言えば、これまでのやつらが水だとすると、君のはミルク並みに濃いね……いいね……君みたいなのが、あと2人いればエネルギー問題は解決できそうだ……』
『神を舐めるなど、言語道断……それに、これ以上被害者を出さぬために、これで幕を下ろそうぞ……』
パチン、とロギウスが指を弾くと真聖絶光剣が光輝き、無数の刃が空を多い尽くす。まるで剣の檻のようだったが、切っ先がパラノイアの方を全ての剣が向いている……。
ということは、この剣たちはもしや。
『パラノイア……これで終わりだ……真聖絶光剣【鉄之処女状態】発動!』
ロギウスの号令と共に、無数の刃はパラノイア目掛けて突き刺さっていく。そして、全てが刺さり終わる頃にはパラノイアの姿は剣で埋め尽くされて消えていた。剣のしたの方からは、赤い色の液体が流れ落ちる。さながら、ガラスの表面の結露が流れるようにゆっくりとゆっくりと流れ落ちる。




