3rdステージ48:制限時間内で
「神魔法:光天神発動!」
そういって、翔琉は美しき白い翼を生やした、いつもの神魔法使用状態に変身した。
ジンライが、使っているものに比べると光は強く、なにより暖かい。
ジンライも確かに翔琉にひけをとらないほどの神魔法を使っているが、やはり天野翔琉の神魔法はひと味違う。
神々しさというのが、段違いだ。
「さあて、かかってきなよ儀長さんたち。 俺は残り2分15秒以内にお前ら倒さなきゃいけないんだからさ……」
「減らぬぅぅぅ口をぉぉぉたたくぅぅぅ若造がぁぉぁぁぁ!! 無効魔法:完全無効! 召喚魔法を無効にするぅぅぅ‼」
ダイアリーの魔法は全てを無効にする魔法。
この魔法はいかなる魔法すらも、無効にする。
例えそれが神魔法でも……。
しかしながら、例外はある。
しょせんこれもまた、魔法なのだ。
魔法を封じるには、魔法を使わせなければよいのだ。
「絶対滅亡操作……」
そういって、天野翔琉はダイアリーの無効魔法を消した。
絶対滅亡操作……それはかつて、天野翔琉vsブラッド=ブラックとの戦いで見せた、魔法を別のエネルギーに変換して、魔法を拒否する魔法。
弱点属性が同じ属性の光属性だからこそ使える光属性の魔法。
通常魔法を拒否する場合は、空間ごと使用しなければならないという制約みたいなものがある。
それは、魔法の拒否には大きなリスクがあるからだ。
魔法の拒否のリスクーーーそれは、【一定時間魔法が使えなくなる】というものだ。
だからこそ、空間ごと覆って全員が魔法を使えない状態にしないと、自分だけが魔法を使用できずにやられてしまうという、戦闘においてはまさに致命的なものだ。
しかしながら、絶対滅亡操作の場合は違う。
そのリスクが、唯一無い魔法。
超上級魔法に値するこの魔法の習得は、1億分の1の確率で会得できるかどうかというほどの非常に小さな確率だ。
しかしながら、神魔法光天神は、【光を隷属させる魔法】。
つまり、【全ての光属性の魔法を使用できる魔法】なのだ。
なので、天野翔琉は意図も容易く、その無謀な確率を足蹴にして使用することができる。
天野翔琉……流石だ。
「魔法を無効する魔法……確かに厄介だ。 だけど、俺の拒否の前には無意味だな……残り2分3秒」
「ならば、この魔法ならどうじゃ! 審判魔法:解約宣言‼ 拒否を我らの魔法に効かなくする条件を付加!」
「絶対滅亡操作‼ その魔法を拒否する!」
「甘いな! 審判魔法:拒否権。 審判魔法の拒否を拒否する! これで、もう我の魔法に拒否は効かぬ……‼」
ジャッジは、目の前の光景に愕然とした。
それは、天野翔琉の纏っていた光が彼の手の平に集約され、さながら疑似太陽のように輝きを増していたからだ。
そして、翔琉はその疑似太陽のような光を自身の翼に宿す。
すると、天野翔琉を覆っていた光は消え去り、小さな翼だけが残った。
「なにを……!?」
というジャッジの問いの答えはすぐに解明された。
「究極神魔法発動……」
という彼の言葉通り……。
かつて、アマギを倒した時のあの姿に変わっていた。
威風を与え、神々しい姿に、なにより強い慈愛の光。
さながら、本物の神様よりも神様な風に見える。
「神絶対滅亡操作……審判魔法そのものを一定時間拒否する……そして、その使用者の行動もな」
と、天野翔琉がジャッジに向かって手をかざすと、ジャッジは気を失った。
それはあまりにも唐突な出来事だった。
「貴様! ジャッジになにをした!」
と、シバは声を荒らげ翔琉を睨む。
あからさまな殺意を感じた。
そんな中、天野翔琉は飄々と答える。
「何って……魔法の拒否だけじゃダメだから、行動も拒否しただけだよ……究極神魔法の能力の1つ【昇華】によって、俺の魔法は1段階向上する……ただ、それだけの話だ……残り1分13秒」
「ファイバー!」
「ええ、ソル! 行くわよ!」
ファイバーとソル。
教師と変態という、変わったコンビだがかつてはペアで戦闘をしたら右に出るものはいないと言われた二人。
「黄昏魔法」
「悪戯魔法」
「「合成……夕闇魔法:冥夜華國」」
夕暮れの闇より出でる、常闇の灯り。
闇を飲み込む闇が、天野翔琉に襲いかかる!




