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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第2章‐暗黒魔法教団‐
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1stステージ15:龍族の異変

 地獄炎瑠――――それは、この世界において、溶岩の滝のある有名な場所で、流れ出る溶岩は循環しているため永遠に流れが止まらないとされている。

 そして同時に、龍族の聖地であり、彼らの住みかとされているため、多くの生物は立ち入らない、危険地帯である。

 実は、この溶岩の滝の裏には、洞窟の入り口があり、その奥には龍族が守る神殿があるとされている。

 しかしながら、龍族の強力な結界によって、この入口は固く閉ざされている。

 まあ、そんな事をしなくても、こんなところにはそうそう近づかないし、何より龍族は戦闘能力が高い種族であるので、彼らの聖地にわざわざ土足で侵入するという事はしないであろう――――

 みんな命は惜しいものである。

 ――――とまあ、長々と説明をしたが、現在俺たちは、そんな危険な場所である地獄炎瑠に来ていた。

 高熱の地帯であるがゆえ、暑さに弱いライは、すごく苦しそうである。


「あっつい~……暑いよ、翔琉~」


 そういって身を俺に寄せてくるのだが、余計に暑い。


「じゃあ、水か氷属性の魔法を使って、身体冷やせばいいじゃんか」


 ぐいっと、ライを引きはがす。

 ライは渋々自身の周りに、氷の膜を作った。

 これで少しは、ましになるだろう―――


「さてさて、エン。 恐らくホルブは、その神殿にいると思うのだけれど、どうやったらその神殿に行けるのかな?」


 ディルがそういうと、エンはゆっくりと崖のふちに向かって歩み、到着するや否や、眼鏡を溶岩の中へと投げ入れた。

 

「先ほどの眼鏡は、うちの爪から作った特殊な眼鏡―――そして、それをこの溶岩に投げ入れることによって、うちは初めてこの動作を行うことが出来るんよ――――」


 エンが溶岩に手をかざすと、溶岩は割れた―――まるで、旧約聖書に登場したモーゼが海を割ったように、エンは溶岩を割って道を作った。

 圧巻の光景である――――


「早くいくぞ! うちについてこい」


 と言い、エンは洞窟へ向かって走っていく。

 どうやら、この道の奥に龍族の神殿―――そして、闇の大魔導士ホルブがいるのだろう。

 俺たちもエンに続いて、長い長い溶岩の裂け目の道を進んでいくのだった。



「おかしい、こんなはずじゃない」


 と、洞窟の中に到着するなり、エンは考え込んでしまった。

 おかしい―――果たして、その意味することは何なのだろうか?

 その”おかしい”と言う理由を、明かすために俺はエンに尋ねた。

 すると、エンは閉ざしていた口を開いた。


「本来、この洞窟へ入った時点で、誰であろうと、龍族の警備の者に出くわすはずなんだ。 侵入者か客人か同族か、を見極めるためにも――――だけど」


 と生唾を飲み込んで、再びエンは話をする。


「――――だけど、それが今回に限っては居ないんだ。 これっておかしくないか?」


 確かに、エンの話が本当ならば、現状は最もおかしい状態であることは間違いないだろう。

 神聖な空間であるこの場所は、彼らの一族にとって重要で不可侵の領域なのである。

 そんな場所を守ってきたという彼らが、こんな警備に穴を空けてしまうようなことを、果たしてするのだろうか?

 そこでディルは、リュウに生命探知の魔法を使うことを推奨した。

 リュウは手のひらに、青い光を集中させている。

 この生命探知の魔法は、ディルの探知魔法の一種で、半径10km以内の生命反応を調べることが出来る魔法であるが、普段は人が多い場所などでは不利な魔法ではある。

 生命反応が多いと、精度が低くなってしまうらしい。

 現在この地には俺たちと龍族、そしてホルブ以外はいないはずなので、精度的には高い状態であるので、この魔法はまさにうってつけの魔法である。


「――――‼」


 リュウの眉間は険しくなった。

 そして彼女は、エンに詰め寄り


「今すぐ、この洞窟の奥の大きな広場へ行きましょう‼ エン、急いで案内して‼」

「おいおい、どうしたリュウ。 そんなに慌てて―――」

「いいから早く‼ 事態は一刻を争うわ‼」


 分かった、とエンは洞窟の奥へとリュウを連れて走り始めた。

 俺たちも、後を追った―――


 と魔法の発動の確認をしたリュウがエンに向かって言う。




 大きな広場に到着した。

 俺たちがそこで目にした光景は、悲惨であり痛々しく、生生しい光景だったのだ――――

 そこには血まみれで、瀕死の状態になっている龍族がいたのだ。

 

「みんなどうしたんだ!」


 ハッ、となったエンは、慌てて龍族に近づく。

 すると、龍語なようで俺たちには分からない言葉でエンは龍族達と話し始めた。

 そして、声を荒らげながらエンは


「リュウ! それと翔琉君は治療魔法を彼らに――――ディルとライは、この辺一帯に結界魔法をかけてくれ!」


 と言った。

 俺たちはエンの言われたとおりに、行動を開始した。

 本当に一刻を争う事態だったのだ。


「リュウ、もしかしてこの光景を、さっき調べた時に分かったのか?」

「いいえ翔琉ちゃん。 あたしの調べられるのは、せいぜい生命がそこにあるのか―――そして、生命力の高さを見る事しかできないわ」

「じゃあ、生命力が弱まっている反応を見たって事か?」

「そういう事だね――――さあて、翔琉ちゃん。 この人数を一気に治療するために、少し協力してもらえるかな?」

「分かった! どうすればいい?」

「あたしの持っている癒しの魔法と、翔琉ちゃんの持っている光属性の浄化の力を合わせて、この部屋に強力な治癒魔法を展開させるわ。 そうすることによって、一気に治療できるし、異常状態になっている人たちも回復できるわ」

「なるほど―――じゃあ、早速やろう!」


 リュウは部屋に水の膜を作った―――それは、部屋全体を覆い尽くしていく、巨大な塊だった。


「翔琉ちゃん、この水に光属性を‼」

「分かった!」


 と俺は手に光属性の光を宿して、水へと放出していった。

 光は水に溶け込んでいった――――そして、龍族の傷を癒し、浄化していったのだった――――




 全員の傷が回復したころ―――エンは龍族の長老から、恐るべき情報を手にしていた。

 その情報を一刻も早く伝えるべく、俺たちの元へと走った。

 ぜえぜえ、と肩で息をして、そして語りはじめたのだった。


「みんな……聞いてくれ。 あの組織が―――あの組織が、復活したそうだ――――」

「あの組織?」


 俺の頭にはクエスチョンマークが浮かんでいたのだが、他の人たちの顔立ちは驚き、そして険しくなっていた。


「あの組織って何?」


 と俺が聞くと、ライが重々しい口を開いた。


「翔琉。 実はこの世界には、俺たちみたいな良いことをする魔導士もいれば、世界を混乱に陥れるような悪い魔導士たちもいるんだ―――。 その悪い魔導士たちが集まる組織があってな。 その組織の名前は暗黒魔法教団ダークブラッド

「暗黒魔法教団――――なんか、如何にもって感じな名前だな……」

「しかし、5年前の第1次魔対戦において、俺たち7人の大魔導士と、3人の太古の魔導士たちによって壊滅させたんだが――――」

「どうやら、壊滅には至っていなかったようだね……」


 とディルは言った。

 悔しそうに、拳を握り占めて――――


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