3rdステージ43:無垢な終わり
またまた数日後。
私がいつものように踊っていると、世界魔法連合の5人の儀長という人たちがやってきた。
そして、マスターとなにやら取引をしているらしい。
「では、そういうことで……」
と、言った瞬間。
マスターは、殺された。
もちろん、儀長たちの手によって。
店の中は騒然とし、みな急いで店の外に逃げ出した。
しかしながら、目撃者を殺すという理由で彼らも無惨な死を遂げる。
外に配置されていた儀長のボディーガードたちによって殺される。
あるものは魔法で首を絞められ窒息。
あるものは剣で斬られて斬殺。
またあるものは、炎で焼かれて死んだ。
そして、店の奥に隠れていた私は儀長に首輪をつけられて誘拐されそうになっていた。
「やめて! 離して!」
と、叫ぶが顔をぶたれる。
何度も何度も。
やがて、血が滲んできた。
「ふん、汚らわしい娘が……」
と、儀長の一人が言う。
確か名前はシバ。
そんな時、殺されたはずのマスターが起き上がった。
そして、儀長たちの前に立ちふさがり。
「待てよ……」
という。
「おやおや、まだ死んでなかったのか? 死に損ない……」
「それはこちらの台詞だ老害どもめ……約束が違う……その女をあんたたちに渡せば、俺を完全な人間にするって約束じゃなかったか? だからこそ、その言葉を信用して俺はやりたくもない完全記憶削除まで発動して、そこの女を連れてきたってのに……」
「じゃから、話の筋はあってるじゃろ? 【女を渡せば人間にしてやる】だが、生きている人間なんていってないじゃろ? 死体でも人間は人間だ……」
「なるほど……約束をたがえるのだな……仕方がない……悪いけど、彼女は本来の仲間のところに帰すよ」
「おやおや、そんなキャラじゃなかったくせに……お前は自分がよければ他はどうでもよい、というのじゃなかったのか?」
「確かに……ほんの数日前までそうだった。 でもね、俺は次第に彼女の優しさや暖かさを感じたんだ。 心……それが芽生えたようなそんな事を考えさせてくれる彼女に……俺は惚れたんだよ。 愛は何よりも強い……だからこそ、俺は決心した。 お前らを裏切る。 そして、彼女を仲間のところに送り返して謝罪するんだ。 罪を償うんだって……」
「残念ながら、それはうまくいかないぜ……やれ、ダイアリー」
シバの掛け声と共に、儀長の一人【ダイアリー・マクガードナー】は前に出る。
小太りに、巻き毛と派手な装飾品を身にまとう黒いドレスを着た女性だ。
まさしく魔女というような、格好。
「やぁーれぇ、やぁーれぇ。 あたぁーくしの出番ザマスね」
と、特徴的な声で言ったのち手を前に出す。
そして、マスターの方に向けて光の玉をとばす。
「完全無効……」
光の玉はマスターに、ぶつかるとマスターは苦しみはじめてやがて小さな人形となった。
そして、その人形は灰となって消えた。
「な……マスターぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
私はその場で泣き崩れた。
今までお世話をしてくれたのに。
今まで助けてくれたのに。
その人物が目の前で灰となった。
「さあて……そろそろこの女を本部に持ち帰って、不老不死の生け贄にするか……」
と、シバが口ずさんだ。
本当にその時だった。
店の入り口に、彼は立っていた。
そして、後ろには世界最強の太古の大魔導士二人と、8人の大魔導士達が立っていた。
彼は儀長にいう。
「仲間を返してもらうぞ、くそ老害ども……」




