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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ミラージュエンド編:第4章-聖霊の掟と時の枝-
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3rdステージ26:虎の誇りは地に落ちぬ

有り得ない……とまではいわないが。

こんなことは初めてだ。

虎獣人は、呪いなどの魔法を受けると身体が幼児体型になってしまう。

それは、呪いの代償を防ぐために身体のサイズをその分返還するからだ。

過去にあった事例から言えば、ボルの場合があげられるだろう。

暗黒賢者時代のボルに対して、ホルブは力を封印する魔法をかつて使った。

そのとき、ボルは幼児化して、魔法を使えなくなったということがある。

その事から考えると、今回の場合も普通ならば幼児化してしまうのではないかと考えられた。

しかしながら、今回は違った。

俺の身体は縮んではいない。

そして、幼児体型にもなっていない。

俺は人間になってしまった。

虎獣人としてあった、耳・髭・尻尾・そしてシマシマ模様の体毛。

それすらないのだ。

あるのは、半裸でシックスパックに割れた筋肉質な身体と、翔琉とアマデウスを足して2で割ったようなイケメンな顔立ちだった。


「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


宙を舞いながら、俺はしきりなしに自分の身体を調べていた。

尻尾があったところや、顔を撫でて髭がないかを調べたり、頭の上に手をやって虎耳があるか調べているが、ない。


「きゃー! イケメンよ」


と、頬を赤めながらフィリはクネクネしている。

元凶にして、最悪の姫。

なんということだろうか。


「おい、これは……お前、何をしたんだ!」


と俺は怒鳴るが、フィリは無視してひたすら頬を赤めてクネクネしている。

そんな中、親衛隊の一人がふふっと、笑みをこぼしながら先程の魔法について語った。


「精霊王魔法【戒めの呪い】。 他種族の特殊能力をすべて封じてしまう精霊族最大級の封印魔法。 つまりは、他種族殲滅魔法ともいえる……」


他種族殲滅魔法だって?

そんな、禁じてみたいな魔法を精霊族は隠し持っていたってのかよ!


「ふふふっ……これで、あなたは虎族では無くなったのよ……【雷の大魔導士ライ】は死んだの……今のあなたは【人間ライ】よ……まあでも魔法能力を封じたってわけじゃないのが残念よね……」

「お前何をいってるんだ? 魔法が使えるなら、油断する……な……? あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


バチバチバチっと、強力な電気が身体を貫く感覚に冴えなまれた。

なんだ、この痛みは。


「おっと、今は雷系の魔法は使わない方がいいわよ~あなたが強力な雷属性を使えたのは、所詮は虎族だったから。 白き稲妻と称された【白虎(びゃっこ)】の血を継ぐ者たちだったからこそ、扱える技なのよ。 普通の人間の姿のあなたには無理ね……まあ、天野翔琉みたいに魔法耐性が備わっているなら平気なんだけど……まず、普通の人間にはない特性よね……」

「ぐぅ……雷属性が使えなくたって、俺にはまだ他の属性がある!」

「でも、所詮は使えるってレベルでしょ? 得意の雷属性以外は……」


いつのまにか追い詰められていた。

なんだ、この虚しさと悔しさは。

こんなワガママな女に屈服していいのか?

いいわけねーだろが!


「雷の魔法……ぐぅ……うぉぉぉぉ!!!」


ビリビリビリっと、身体に激しい痛みと痺れが襲う。

しかし俺は必死に耐えた。


「雷の魔法:雷轟稲妻・滅‼ ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


雷属性最強魔法を放った瞬間、まるで感電したような激痛と痺れが襲った。

しかし、この努力虚しく攻撃はかわされてしまった。


「ダメダメね……パワーに対してスピードが伴っていないわね……所詮は、雑魚(ザコ)……いや、雑虎(ザコ)ね……」

「なんだと! くそ、もう一度だ!」


虎族をバカにしたあの女を許してはいけない。

例えこの場で命を落とそうが、誇りのために……。

この女には報いを受けさせる!


(だめだよ……)


む?

誰だ?

この声は?


「ほらほら、よそ見しないの」


と、葉が手裏剣のように向かってくる。

それを俺はかわして、声のする方へ向かう。


「待て! 逃げるな!」


とフィリは追いかけてくる。


「さっきの虎が向かったあの方角は……まさか!」


そういって親衛隊の一人は急いで後を追う。

その後ろを、トルネとホルブも追いかける。


「なんか、儂ら出番少ないのぅ……」

「そのうち俺たち主役の話も来るって……たぶん」

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