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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ミラージュエンド編:第4章-聖霊の掟と時の枝-
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3rdステージ25:戒めの呪い

不死鳥。

高貴にして最高峰の戦闘能力を持つ炎の鳥。

龍族と、並ぶほどの美しき戦闘技法を用いて戦う。

鮮やかで艶やか。

だが、その不死鳥は既に瀕死だ。

普通ならば、自らを火に落とし入れて、その灰よりこの世に這い戻る。

それが、不死鳥の特性にして最大の長所。

だけど、俺はそれを封じている。

雷属性の中の魔法のひとつである【行動不能(ノープラン)】。

これを発動しているからだ。


「さて、どうする? 召喚魔法は、召喚した者を戻さなければ次の魔法が使えないはずだ……そして、お前がだした召喚獣は、現在行動不能だ……」

「なんで……なんでこんなに強いのよ! あんた、天野翔琉より、強いんじゃないの?」

「俺の記憶を勝手に見て、愛しの翔琉の名前まで勝手に見やがって……これは、激おこだわ……」

「天野翔琉……唯一無二の神域魔導士にして、異世界から現れた天才……好きなものは化学、嫌いなものは他人の利権を蝕むような大人……ふーん……なるほどね。 過去に、あんなことされたんだ……へぇ……」

「お前‼ なぜ俺の知らない翔琉の情報を?!」

読心術(ハートリーディングスキル)のさらに上、読診術(カルテリーディングスキル)。 一度見た相手の記憶を読み取る魔法……例えそれが、他人の見た映像でもね……」


フィリは精霊族。

(いにしえ)より、過去と未来を見通す巫女が生まれる種族。

ディルが時の監視を任されている一族であるなら、フィリたちは時の流れを悠然と眺めるだけの種族。

すべては運命であり必然だったと言って、例え目の前で死にかけの人物がいろうが助けはしない。

そんな種族だ。


「さて……私もそろそろ反撃しちゃおうかな……幻獣じゃ、あなたを倒せないことは分かったわ……だったら、これでいきましょう」


と、空手のような構えをとる。

肉弾戦ってことか?

いくらなんでも、近接戦闘向きじゃねーだろ、あの身体つき。


「私は、何者にも謝らないし屈しない……屈するくらいなら、その屈する相手を倒してしまえばいいのよ」


なんというか、ワガママし放題で育てられた感があるな……。


「分かったよ……応じてやるよ……ただし、これで最後だ。 もしも、お前が敵わないと思ったら即座に敗けを認めて、反省を覚えろ」

「いいわ……じゃあ、私が勝ったら【雷の大魔導士ライ】あなたは、私のペットになりなさい……猫可愛がりしてあげる一生ね……天野翔琉の前であなたをペットとして飼っている事を公言してあげるわ」

「そいつは、悪夢のようだぜ……じゃあ、ますます負けられないな」


そして、葉音がした瞬間激闘が幕を開けた。



女子を殴る蹴るなんて無粋な真似はしたくない。

だから、空掌(くうしょう)(空気の塊を飛ばす技)でひたすら攻撃しているのだが、フィリは鮮やかにダンスでも踊るようにそれらを次々とかわしていく。


精霊武術(スピリットコンバット):精霊の泉……波紋のように美しく広がるように、相手の技をかわすだけの技法……」

「だけど、かわすだけなら反撃出来ないじゃないか」

「安心しなさい……」


と、フィリは手のひらをバチンと叩く。

すると、今まで飛ばしていた空掌が戻ってきた。


「精霊武術:精霊の逆さずり……手のひらを空気に振動させて、少し時間を戻す技法……ただし、生物の時間は戻せない……だから、さっきみたいな空気の塊だけしか今は戻らない」

「そんな技法が……くっ!」


雨というより、雹に近い塊が一斉に俺の方に戻ってきた。

俺は急いで、それらをかわすが、その隙にフィリはまた何かを企んでいるようだった。


「召喚魔法:強制送還(リレーション)


とフィリが叫ぶと、行動不能状態だった不死鳥が消えた。

やばい、これでフィリは違う魔法を使えるようになってしまった!

空掌をかわすので精一杯だぞ!

やばい、やばい、やばい!


「東西を分かち合う森の壁よ……我は古より支配する王……汝ら運命を逆昇りし……」

「呪文詠唱だと!」


ここで、親衛隊の一人が目を覚ました。

そして、現状を見てハッとなって、慌てている。


「いけません! 王女! その魔法だけは使ってはなりません!」


という声がむなしく響き渡ったが、時既に遅し。


「……響け、世界の鐘! 精霊王魔法(スピリットキングマジック):戒めの呪い、発動!」


ゴゴゴっと、大地が震え、大気がフィリの身体を包んでいく。

そして、次の瞬間俺の身体は宙を舞っていた。

まるで、なにかに貫かれたような感覚だった。

ふと、お腹の辺りを見ると光の矢が刺さっていた。

それを見届けると、俺の身体は人間の姿になっていたんだ。

肉球や、虎耳、髭や尻尾すらない人間の姿に。

近くの水溜まりが俺の身体や顔を反射していたので空中から眺めた。

まるで、翔琉とアマデウスを足して2で割ったような顔立ちだった。

まて、それはいい。

今いうことはこの言葉だろ。


「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

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