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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ミラージュエンド編:第4章-聖霊の掟と時の枝-
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3rdステージ23:王女親衛隊

「王女様? へー、それはすごいなぁ……」


と、俺は感心していた。

実際に一国、というか一族の王家の者には、その一族内でもごく限られた人物たちしか知らないのだ。

また、それを口外してもいけない。

各一族の王家というのは、その種族が古くから守ってる何かを知っているものたちである。

つまりは、一族の根幹に関わる秘密を握っている。

もし、そんなものを公にされたら一族が終わると言うほどの情報を持っているなんてことはよくあることだ。


「そんな王女様が、なぜこんなところに?」


と、トルネがフィリに聞くが、無視する。

何故だろう?

仕方がないので、俺が同じ質問をすると。


「……私、今追われてるの……」


と口を開いた。

追っ手が来ている?

それらば、先程血まみれで切り株に寝そべっていたのは、敵の攻撃を受けたから?

せっかくの白いドレスが、血だらけになっているものな。


「ライ……私を守ってくださらない?」

「俺が?」

「ええ……あなたと、あなたの仲間なら私を守れるでしょ? 世界魔法連合【8人の大魔導士】の3人ならば……」

「それならば、俺たちが望むものを……【時年樹】の在処を教える事を約束してくれ」

「時年樹? ……いいわよ。 教えてあげる。 でも、それはちゃんと私を守れたら……ね?」


ふふっと、笑みをこぼしているフィリだが。

俺は寒気がした。

なんで、こんなにも冷たい笑みを浮かべることができるのだろうか?

企んでいる、嫉妬、怨み、怒り……悲しみにすら当てはまらない。

この不気味な感情はなんだろうか?

まるで、蛇に睨まれた蛙のような気分だった。

死神の微笑み。

到底、精霊とは思えない笑みだった。

警戒心を解かないようにしなきゃな……。


「それで、何からお前を守ればいいんだ?」

「……」


トルネが聞くと黙ってしまうフィリ。

仕方がないな……


「それで、何からフィリを守ればいいんだ?」

「うーんとねー……」


と、フィリは話始めようとしたその時。

殺気がした。

そして、フィリ目掛けて矢が飛んできた。


「危ない!」


と、俺はとっさに雷撃で矢を焦がして消滅させた。

どうやら、木製の矢だったようだ。

金属製だったら、こうはならなかっただろう。


「もうここまで、追ってきたの?」


と、フィリは驚いた顔をしていた。


「とりあえずこの森から出ましょう‼ 詳しい話はそこでするから……」

「いいや、敵がいるならば正体を俺たちも知っておく必要があるだろ? ここで、迎え撃つ‼」

「無理よ、あんたたちが敵う相手じゃないわ」

「じゃあ、なんで俺たちに助けを求めたんだ? 勝てない相手に向かわせようとするほど、フィリはバカなのか?」

「誰がバカよ! 一族の姫君に向かって、バカって……ひどいよ」

「さーて、ぶりっ子してる場合じゃねーぞ……どうやらお出ましのようだ」


と、トルネが言うと茂みから10体の影が飛び出してきた。

白い装束を羽織り、フードを深々と被った10人。

なんというか、恐ろしい。

不気味だ。


「姫君……そろそろ堪忍して、お縄についてーや……」


と、装束の一人がエセ関西弁のような話し方をする。

あ、関西弁ってのは、翔琉から聞いたんだ。

翔琉のいた国で、最も有名である方言で、テレビってやつに出てる芸人がよく使う言葉だってな。


「いやよ‼ なんで、あんなところに戻らなきゃ行けないのよ‼ それに、あの許嫁と結婚させられるなんてごめんよ!」

「そうおっしゃらずに、姫。 フェル皇子は、大変高貴で立派な御方ですよ」

「嫌ったら、嫌!」

「もう……姫! 城を抜け出すために、自ら瀕死の重傷を負われた時にはどうなるかと、思いましたが……どうやら、後ろにいる森外人たちに、助けていただいたようですね……」


え?

フィリの傷って自分でつけたの?

……

……


「……フィリ……」

「なに? ライ……‼」


バチン、と激しい音がその場に木霊した。

そして、フィリはその場に倒れた。

ほほを押さえながら。

そう、俺はビンタした。

平手打ちした。

女の子の顔を、叩いた。


「何すんのよ! 私、女の子よ! ブツなんて……」

「うるさーーい! 命を大事にせずに、自傷する女なんか大嫌いだ! 何故、命あるくせに自分を傷つける? 何故、健康の癖に自らを陥れようとする? そういう女が一番嫌いだ。 自己犠牲?……いやいや、これは自己満足だろ! お前が姫だろうが何だろうが関係ない……俺は、自分がよければ平気で命を落としかけようとするやつが嫌いだ。 だから、フィリ。 お前との約束は果たさない。 お前が困っているなら助ける。 だが、自分で自分を傷つけるような奴には従いたくない。 守りたくもない。 他人からお前を守っても、お前がお前を傷つけるなら、もうお前を守れない……」


そういって森を後にしようとした俺の前に、白い装束の者が立ちふさがる。


「これはこれは……我らが姫を殴っておいて、ただでこの森から出られると思いましたか?」

「うるさい……今俺は機嫌が悪い……」

「我ら、王女親衛隊(テンペスターガード)を相手に、逃げられるとでも?……‼」


ゴゴゴ、と凄まじい地鳴りと、雷の音が辺りを支配する。

そして、俺はもう一度言った。

威圧的に。


「うるせーな……俺様は機嫌が悪いって言ってんのが聞こえねーのかよ!」


ズドーンと、雷が俺の後ろに落ちる。

そして、その雷が作り出した俺の影は禍々しく現れているのだった……。

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