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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ミラージュエンド編:第2章-旧世代の童話-
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3rdステージ10:エゴイズム爺

「ふん、まあよいわい。 それで、お前たちはここになにしに来たんじゃ? この神聖で厳正である場所に……」


シバは眉間にシワを寄せて、孫の手で背中をかきながら言った。

こんなジジイがいる場所が、神聖で厳正だって?

笑わせるなよ。


「シバ儀長。 あなた方には用はないんです。 其処におります、フルートに用があって参りました」


と、私は必死に不満を飲み込みながら言った。

シバは舌打ちをしたのちに。


「ふん、ワシらに用がないのなら消え失せろ……この年増」


と、偉そうに言ってそそくさと、他の儀長の元へと戻っていった。

堪忍袋の緒が切れそうなのを必死にジンライが押さえていた。

ぎゅっと、手を握ってくれていた。

本当に、その優しさは翔琉に似てるわね。


「さて、ディル。 ここで話すのは、老害が移りそうだから他の場所で話そうか」

「そうね……どこで話す?」

「妖精降臨の間は?」

「あ、いいね。 お茶しながら話そうか」


と、私はジンライとアニオンとフルートを連れて、空間転移魔法を発動させた。

そしてここは妖精降臨の間。

すごい名前の場所だが、ここは単なるカフェテラスである。

単にオブジェが妖精だらけの場所だから、妖精降臨の間という名前がつけられただけだ。


最上階のテラス。

ここで、太古の魔導士3人全員と、神魔法の後継者が揃うという連合屈指の実力者が集うという、1つの奇跡が起きていた。

他の職員たちもどうやら気になるようで、こそこそとチラチラとこちらを除いている。

しかしながら、声が聞こえないようにアニオンに魔法で外部に声がもれなくしてもらっている。

あの老害どもに聞かれたら、面倒なものもあるわけだし……。


「それで? 私になんのようかしら?」


と、フルートはハーブティーを飲みながら要件を聞いてきた。

私は持っていた珈琲をテーブルに置いて、話を始めた。


「聞きたいことがあるのよ……」

「聞きたいこと? なんだ?」

「イミナ=ファルコンって名前に聞き覚えない?」

「イミナ……? いいや、聞いたことがないな……アニオンに聞いてみたらどうだ? なんでも知ってるお姉さんだろ?」

「……」

「? どうしたアニオン。 黙ってしまって」

「ごめんね、分からないんだ……このアニオンでさえも……」

「なるほど……それで、私が知ってるかもしれないと思ったんだね?」

「ええ、まあ……予想は外れてしまったけどね……」


アニオンは顔を曇らせながら、カフェモカをちびちびと飲んでいる。

ジンライは黙って、ミルクティーに砂糖を入れて遊んでいる。

甘党かよ。


「それで、その人物は何者なの?」

「一応、オールドアを作った創造主って名乗ってたわ……」

「オールドアの創造主? それって、始まりの神がもたらした奇跡じゃないの?」

「いいえ。 どうやら、その始まりの神の頼みでオールドアを作ったって言ってたわよ」


フルートは目を輝かせている。

これだから歴女は。


「へぇ! また、新しい発見だね。 偽りの歴史の修正した本を書いていたけど、そっちのオールドアの誕生についても今度書こうかしら」

「ご自由に……話を続けても?」

「もちろん‼」

「それで、イミナ=ファルコン曰く、アマギが逃げたらしいのよ」

「アマギが逃げた!? また、面倒なことに……」

「で、今翔琉のいる世界にアマギがいるみたいだから、早く扉を直そうとしてるんだけど、3つの道具魔法が必要なんだって」

「3つの道具魔法?」

「1つは火山の龍が持つ【生命針】。 2つ目は、古の森にある【時年樹】。 そして最後に、癒しの泉にある【起源泉】。 これを揃えて再びオールドアの前に来いって」


ここでアニオンがピクリと反応した。


「私、生命針と時年樹なら聞いたことがある……生命針は、"時間の流れを清浄にする光の針"、時年樹は、"幾千の悠久を越える力を宿した枝"。 どれも、時間や空間に関係した能力を持つ道具魔法よ」

「起源泉については?」

「それは、聞いたことがないな……ごめんね」

「いやいや、3つのうち2つも知ってたなら、充分すごいって♪」


ふふっと、照れたアニオンは持っていたグラスで顔を隠した。

可愛いしぐさだな。

窓際でこちらを見てる男性陣が、デレデレニヤニヤしながら見てるよ。


「ふむ……まずは、その道具魔法を揃えてみないと分からんな……他には? 何か聞きたいことは?」

「あぁ……えっと、パラノイヤとヨルヤって名前に聞き覚えは?」

「うん、両方とも聞いたことがあるわね……でも、2人とも始まりの神の時代の人物ね」


そういってフルートは、懐から巻物を取り出してそれを広げたのだった。

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