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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ミラージュエンド編:第2章-旧世代の童話-
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3rdステージ9:5人の儀長

この世界魔法連合本部には、極力来たくはなかった。

でも、ここにフルートがいるなら仕方がない。

黙って本部へ行くとしますか。


「解錠しなさい……」


と、近くの門番に私は言う。

その門番はどうやら、私に気がついていないようで。


「お嬢ちゃん、ここは子供の来る場所じゃないんだよ……」


と、雑誌を読みながらお茶菓子を食べている。


「随分と生意気な口を聞くわね……この私に向かって……」


あぁ?

と、振り向いた門番はぎょっとしたような顔だった。


「こ!こ!これは! ディル様! も、申し訳ございません! ただいま解錠させていただきます!」


そういって、手元のスイッチを押す。

ゴゴゴゴっと、凄まじい音を立てて門が開いた。

無駄に警備がうざったいんだよな、ここ。

どんだけ怖がりなんだか、あのジジイども。


「んじゃ、門番くん。 仕事きっちりこなしなさいよ……ね?」


私はニコニコしながら、城へと入っていく。

この時、ジンライと門番は恐怖に怯えていたらしいけど、なんでかしら?



翔琉の世界で言うところの、ベルサイユ宮殿みたいな造りの城。

でも、大きさはスカイツリー並ってとこかしら。

とにかくでかくて広くて、無駄にこだわっている。

なんて、悪趣味な場所かしらっと、私は思うけど。

見る人によっては、とても美しい場所らしいわ。


「えっと……フルートの居場所は、たぶん大聖堂の方ね……」

「なあ、ディル。 そういえば、俺ってここに始めてきたぞ」

「あ、そうか。 ジンライはここ初めてだったね。 ここはとにかく広いから、迷子にならないようにしてね。 昔は遭難者が出て死人も出たらしいけど、今はせいぜい2日後に生きてる状態で発見されるレベルだから心配しないで」

「それって十分危ないよな……じゃあ、ディルお手々繋いで」

「もう、甘えん坊ね」

「ホントは翔琉(ママ)にしか、触らせたくないけど……今回は特別な」

「あ、そうですか……」


可愛くないな、コイツ。

無愛想すぎない?

まあ、とりあえずギュッと手を握りしめて、私は大聖堂へと向かう。



大聖堂。

別名、審議の間。

私の中での通称、使えねぇ役人の溜まり場。


「着いたわ、大聖堂……ここにフルートがいるのね」

「なあ、フルートに何を聞くんだ?」

「パラノイヤとヨルヤのこと……それと、イミナの事をね」

「それって、アニオンの方が知ってそうな気がするけどな、なんでも知ってるんだろ?」

「いや、あいつ意外とそんなに知らないから、意味ない」

「おいおい、その言い方は心外だぜ、ディル……」


と、アニオンが後ろから現れた。

いつの間に……。


「こう見えて、お姉さんはなんでも知ってますよ」

「へー、じゃあパラノイヤとヨルヤって名前に聞き覚えは?」

「……」


黙ってしまった。

これは、困った。


「あれ? アニオンさん、なんでも知ってるんじゃないの?」

「……」

「ちょっとちょっと、アニオンさん。 しっかりしてくださいよ~」

「……それは、フルートに聞こうか」


降参した。

あっさりと、敗けを認めた。

珍しい。


「なんにせよ、早くフルートに会わなきゃ」


そういって私たちは大聖堂へと入る。

そこで私たちは驚きの光景を目にした。

フルートが5人の儀長と揉めていたからだ。


「だから、あんたたちは頭が固いっていってるでしょ?」

「何をこしゃくな、小娘が。 お前らに命令を下すのはワシたちじゃという事を忘れたか?」

「だからといって、全てを承諾するとは言ってなかったはずよ。 私たちは、あなたたちの道具じゃないんだもの!」

「ふん、青臭いのう……それでよく、太古の魔導士が務まる……」

「おあいにく様、あんたたちみたいに金にものを言わせて権力手に入れたバカと違って、実力で手に入れた地位なんでね」

「小娘が、また我らを愚弄するのか!」

「頭悪いそっちが悪いのよ……ん?」


と、ようやく私たちに気がついた様子だった。


「あれ? ディルにアニオンに、ジンライくんじゃない。 どうしたの? こんなごみ溜めみたいなところに来ちゃって」


本部をごみ溜めとか、フルートじゃないと言えない台詞だな。


「うん、あのねフルートに聞きたいことがあって来たんだけど……それより、儀長たちと喧嘩してたみたいだけど、何かあったの?」

「あー、あの老害どもがさ、不老不死の薬を寄越せって言ってきたのよ」

「不老不死の薬?」

「そうそう、この前翔琉くんには教えてあげたんだけどね、そのあとに完成したのよ。 でも、危険だから製法全てを破棄しようとしたら、あのジジイどもに呼び出されちゃってね、もう勘弁してよ……」


やれやれ、と疲れ気味の顔を見せるフルートだった。


「まあ、もう製法知ってるのは翔琉くんしか、いないんだけどね……私はその件の記憶は消去しちゃったし……」

「じゃあ、断ればいいんじゃないの?」

「それが、何度いっても聞かなくてね、あのジジイども。 本当に、欲に目が眩んだ老人って厄介だわ……」

「誰が欲に眩んだ、ジジイどもじゃ!」


と、5人の儀長の1人である、シバ・フェルプス=アルミニウムス近づいてきた。


「おお、ディルにアニオン。 久しいのぉ……ん? 其処におるのは、神魔法の後継者ジンライくんではないか! お父さんに顔が似ておるのぉ」


と、ジンライに触ろうとしたのだが、ジンライはそれを拒否した。


「申し訳ありません、シバ様。 この身体に触れてよいのは、俺が気を許した相手のみですので。 ちょっと初対面の方には触られたくないです……」


と言って、私の後ろに隠れた。

不快に思ったシバは。


「ふん……所詮は作られた命か……なんともまあ、生意気に育ちおって……まあよい……いずれ、神魔法を手にする際の手駒の1つじゃからな」


とボソッと言った。

それを聞いていた私たちは、もっと不快になった。


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