3rdステージ5:扉を創りし者
砂漠の旅人のような格好の人物。
果たして何者なのだろうか?
私たちは、すぐに臨戦態勢に入る。
「あなた、何者? 返答しなければ、攻撃を開始する!」
「神魔法がなくても、普通の雷魔法と光魔法ならば使えるぜ!」
ふふっと、謎の人物は声を漏らす。
軽く呆れて笑っているようだった。
「やれやれ、どうしてそう好戦的なんだろうね? 君の世界の人物たちは……私はなにもしていないのにさ……単純に突然現れたから攻撃をするだなんて、野蛮すぎだろ。 知性の欠片も感じられない……それでいて、よく魔法使いなんてやっていられるね?」
「その含みのある言い方……なんだか、翔琉に似てる?」
「おぉ、天野翔琉君ね。 彼は実に立派だよ。 つい6か月前だったかな? オールドアをくぐった際に、出会ったが実にいい目をした好青年だったよ……」
「翔琉を知ってる!? まて、それより出会った? じゃあ、翔琉もここに来たことがあるのか?」
「ふむ……もし、知りたいのならばその野蛮な動作を止めて、座るといい……それからでも遅くはないだろう」
そう言うと、謎の人物はその場に座り込んだ。
私たちは警戒しつつ、その人物に言われるがままにその場に座った。
「これで、ようやく話ができるな……っと」
「「‼‼」」
謎の人物がフードを外した。
その素顔に私たちは驚いた。
「そんな……なんで? なんで、あなたの顔……」
「む? なにか変かね?」
「変かね?じゃなくて……それ……いや、その顔は……」
私たちは驚愕していた。
懐かしいけど、有り得ない。
会いたかったけど、もう会えないはずだった。
謎の人物は、その人物と同じ顔をしていた。
私が恋い焦がれ、ジンライにとっての唯一無二の存在。
そう、天野翔琉だ。
謎の人物の顔は、天野翔琉の顔だった。
「……なんで、なんで、なんで、あなたが翔琉の顔を!?」
「前に、ポセイドンが海魔法でコピーしたのを見たけど、今回は違う……前は明らかに偽物の雰囲気があった……でも、今回は違う……本物と同じ気配だ……」
謎の人物は、私の驚いた顔を見て笑っている。
他人事だと思って。
「ふむ、愉快だな。 まさか、ここまで驚くとは意外だったけど。 まず始めに、私は天野翔琉ではないよ。 彼とは会ったことはあるけど、彼と私は別人だ」
「じゃあ、あなたはいったい……?」
「そうだったね、自己紹介させてもらおう。 私はイミナ……イミナ=ファルコン。 オールドアの創造主にして、扉を管理する者だ」
「‼ あなたが、オールドアを?」
「そうだよ、すごいでしょ。 イエーイ」
ピースサインをしているイミナの軽さにも驚きだが、とうとうオールドアの創造主に出会うことができたのは、幸運だった。
「イミナさん、唐突ではありますが聞きたいことがあります」
と私は、話を降った。
イミナは、軽く頷いて私の目を真っ直ぐと見ながら話を聞いてくれた。
「……という訳で、現在オールドアが使用不能なんです」
「ふむ……オールドアが使用不能とは……過去にない事例だな……ん! まさか……」
そういってイミナは指をならす。
すると、星が輝く夜空に、ある光景が映し出された。
それは、巨大な檻……だったもの。
だったもの、と言うのは檻の形をしていなかった為だ。
檻は見事に熔解していた。
そして、何かが居たような後も残っていたのだった。
「これは非常に不味いことになったな……あいつが逃げ出してたとは……」
「あいつって?」
「お前さんたちが、先の戦争で封印した邪神アマギ……奴が封印を突き破って逃走したらしい」




