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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第1章‐7人の大魔導士‐
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1stステージ10:温暖帝にやって来た

「じゃあリュウ。 大魔導士の捜索を頼んでもいいかしら」


 ディルがそういったがリュウは反応しないので、俺にアイコンタクトしてきた。


 ”この状況何とかしろ”


 やれやれだぜ――――


「リュウ、頼む。 大魔導士たちを探してくれないか? 俺のために」


 そう俺がリュウに真剣な面持おももちでいうと、リュウはこっちに満面の笑みを見せ


「翔琉ちゃんの頼みならいいわよ~、仕方がないな~♪ 手伝ってあーげる♪」


 と言い、抱き付いてきた。

 その光景に、ディルは不機嫌、ライは不貞腐れている。

 本当にこの状況はカオスすぎるだろ―――――


「水の魔法:探査人道らくどう!」


 そうするとリュウの前に水の水晶が現れた。

 水の魔法:探査人道は、発動者の魔法の力に応じた能力を発揮する魔法で、発動と同時に水晶が現れる。

 この水晶に、探している人物がどこにいるか、断片的に映るらしいのだ。

 勿論その精度は魔法の力に応じて、高くなる。

 7人の大魔導士の1人であるリュウが、この魔法を使うという事は精度的には、ほぼ100%を発揮することが出来る。


「見~つけた」


 リュウは水晶の中を覗こうとしたが、全て見終わる前に水晶は壊れてしまった。


「む……誰かに妨害されちゃったけど、まあいいや。 闇の大魔導士ホルブの居場所が分かったわよ」


 誰かに妨害された、という言葉が聞こえたが―――気のせいだろうか?



「闇の大魔導士ホルブの居場所を突き止めたけど……この場所は……地獄炎瑠ヘルズフォールだわ!」

「「地獄炎瑠だと!」」


 ライとディルは驚く。


「そこは一体何があるんだ?」


 俺は聞く。

 するとリュウは、不安そうな顔をして答えた。


「地獄炎瑠はマグマの湖と呼ばれている火山地帯で、龍ドラゴン族が住む地帯よ。 激しいマグマは行く手を塞ぎ、いまだに龍族以外はうかつに近づくことが出来ない危険な地帯なのよ。 確か、炎の大魔導士エンは龍族の血筋だったはずだから、ホルブを訪ねる前に、エンの方へ行った方がいいわね。 エンにしか攻略できないと思うし……。 まずはエンを仲間に加えましょう。 じゃなければ、闇の大魔導士ホルブには接触できないわ。 彼の居場所は分かっているの?」

「炎の大魔導士エンはこの泉から3kmほどにある温泉地帯、別名:温暖帝ホットフォレストにいるぜ」


 ライはそう答えた。

 ライは何やらあれをやってほしそうな目でこっちを向いていたのでゴロゴロしてロリライにした。

 ロリライとは、ライが幼児化した姿の通称である(命名したのは俺だ)。

 やっぱりいつみてもかわいい。

 中身は酷いけど―――――


「きゃー! なにこれ? ライなの? 超かわいいんですけど!」


 とリュウが触った瞬間に元の姿に戻ってしまった。


「翔琉以外が触ったら、ライは元に戻っちゃうのよ」


 とディルはリュウに言った。


「ふん! 何よ。 まあいいわ。 あたしには翔琉ちゃんがいるんだし!」


 とリュウが不敵な笑みをしたので、ライはムッとなって言い返す。


「は!翔琉と一晩も共にしたことないくせに。 俺なんか昨日腕枕してもらったぜ。」

「きいい!!! 悔しい――――じゃあ、今日はあたしもやってもらおうかしらふふふ」


 はあ……大変だな俺。

 なんかほんと……もういいや。

 割り切ろう――――


「じゃあ、行くわよ!」


 とディルは不機嫌そうに上空に飛ぶ。

 ため息をつきながら続いて俺が、そのあとにライ、リュウと続くのだった。

 道中ふと思ったのだが、リュウはあの場所を離れてもよかったのだろうか?

 何故ならば、あの癒しの泉は、世界各地からけが人や病人が、リュウの治療を求めてやってきているのではないだろうか?

 それなのに、彼女自身がいなければ、治療はままならないのではないだろうか?

 その質問をリュウ本人にしたところ


「あー、大丈夫大丈夫。 あたしの弟子たち優秀だから、あたし1人いなくなってもなんら問題ないから。 一本の矢では脆くても、三本集まれば強靭になるって言うのと同じよ」


 と、あっさりと飄々と言ったのである。

 まあ、大丈夫ならいいのだけど――――



 温暖帝……この場所は、この世界における有名な観光名所で、傷を癒すことのできる温泉や、魔法の力を一時的に上昇させる温泉もあるという、魔法の温泉がある場所である。

 という事は勿論人も多いはずなのであるが、今回は何故か観光客の姿さえ見当たらなかった。

 その理由を、ディルに聞いたところ


「ああ、それはだって今、私たちの貸し切り状態にしてあるからね」


 とあっさりと自白した。

 と言うか、いつの間にそんな状態にしておいたんだ?

 でもそんなに簡単に貸し切りになんて――――あ、そういえば有名人だったもんね、ディル……。



 温泉地帯と言うことで大魔導士捜索前に温泉にて体力を回復させることにした。

 男湯、女湯そして混浴―――まあ、完全に貸し切り状態であるので、温泉を管理する人や、お店の方以外はいない状況下なので、俺とライとディル―――そしてリュウ以外は、温泉にいない状況である。

 ざっと見た感じでは、東京ドームほどの広さの温泉なのであるが、そんな大浴場すら、俺の場合はライと2人きりであるので、若干寂しさすら感じる。


【男湯サイド】


 まあ、そんな事を言っても仕方がないので、風呂に入ろう。

 物思いに耽っていると、いつの間にかロリ姿になっていたライが後ろにいた。


「翔琉!背中流してやるよ!」


 そういって爪を立てている。

 いやいや、それで引っかかれたら、血が流れ出て、洗い流す予定の背中が、真っ赤になると思うんだけど……


「いや、いいかな……痛そうだし―――」

「ああ、爪は使わないよ。 えっとね―――これ使う!」


 と、タオルを取り出した。

 よかった―――それなら血は出ないぞ。

 でも、タオルどこに隠してたんだ?


「まあ、それなら頼もうかな」

「おう! 任せてくれ! 身体の隅々まで、舐めまわすように、きれいさっぱり洗い流してやるぜ……えへへへ」


 なんか……頼みたくなくなってきたな――――


 その後、宣言通り隅々まで洗われてしまった。

 頭のてっぺんから、指の間に至るまで……洗い流されている間はひたすらライが不敵な笑みを浮かべているので、この後何をされてしまうのかと、内心ビクビクしていたが、結果として身体を洗っていてくれただけで収まった。

 その後、お礼にと思って、俺もライの身体を洗ってあげた。

 隅々とな――――

 ライは脇腹が弱いらしく、その部分を洗い流そうとすると、手で抱えてしまうのである。

 無性にイタズラしてみたくなったので、その点を集中して洗ってあげたところ、ライは悶絶寸前まで行ってしまって、そろそろヤバいな、と思って洗うのを止めたところ


「そんなテクニック……卑怯すぎるだろ――――」


 と言って、その場に転げてしまった。

 俺は、ははっ、と笑いながら


「だって、他人の身体洗いなれてるし。 良く弟の世話してたから――――」


 俺は不意に弟の翼の事を思い出してしまい、言葉はそこで止まってしまった。

 無言のまま、浴槽に向かって、そのまま俺は湯につかった。


「翼……か。 元気かな?」


 天野翼あまのつばさ、俺の弟である。

 現在は幼稚園児で、人懐っこい性格の笑顔が可愛い子だ。

 母と父より、俺に懐いていて、よく”お兄ちゃん、遊ぼ‼”と言ってくる。

 俺は勉強の合間に、弟と遊んであげるのが日課で、最近だとゲームをして遊んだかな。


「あいつ、俺がいないからって、泣いてないだろうな? 早く帰ってやらんとな――――」


 そんな感じに物思いに耽っていると、ライがお湯に向かって


「ダイビング‼」


 と言いながら、飛び込んできた。

 思いっきり鼻に水が入ってしまったようで、急いで浮き上がってきて、ゲホゲホとむせている。

 そうなるのなら、始めからやるなよ――――


「翔琉‼ 顔が暗いぞ‼ 元気に明るく、ポジティブに、だよ‼」

「ん? ああ、ごめんごめん。 ちょっと考え事してた。 顔暗かった?」

「うん、そういう風に見えたぞ‼ また元の世界の事考えてたのか?」

「まあね……あっちに、残してきた弟の事が気がかりでな……」

「翔琉……兄弟いたんだ……」

「ん? ライにもいるの?」


 と聞いたのだが、すっかりそっぽを向かれてしまった。

 どうしたんだろう?


「あの……ライ? どうした?」

「うん? ああ、すまない。 ちょっと思い出したことがあってな……」

「それで、さっきの質問の事なんだけど――――」

「ああ、いるよ。 兄が1人な……」

「へえ……ライのお兄さんだから、きっと優しい――――」

「あいつはそんなんじゃない‼」


 珍しく声を荒らげたライに俺は驚いた。

 この姿の時に、こんなに威圧感が出るだなんて、驚きだ。

 はっ、となって我に返ったライは、慌てて


「ごめん……突然、大きな声を出してしまって――――」


 と、謝ってくれた。

 しかし、ライとそのお兄さんには、何があったのだろうか?

 気になったが、今は聞くのはやめておこう。

 いずれ、彼から話してくれるときが来るだろう――――


【女湯サイド】


 お湯につかる2人の魔導士の姿がそこにはあった。

 それは、まるで天女のようで――――ん?

 語り部が違うのではないかって?

 そりゃあ、女湯に翔琉が来れるはずないのだから、必然的に語れないでしょうに―――というわけで、女湯の状況を語るのは私、ディルが担当します。

 でも、流石に自分たちの事を天女って言うのは言い過ぎだね。

 言ってて流石にひいてしまったわ。

 では改めまして――――女湯には、世にも美しき2人の美女の姿がありました。

 私、ディルと、水の大魔導士リュウである。


「はあ……生き返るわ~」


 と私は風呂に浸かり、そして浴場に響き渡るように言った。

 まあ、どうせ2人きりでいるのだから、少しくらい大きな声を出しても誰も聞こえないって。

 せいぜい、一緒にお風呂に入っているリュウにしか聞こえないわ。


「ほんとね~最近、急患多かったから、ゆっくり休めてなかったから、身体の疲れがお湯に溶けていく感覚だわ~」


 とリュウも同様に、温泉を満喫していた。

 まあ、人がいない状況と言うのは、自由が効いていいものだ。

 私が人払いをする理由と言うのは、そういった理由でもある。

 大人数がいる場合では、自由と言うものが制限されてしまう。

 特に私やリュウみたいに、周りに顔を知られているような人間は、周りの目を気にしながら生活しなきゃいけない。

 悪評とかたてられたりするのは嫌だもの―――


「そういえばディル。 あんた翔琉ちゃんの事をどう思ってんの?」


 と急に恋バナを展開しようとしているリュウに私は驚き戸惑ってしまった。


「え? 何よ急に‼ え? え? 何を言っているんだね急に―――私は別に翔琉の事なんて――――」

「あんた……翔琉ちゃんの事好きでしょ」

「何言ってんのよ。 そんなことあるわけ無いじゃない。 私は別に―――」

「好きじゃなかったらここまでしないでしょ? 監視者としての使命とか色々と理由付けは出来るけど、あんだけ他者とのコミュニティケーション能力低いあんたが、その辺で困ってる人間助けるなんてありえないでしょ?」


 なんとも酷い見方をされていたものだ―――

 まあ、他人とのコミュニケーション能力が低いことは認めましょう。

 急に知らない人に話しかけられたりすると、頭の中が真っ白になってしまうし―――


「まあ、そうなのかもしれないわね。 案外と言うか、がっつりと翔琉の事が好きかもしれない。 翔琉といるとホッとするし、なにより心が温まる感じになるのよね。 これまで冷淡に仕事人間だった私にとっては、心が温まるって事はそうそう無かったことだし―――」

「恋なんてそんなもんよ。 一緒にいて、心が安らげるんなら、それが恋でしょ」

「まさに―――経験者は語る、だね」

「そりゃあ、長い人生を生きているからね……」

「ふーん……」

「なによ? 何か文句あるの?」

「いや……なんか、おばさんみたいな物の言い方したからさ……」

「誰がおばさんよ‼ まだぴっちぴちの4523歳よ」

「ぴっちぴちって言い方がもはや……って言うか、おばさんじゃなくてババアじゃねえかよ‼」

「ババア言うな!」


 そういって、浴場で私たちの魔法抜きの2人の喧嘩が幕を開けたのであった―――――

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