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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
ファントムソウル編:最終章-天野翔琉と神々の実験-
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2ndステージ57:青年の正体と煉

「ーーーロギウス、君の目的は1つ。 真の歴史を明かすことだね? 自分自身の誤った歴史を、世界に知らせるのが君の目的だ!」


 俺は確信を持って言う。

 この精神世界に来た以上は、記憶も感情も共有しなければならない特殊な空間へ足を踏み入れたも同然。

 そのため、俺はロギウスの企みも何もかも、彼の過去さえも知ることができた。


「なるほど――――――この世界に来てから、どうも変だと思ったが、そうか。 ここでは記憶も感情も共有されるのか――――――厄介な場所だな」

「まあ、おかげで”真の敵”ってやつにも気付くことができたよ」

「ふーん、じゃあ、お前は我の味方になると?」

「いいや、俺はお前の敵だよ」

「ふん、ならばどうする? ここでは特に魔法が使えないというわけでも、なさそうだし、最終的には力押しでお前を服従させて、我は肉体を奪うぞ」

「まあ、話は最後まで聞けよ。 それからでも遅くないはずだ」

「いいや、我には時間がないのだ。 一刻の猶予も許されない!」

「そうやって、時間を気にする癖があるから、あんな奴にいいように手ごまにされるんだよ」

「黙れ! 貴様に何が分かる!」

「まあ、そんなに急ぐんなら、急いで話を済ませてやるから、今は黙って話を聞け」


 そして、俺は再びロギウスに話を始めるのであった。



~現実世界~


 あれは!

 と一同が思った先にいたのは、何を隠そうロギウスの忠実な部下、地獄大神王メイオウであった。


「やあ、皆さん。 お久しぶりですね」


 そういって、結界を紙切れ同然に破り、玉座の間に降り立った。


「馬鹿な! 何故お前にそんな力が!」


 フルートが言うと、メイオウは懐から瓶を取り出して、アマデウスを出した。


「アマデウス……無事だったか‼」


 ジンライが言うと、アマデウスは言葉を発する。


「皆の者、聞くんだ。 こいつはメイオウなどではない!」


 その言葉に全員が衝撃を受けた。

 しかし、直後メイオウの姿が歪み、ムラサメの姿に変わる。


「ムラサメ?」


 とボルが言うと、ディルが驚きながら、ムラサメに言う。


「お前―――――誰だ? ムラサメではないな? 本当の正体を現せ!」

「全く、あい変わらずせっかちな一族だね、君たちは」


 そういってムラサメだったものは、更に姿を変える。

 そして、翔琉そっくりの顔立ちをした青年に姿を変えた。


「今度は翔琉の姿に―――――」


 とライが言いかけたが、直後アマデウスが違うといった。

 そして奴の正体を述べる。


「あいつの正体は、神話の神だ。 全知全能の神と言われるアマギ。 それがあいつの名前だ」


 そういうと、アマギはアマデウスに向かって言う。


「さてさて、兄の魂を返してもらおうか。 奴はどこだ?」

「奴とは……ロギウスの事か?」


 そうリュウが言うと、アマギは舌打ちをしてから、不快そうに答える。


「いいや、違うね。 あと、そいつの名を口にするな! 忌まわしき、名を――――――」


 明らかな殺意を見せつけられた一同は、アマデウス以外を除いて、その場に立ちすくんでいた。


「みんなよく聞いて、この男――――――アマギの目的は、自分がかつて殺した兄の復活。 そしてそのためには、兄の魂が必要なんだ。 魂は年を重ねるごとに幾度となく転生を繰り返してきた。 それはアマギの手から逃れるためでもあった。 でもね、僕のせいでそれがばれてしまったんだよ。 偶然ではあったんだけどね――――――」

「偶然って……まさか!」

「そうだ。 今彼の兄の魂は、天野翔琉に宿っている。 つまりアマギの目的は、天野翔琉を殺して兄の魂を奪い取ることだ」


 アマデウスはこの場における全員に神魔法を授け、ジンライの中へと消える。

 そして、心を通じて全員に話す。


"翔琉が殺されることを防ぐためにも、全員でこいつを倒すんだ! そして、かつてロギウスを封印する際に使った封印魔法を用いて、こいつを永遠に封印する! じゃないと、翔琉は殺されてしまう。 それは僕も本望じゃない。 翔琉の夢の果てを見届けるまでは、殺させるわけにはいかないんだ! 全知全能の神であるアマギには、神魔法以外の魔法は受け付けない。 だから、今あるすべての力を君たちに分散させた! だから、絶対にこいつを倒すよ!"

"おう!"


 全員が今、神話にけりをつけるために戦う。

 そして、天野翔琉の殺害を阻止するためにも―――――――この勝負負けられない。


「神にあらがうとは、愚かしや――――――ならば、しかるべき制裁を受けるがいい……」


 こうして、全知全能の神との戦いが幕を開けた。



~天野翔琉の精神世界~ 


 「ロギウス……君はかつて、狂気に走った神の暴走を止めようとした人物、つまりは罪人ではなくて本来は英雄となるはずだった――――――しかし、君は神を封印した代償に記憶をすべて失ってしまった。 その時だね、神が君に小細工をしたのは」

「ああ、我は元々神々に使える神官であった。 しかしながら、崇拝していた神が、弟の神に殺されてしまったので、当時の魔導士たちと共に、弟を封印したのだ――――――だが、神に操られたデイと他の魔導士たちによって、神は復活し、我の記憶も戻った。 そして神は、我に復讐するべく、動き出した。 それが―――――」

「あの神話と言うわけだね。 なるほど、なるほど……予想はしていた。 つまりは全員が誤った記憶を植えつけられている中で、君だけが唯一真実の記憶を持っているわけだから、多数大勢には君だけがイレギュラーとなってしまったわけだ。 異端分子は排除する―――――それが、これまでの歴史の真実……君はその神を今一度倒すために、この世に復活したわけだね」

「その通りだ。 我はあいつ――――――アマギを倒したいだけだ。 それが済んだら、大人しく消える―――――」

「世界征服ってのはフェイクで、これが本来の目的――――――なるほどね」

「ああ、頼む。 お前の肉体を我に貸してくれ」

「残念だけど、そういうわけにはいかない。 だって、倒した後に身体を返してくれる補償はないもの」

「何故だ! 何故……」

「だから、確実性のない約束はしたくない。 必ず約束を守ってもらえる条件が出ない限り、君には絶対に肉体は貸さないし、ここからも出さない。 じゃないと、他の人の身体を奪いに行くだろ?」

「ならば我は、力づくで、お前の肉体を奪うまでだ!」


 ロギウスは座っていた椅子を破壊して、魔法を使う構えを取る。


「やれやれ、だから奪われるわけにはいかないから、こっちも助けを呼ぶことにするよ―――――」


 そういって俺は指を鳴らす。

 すると、巨大な檻から煉が出てきたのだった―――――



「翔琉に呼ばれてじゃじゃじゃじゃーーん! 正義のダークヒーロー煉様の登場だい。 者どもひかえろ~なんちゃって、てへぺろ」


 そういって煉は決めポーズをとっている。

 うざ……


「こらこら、翔琉きゅん! うざいとか思っちゃダメダメ~! 僕は君の手となり足となり心となり刃となるんだから♪」


 ロギウスは煉を指さし


「誰だ、そいつは?」


 と聞く。

 煉は言う


「おやおや、ロギウスちゃん。 忘れちゃったのかしら? 私だよ――――――」


 ん?

いつもと口調が違う。

 そしてロギウスの表情が変わり、涙をこぼし始めた。


「ああああ―――――あなた様は、あの方なのですか? 何故この場所に?」

「いやあ、まあ、転生したからね。 翔琉の魂と融合してるだけだ。 そして一番ここが落ち着くんだよ。 あんな暮らしや、あんな奴と一緒に下界の様子を見るのはもう嫌だ。 私は、ここで翔琉と一緒に翔琉の夢を追い続けてやるんだ。 それが友達ってやつだろ?」


 おいおい、完全にキャラが違うぞ?


「え? ごめん、事情がつかめないんだけど、どういうこと?」


 と俺が煉に聞く。

 すると煉は、すまないな、と言い


「隠しているつもりはなかったんだけど、もはや偽りの仮面は必要ないな―――――――翔琉。 私の名前は煉。 いや本来の表記はRENNEと言うのだが、これは実はアナグラムでな、本当の名前はレネン。 全知全能の神を弟に持つ、自分で言うのも恥ずかしいのだが、創造の神だよ――――――」

「またまた、御冗談を。 いつもの感じでふざけちゃって―――――‼」


 この時俺は煉の目がまっすぐ俺を見つめていることに気が付いた。

 相手の目を見て話すという行為は、一般的に人に真実を話しているときの状態である。

 そして、煉は――――いやレネンは続けて言う。


「本当は正体を明かす予定なんか無かったんだけどな。 だって、私は君の魂と完全に融合しているから、本来ならば”天野翔琉”として一生を過ごす予定だったんだけどね、翔琉があの世界で必死に頑張って、そしてストレスを感じてしまったことによって、魂に歪みが生じてしまったんだ。 だから、融合は不完全となって、こうして分離したわけさ」

「――――――じゃあ、なんで今さらそんなことを話す気になったのさ。 だって、いつもの煉ならふざけて通すだろ?」

「ふざける――――という行為は、君の負の感情を発散させるのが目的だったのさ。 いくら創造の神とは言っても、心だけは作ることができない。 心は育まれなければ強くはならない。 私はそんな君の成長を陰でひっそりと手伝っていたわけさ」

「で? そんな神様が、なんで俺の中に?」

「それは――――――愚弟から逃れるためさ」

「愚弟?」


 と俺が聞き返すと、ロギウスが間に入ってきた。


「愚弟と言うのは、レネン様の弟君にして、我を罠にはめた全知全能の神、アマギです」


 そういってロギウスは一歩下がって、レネンに傅いている。


「なるほど―――――じゃあ、今回のラスボス……と言うか、全ての黒幕は、そのアマギって神様なんだね?」

「その通りだよ、翔琉。 全ては私の過去の過ち……見せてあげるよ、私の過去を―――――」

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