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魔法世界に来てしまった結果、最強の魔導士になってしまった  作者: ただっち
オールドア編:第1章‐7人の大魔導士‐
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1stステージ9:リュウとの決着

【その頃、外では――――】


 ライはディルに掴みかかっている。

 それはそうだろう。

 自分の好きな相手を、みすみす危険な場所に送り込む者など、いないであろう。


「おい! あいつを殺したいのか! ならば俺が加勢する!」


 そういって、水でできたキューブに飛び込むが、弾き飛ばされる。


「無駄よ……湖底概念は、強力な結界魔法。 闇の大魔導士ホルブでもない限り、そう簡単に破れないわ……」


 冷淡に彼女はライに向かって言うのであるが、どうにもライはディルの態度が気に入らず、噛みつくように怒鳴り散らす。


「ずいぶんと、余裕そうだなディル……もし、翔琉が負けて、リュウの言いなりになったらどうするんだ? お前、責任とれるのか?」

「じゃあ、逆に聞くけど、あなたは翔琉の勝利を信用していないの? 翔琉が絶対負けるとでも思っているの?」

「それは……」

「もう少し、彼を信用してみなさいよ。 それにしても、人間に不信感を持つあなたが、ここまで人間にこだわるだなんて、本当に珍しいわね――――」

「ああ、それは俺も思うぜ。 なぜか翔琉は穏やかで、とても優しい感じがするんだ。 そう、他の人間には感じない強い慈愛の心ってのがな」

「慈愛の心――――光属性の魔法を使う者に必要な絶対条件にして、強ければ強いほど浄化の力が強くなる。 確かに、翔琉には強い慈愛が備わっているわね―――――それに、翔琉は私の”地獄の特訓”を3時間でクリアした男だし」


 ライは”地獄の特訓”と聞いて、冷や汗を流した。


「あの特訓をクリアできたのか! じゃあ、大丈夫だな――――だって、あの訓練は7人の大魔導士が結局クリアできなかった特訓だったからな……」


 ライは苦笑いしながら、箱を見つめる。

 同様にディルも箱を見つめている。

 2人共翔琉の無事を信じて―――――



【翔琉サイド】


 激しい水の流れ、水圧の猛攻。

 光の神魔法の使用不可のこの状況で、リュウの激しい攻撃は続いていた。


「いいわ……すごくいいわ‼ 久しぶりにこんなにも楽しいと感じたバトルは無かったわ‼」


 一般に水属性に有効なのは地属性である。

 だけど、残念な事に俺はまだその属性は覚えていない。

 そんな中で、勝つにはいくつかの魔法を融合させて攻撃するしかない。


「雷と氷の融合魔法:瞬審氷結らいどうひょうが!」


 そう叫ぶと、俺の身体は雷に包まれその周りには氷塊が回る。

 雷属性の攻撃強化に加えて、氷属性の自動防御、それらを合わせた俺のオリジナルの魔法である。

 リュウの放つ水柱や、水の槍を周りの氷塊が自動ガードするとともに、自動氷結の追加効果、さらにそこからリュウに雷の攻撃が行く。

 しかしリュウは華麗に躱していく。


「へえ……雷と氷属性の融合魔法ね……面白いじゃん! いいね。 すごくいいよ‼」


 そういって攻撃の手法を変えてきた。

 水の槍から、水の銃弾に変えてきた。

 こうなってしまえば、雷を水に伝わせて攻撃するということが出来ない。

 激しい水の弾丸―――まるで、嵐の中に飛び込んでいくような感覚だ。


「くっ……水が……激しすぎる――――こうなったら、更に風の魔法を融合‼」


 氷の魔法の自動防御に、風の鉄壁を作った。

 おかげで水の弾丸は防いでいるのだが――――


「翔琉ちゃん、守ってばかりいてもダメよ」


 確かに、リュウの言う通りだ。

 これでは守りは完璧でも、肝心の決定打に欠けてしまっている。

 だが、攻撃を凌いでいる間に、どうにか作戦をたてなければ――――


「おらおらおら、翔琉ちゃん遊びましょ♪」


 リュウの激しい攻撃が更に激しくなった。

 持って残り30秒で、氷と風の防御は壊れてしまう。

 せめて、リュウの動きを封じることが出来ればいいのだが―――ん、封じる?

 それだ‼


 バキーン、と風と氷のガードは破られてしまった。


「これで終わりよ‼」


 そういってリュウの水の槍が俺を貫きかけたその時――――その槍は氷となって砕け散った。


「あれ? どういうこと?」


 と言ったリュウだが、直後に自分自身の異変に気づく。

そう、身体の動きが鈍くなっているのだ。


「これは……翔琉ちゃん……あなた、いったい何を――――」

「今この空間は生命の活動を極限までに停止させる温度、-273℃という絶対零度の状態になっている。 つまり、魔法を発動している俺以外の行動は極端に遅くなる」

「そんな事が出来るだなんて……」

「ああ、普通は出来ない。 でも、こうやって密閉空間になっていれば話は別だ」

「あははは……まさか……このデスマッチの会場を……利用されるなんて……不覚……あたしの……負け……ね……」


 そういって、リュウは気を失ってしまった。

 この勝負……俺の勝ちだ‼



 リュウが倒れた直後、湖底概念は解除された。

 俺はリュウを抱えて、地面へと降りた。

 ディルとライがそこにはいた。

 2人は勝利を確信したらしく、大喜びである。

 俺はディルに迫り


「ディル、リュウを回復させてやってくれ。 低温状態の影響で眠ってしまったんだ」

「え! それは大変だわ。 じゃあ、急いであの城へと向かうわよ」

「ディルが治すんじゃないのか?」

「私なんかより、あの城にいる世界最高峰の治癒魔導士たちが治療した方が確実でしょ」


 なるほど、それもそうだ。

 俺たちはリュウを抱えて、急いで城へと向かうのであった。


 中に入ると大勢の患者がいた。

 足の無い男、全身大やけどを負った女性など様々な人がいた。

 俺たちは、ひとまず近くにいた治療魔導士に事情を説明した。

 リュウは緊急治療室へと運ばれて行った。

 ひとまず俺たちは、城の外に出た。

 かれこれ3時間後――――リュウは城から出てきた。


「あははは~お待たせ。 もう大丈夫よ」


 そういってリュウは笑みを浮かべた。

 ディルは、彼女に詰めより


「んじゃあ、約束……守ってもらうわよ、リュウ」


 と言った。

 約束――――天野翔琉、つまり俺との一騎打ちに敗北した場合は、俺のいう事を聞くというものである。


「んで、あたしに何をさせたいわけですか?」


 とリュウは顔をムッとさせて、不機嫌そうに言った。

 俺は彼女に自分の願いを言う――――


「じゃあ、リュウ。 俺たちの仲間になってくれ」

「え? そんな事だったの? なーんだ、もっとすごいことされるんじゃないかってちょっと期待していたのに。 まあいいわ。 翔琉ちゃん、あなたのために協力しましょう。 世界最高峰と呼ばれる治療魔導士にして、水の大魔導士が1人、リュウが力を貸します」


 こうしてリュウが俺たちの仲間になった――――

 水の大魔導士リュウが仲間に加わった。

 ドラゴンクエス○などでは、仲間に加わった際には、それに対応したBGMが流れるが、現在聞こえるのは水の流れる音だけである。


「じゃあ、よろしくね――――あれ? 翔琉ちゃん、怪我してるわね。 治してあげる」

「え? あ、本当だ。 肩から血が出てる」


 ディルはそっと俺の肩に手を置いて、治癒魔法を発動させる。

 すると見る見るうちに、傷が消えていった。


「おお! すごいな。 ありがとう、リュウ」


 と俺が笑顔で言うと、リュウは頬を赤めて


「いやいや、仲間なんだし、当然でしょ」


 と言って、下を向いてもじもじとしている。

 照れてるのかな?

 そう思っていたのだが、次に彼女が発したセリフで俺は彼女がそのような行動をとっていた理由が分かった。


「翔琉ちゃん……あの……その……翔琉ちゃんが、あたしを倒したんだから、あたし傷物になっちゃったの……だから、責任もって幸せにしてね」


 そういってリュウは俺に対してキスを迫ってきた。

 え?え?えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!


 ライがそれを遮り、俺とリュウを引き離し


「何勝手に翔琉にキス迫ろうとしてんだ? この雌豚がああああ! 翔琉は俺のもんだああ!!!」


 とまあ戦闘モードになってしまったのだ。

 しかし、雌豚なんて表現は昼ドラくらいでしか聞いたことがないフレーズだ。

 まさか現実で聞くことになろうとは――――

 あと、俺はお前の物ではないぞ、ライ。


「雌豚とは何よ。 翔琉ちゃんは、あたしのものよ! あんなに攻撃受けたらもう傷物になっちゃってお嫁にもらってもらうしかないじゃないの……キャッ」


 ぽっと頬を赤めリュウは言う。

 この人も勘違いをしているようだが、俺は君らの物じゃないよ……


「はああああ?さっき回復しただろ?自分で。傷なんか残ってねえだろ?」

「さっきから何よ。ライ。あんた人間嫌いでしょ?だったら人間である翔琉ちゃんは、あたしがもらったっていいじゃないの。」

「いいや!翔琉は俺の予言の運命の人だ。俺の子供を作ってもらうんだ!俺と結婚するんだ!!!」

「はあ?だったらあたしと子供作ってもらうわよ。こう、翔琉ちゃんの……」


 痴話喧嘩が白熱したところで、ディルが2人を止めるべく雷を落とした。

 酷い――――


「落ち着きなさい2人とも。 それよりも、まずは残りの大魔導士の捜索の方が優先でしょ?翔琉のためにも」


 と言いディルが叱りつけると、あっさりと2人は大人しくなった。

 よかった――――また戦闘になるとかは、勘弁してほしいもんな。


「翔琉の……」

「ため……」


 2人は俺の名前が出たから止まったようだ。

 何とも複雑な気分だ。

 あと、2人とも俺の名前言った後に、ニヤつくのやめてくれ――――


「ひとまず、仲裁してくれて、ディルありがとう」


 と俺はディルに言った。

 ディルは、やや頬を赤めて


「いやいや、当然の事しただけよ」


 と言う。

 その光景を見ていたライとリュウは、ディルの方を睨めつけて


「あいつ翔琉にお礼言われた……」

「あたしも、もっと言われたいわよ……」


 とぶつぶつと呟いている。

 この先、このメンバーで大丈夫かな?

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