中邦の意地
「こうしてお前らレギュラーに集まってもらったのは他でもない、初戦から去年二位の法名と強敵だが、絶対に勝ってもらいたいんだ」
中邦の主将、森がレギュラー六人を集め円陣を組んでいた。その中には、初めて団体戦を戦う一年生が三人もおり、緊張している様子である。
「ここで勝たないと、早くもうちは優勝争いから脱落だ。そうなると、また一年でB級に落っこちるかどうかの勝負になってしまう」
「そんなの嫌だ!」
「せっかくのA級の舞台なんすから!」
落っこちるという言葉に反応したのか、四年生の二人から、もう落ちたくないという決意が見てとれた。
中邦はずっとA級とB級を行き来する、「エレベーター大学」という不名誉な称号が与えられていた。毎年A級に上がっては、一年持たずに降級する。A級とB級を行き来することからそう呼ばれていた。去年もB級を一位の成績で昇級したのだが、そういった事情もあり、A級での下馬評は低かった。ということで、法名相手にどれだけ迫れるかが、中邦にとって最初の正念場だった。
「もうB級には戻らないぞ、気合い入れろ!」
少しの間を空け、森は続けた。
「やるぞ中邦!」
レギュラー達は大きく声を出すと、集中しながらも楽しそうに円を崩した。そしてハイタッチが交わされる。その様子を見て、控えのメンバー達は指を咥えて見ることしかできなかった。




