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004

今日、家の近所の本屋に出かけていたら、突然警報が鳴り響いた。

驚いて視線を手元の本から上げると、なにやら街中が妙に騒がしく、店から出たところでアレを見つけた。

地上数十メートルの高度に浮かぶ巨大な球体と、其処から無数に生え、地面に突き刺さる金属の触手。

所謂、侵略宇宙人の戦術機動戦車と言うやつだ。


これは流石に拙いという事で、早速変身しようと思ったのだが、冷静に考えればコレってかなり拙くないか?

いや、変身するのはいい。勉強したのだが、スーツには基本的に力場拡散機能という機能がデフォルトとして織り込まれており、例えば刀剣による一点に集中した圧力などを、身体全体に拡散、そのまま身体の外へと逃がしてしまう、という効果が持たされている。この逆の機能として、身体全体に発生したベクトルを、拳やキックの威力に上乗せする力場収束機能と言うのも有るらしい。

なんで俺はスーツの機能説明をしているんだ。業者かと。


まぁ、いい。問題は、スーツを着た場合、身体防御機能は向上するものの、逆にあの多脚戦車に目を付けられかねない、と言うことだ。

正義の見方と言うのは、侵略宇宙人にとっても目の敵だ。なにせヒーローは多脚戦車と大砲で戦えてしまうのだ。対人制圧兵器と平然と戦える人間なんぞ、さっさと駆逐してしまいたいに限る。俺だったら先ず戦力を其処に集中させる。


そういうわけで変身を見合わせようかな――なんて思ってしまったのだ。まぁ、流石に出来なかったが。

こう、見えてしまったのだ。崩れ落ちる瓦礫に巻き込まれそうなガキの姿を。


気づいたら飛び出して、そのまま掛け声無しに変身すると言う高等技術をカンだけで発動。

俺ツエー状態のままガキに飛びついて、瓦礫の落下予測地点から離脱。危なかった、スーツを着用していなければ即死だった。


んで、ガキも助けたので、ついでにそのまま避難誘導に移る。

多脚戦車を倒さないのか、と効かれれば、無理だと答える。だってあのタイプの戦車、大抵がバリア積んでる。俺のDランク武装なんかではとてもではないが突破できない。せめてCランクの大型兵装でもあれば別なのだが。


とか思っていたら、なにやら戦車に向けて空を飛ぶ人影が。

漸く来たかヒーロー。とか思ってみてたら、そのヒーローが滅茶苦茶に暴れだした。

チクショウ、何だあいつは!! 全身をメタリックな装甲で包んで、背中から吹くスラスターで飛行してる。メカ系ヒーローとか。


敵の戦車を倒してくれるのはいいのだが、その残骸を適当に放置したり投げ付けたりと派手に暴れてくれる所為で、四方八方に戦車のパーツが飛散する。

おかげで此方はその残骸処理におおあらわ。


で、ちょっと俺の処理能力を超えかけた。

だってさ、俺はESP適性はある。直感というかテレパスというか、そういう類の能力も、何となくだがあるだろう。

ただ、相手は飛散する、それこそ悪意も敵意も無くただ無慈悲に降り注ぐ鉄の塊だ。

視覚以外に察知する方法が無い。


おかげで少し被弾した。鉄片が貫通して、脇腹内蔵がグチャってる。一般人なら致命傷になりかねない。

まぁ、俺は逸般人だからなんとかなるが。


流石に拙いので、ここでポイント使用のスーツ機能拡張を使う事にした。

一つはマルチセンサー機能。光学、温熱、音源、動作探知などの各種センサーをスーツに実装し、データをバイザーに表示してくれると言うシステムだ。コレならば俺の直感に頼らない機械的、もしくは偶発的な事態に対処しうる。


そう思っていた時期が、俺にもありました。

無理です。起動した瞬間、物凄い数のブラウザが立ち上がり、危うく視界が潰れて瓦礫を迎撃し損ねるところだった。


と言うわけで、もう一つシステムを起動。サポートAIシステムだ。

で実装した結果、何故か女性ヴォイスのAIが起動した。俺の趣味ではない事を先ず記す。

なんでも基本的にサポートAIは、ユーザーと逆の性別になるらしい。


で、その自称学習型サポートAIは、俺の行動履歴から現状を推測、即座に俺の行動履歴から逆算した行動目標を予測。システム上のデータを整理してくれ、更にスーツの与圧機能を調整して、スーツがダメージを補助するように最適な数値を入力してくれた。


AIマジパネェ。


と言うわけで準備完了したところで、再び迎撃行動に移行した。

ら、もう凄い事。

AIがセンサー系のデータを使った簡易火器管制制御を作ってくれたらしく、脅威度順に迎撃していくと、先ほどまでアレほど必死になって迎撃していたのがまるで嘘のようにあっさりと片付いた。


で、どうやら近隣の多脚戦車の処理が終わったらしく、フルメタルなヒーローは高笑いを上げながらいずこかへと飛んでいってしまった。

俺もその時点で家に帰ることにした。



で、帰ってから気づいたのだが、何か褒賞得点が加算されていた。

なんでかと首をかしげていたところ、AIがWHMにレポートを送信し、その結果として得点が送られてきたのだそうだ。

なんだろう。もしかして俺、とてもいい買い物をした?



礼を述べたら、対価に名前が欲しいとか言ってきた。

ので、悩みに悩んだ結果キャナルと名付けた。

自分のネーミングセンスの無さにほとほと涙が出そうだ。




取得点数:30点

既得点数:58点

使用点数:35点--成長型自立支援型AI(20点)、マルチセンサーシステム(15点)

合計点数:53点

装備品:デバイス(カードケース型)、エナジーガン(D) 成長型自立支援AI、マルチセンサーシステム。

※成長型自立支援AI――ユーザーの特性に合わせて成長するAI。

※マルチセンサーシステム――光学、熱源、音源、動体反応など、様々なセンサー系を実装する。


New!! デフォルトスーツのレベルが上昇しました。

総合得点数100点を超過。スーツのフォーマットが進行しました。これにより、スーツの性能が向上し、デザインが若干変更されました。

※侵略宇宙人 対処ランクC

敵対的な宇宙人。インベーダー。

今回の場合は軟体生物型。通称タコ野郎。

進んだ技術力を持つ宇宙人。地球を植民地化しようとしているのでは? と言われている。

固体の戦闘能力は高くないものの、触手による同時攻撃は脅威的。ただし1Gに長時間耐えられる肉体構造をしていない為、滅多に直接戦闘になることは無い。


※多脚戦車 対処ランクC

インベーダーの侵略兵器。主に古典的火星人型(軟体動物型)が運用する。

タコとクモの中間のような奇妙な動きをする機械兵器。脚部はキャタピラ装甲になっており、それ自体が強靭な武器になる。

本体は通称コアと呼ばれており、調査の結果フロートシステムで自重を軽減している事がわかっている。

多脚戦車と呼ばれているが、脚は体重を支える為のものではなく、寧ろ攻撃兵器やアンカーとしての役目が主たるもの。

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