003
○月▼日
本日三度目の出動があった。
やはりさぼろうと思っていたのだが、事件発生現場が近すぎて断れなかった。
今回の仕事は、いつものサイコパス撃退−−ではなく、事故現場の後片付けだった。事件どころか事故対処ですらない。
まぁ、楽な仕事だろうと楽観視していた。
とか思っていたら、何かやばいのか出てきた。
全身を黒い霧で構成した、いつかのサイコパスの投影体のような、けれども直感的に感じるのはそれを圧倒的に上回るプレッシャー。
教官がそれのことを〈ゴースト〉とか呼んでいた。事故死した飲酒運転ドライバーの怨霊だそうだ。阿呆くさ。
人に迷惑かけて死んで、死んでさらに迷惑をかけるとか。
相も変わらず突撃一筋の訓練生諸兄。俺はいつも通りに見学に励んだ。
今回は想定外の敵の出現という事もあって、指導の教官も前線にたった。
今回の敵はお化け−−霊体と言うこともあり、敵の攻撃手段はポルターガイスト。いつぞやのサイコキネシスに近かった。直接衝撃波を飛ばしてくるか、物体を投げつけてくるかという違いはあるが。
んで、不意打ち気味に飛来するゴミになぎ倒される訓練生諸兄。
前回みたいに壊滅されても的がこちらに向くだけなので、今回は連中のサポートをする事にした。
悪意は大体わかるので、そこに向けてトリガーを引くだけの簡単なお仕事です。
まぁ、日記にこんなジョークを書いて如何するんだとも思うが。何で俺、自分の日記にセルフボケツッコミしてるんだろうか。
さて、そういうわけで今回の仕事はわりとあっさりと片がついた。
何せ相手はCランク上位に分類される敵らしく、教官が前線であっという間に倒してくれたからだ。
うん、凄かった。マキシマム☆スピードで急接近してマキシマム☆ストリングスで殴ってお払いとか。
死んでもあんな化け物相手にしたくない。俺が死んだら大人しく成仏しようと思う。
さて、そういうわけで討伐自体は簡単に終わった。予定外の討伐という事で、報酬も余分に加算されるらしい。まぁ、ラッキーか?
問題は、残された瓦礫の撤去。
只でさえ車が突っ込んで火事が起こり、それが鎮火して脆くなっていた廃屋、その真上であのゴーストが大暴れしたのだ。
モロくて危険地帯と化した事故現場に、しかし残されているマンパワーと言えば、ゴースト相手にペース配分も考えずに吶喊し地面に沈み込む息の荒い訓練生が数多。
で、何故か俺がほぼ一人で力仕事をする羽目に成った。
あの教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め教官め。
おっと、自分で書いててこれは引く。消そうと思ったが、ボールペンで書いてしまったので残しておく。
あのナノスーツな教官は何時かシメる。シメれる位にヒーロー続けてたら、だが。
んで、本日の報酬はというと、見てびっくりした。
なんと、今回の入手得点、40点近く入っていた。
確か一つの任務での最高得点が20点前後と言う話だから、単純に考えて2倍と言うことだ。
あ、いや。違う。そうか、災害現場の後始末とゴースト退治の、二つの任務という事か。
うーん、判断基準が今一わからない。
まぁ、災害現場の後片付けは殆ど俺一人でやっていたから、高得点と言うのもまぁ頷ける。
だが、だとすると残り二十点はゴースト退治で得た得点と言うことになるのか?
うーん、俺サポートしかしてなかったんだけど、何でだろう。
もしかして、下手に特攻しなかったから? それとも特攻してた馬鹿をサポートしてたから?
うーむ、解らん。
今度もし参加する機会があれば、その時他の見習いに相談してみよう。
取得点数:40点
既得点数:18点
合計点数:58点
今回の取得装備:無し。
装備品:デバイス(カードケース型)、エナジーガン(D)
※ゴースト 対処ランクC~
死した人間の精神が世界に焼きついた残像。コピー機にこびりつく鉛筆の黒鉛みたいなもの。
肉体が存在しない為物理的な攻撃の一切が通用しない。その為、精神的な攻撃手段を持たない場合はほぼ一切無力になってしまう。
低級のゴーストは敵意を初めとする強力な意志を叩きつける事で退ける事が出来るが、上級のゴーストになるとソレすらも糧としてしまう。
また肉体が存在しない為、力の上限が存在しない。周囲の空間に残る怨念や瘴気を吸収し、時間と共にその規模を拡大させていく。
霊障系では最も基本的な怪異でありながら、最も危険な怪物。