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パラダスト  作者: りぃーと劉華
第一章
6/12

セイヤ護衛部隊設立

~セイヤ~


 教室に入った後はとりあえず、面倒だった。

 授業中に急に飛び出したもんだから教師にしこたま怒られた。俺より年下の奴に怒られるっていうのはまた面白いものだったが面倒なもんは面倒だ。

 教室に戻るとクラスメイト達にガン見される。そりゃそうだ。転校初日にあんな事やらかしたらなだれでも見ちまうよな。

 目立ってはいけないはずなのになんだかんだでいきなり目立った行動をしたような気がする。


「迷惑掛けてすみませんでした。まさかあの人がここまで来るなんて思っていなかったんですよ」


 とりあえず謝る。ここで本当の俺を出す理由もないのだから好青年を演じればいい。

 そんな事を思いながら席に着くと横の男子Aがニヤニヤと気持ちの悪い顔をしながら喋りかけてきた。


「おい、転校生。あの美女はなんだ?」


 美女?・・・・美女・・・・だれの事だ?心当たりが全くない。


「えっと・・・・・・誰の事?」


「おいおい、そりゃないぜ。あのフリフリの服着て教室に押し掛けてきた美女の事だよ」


 ああ、あいつか。ってアレが美女?こいつは頭がいかれているのだろうか。ないないないない。アレが美女ってないだろ。

 と思っていても言葉には出さない。


「あの人はちょっと知り合っただけで付きまとってくる・・・・・・ストーカーかな・・ハハハ」


 まあ、遠くはないだろう。近いとも言い難いかもしれないが。どうせあの女に聞かれることもない。


「セイヤ君にストーカーだって!?」


 何所からか黄色い悲鳴とともにそんな声が聞こえてきた。

 なんだか雲行きが怪しくなってきたような気がする。

 つか、別に俺がストーカーにあってもいいだろ。そんなに驚くことじゃないからもうほっといてくれ。


「いいじゃんか、美女にストーカーとか。俺だったら逆に待ち伏せしてやる!」


 何を宣言してんだ男子A。んなことしたら俺は牢獄行き、悪けりゃ死刑だぞ。

 そんな事を思っている俺のことなどつゆ知らず、教室は美女らしいルネア・レビレスについての話題に盛り上がって行く。


「なんなのよ、あの女。ちょっと知り合ったぐらいでストーカーとかあり得ない」


「セイヤ君は私たちのものなのにね」


 なんだかわけのわからん会話が聞こえている気もするが聴こえないふりをするのが一番だ。っていうか寝る。

 机に伏して寝始めたセイヤのことなどお構いなしにクラスの女子たちはセイヤ本人の前だということも考えず、言いたいことを言い始める。


「私たちがセイヤ君を守ろうよ」


「そうだよ。こういうときこそファンクラブの出番よね!」


「じゃあさ、ファンクラブの名前、セイヤ護衛部隊にしない?」


「いいかも」


 クラスの女子の大半がそんな話をしている中、だた一人だけ話の事を馬鹿らしく思いながら本を読んでいる女子がいた。


「アホらし」


「お前はなんだか面倒そうじゃないな」


 いつの間にかおきていたセイヤは目の前で本を読んでいる女子Aに話しかけた。


「なあ、何なんだ?さっきからこの教室の女たちは」


「あんたのファンクラブ、セイヤ護衛部隊の会議やろ」


「ファンクラブだと?なんでそんなものがある」


 そう問いかけると女子Aは本を閉じて俺と向かい合った。

 そして嫌味なのか褒め言葉なのかわからない言葉をぶつけてきた。


「あんた、顔は良さそうやからな。何も考えてない女たちはファンクラブを作りましょうなんて言い出したんや。うちはあんたみたいなわけのわからん奴なんか絶対に無理やし、どうでもいい。つか、変装のへたくそな奴の本当の顔なんて知りたないわ」


 なんだか変な喋り方をする女だ。

 っていうかこいつにも変装がばれてる!?これは変装を誰かに教えてもらう必要があるかもしれない。といってもカラコンを入れて伊達眼鏡をかけているだけなのだが。


「君、名前は?」


「うち?うちの事は皆アズって呼んでる」


「ドチビの間違いじゃね?」


 女子A――アズと話していると男子Aが割り込んできた。


「うるさいわ!そう呼んでんのはカイぐらいやろ!」


 これからお世話になりそうなアズとカイ。名前を覚えないでそんはないだろう。それにいつまでも男子Aと女子Aって言うのも失礼だろうし。


「ところで、なぜドチビなんだ?」


「そりゃ勿論背が低いからに決まっでぐぁっ!」


 カイの顔ににアズの回し蹴りが決まった。意外にもその回し蹴りは強かったようで椅子に座っていたカイは椅子の上から落ちた。


「チビちゃうし!あんたがすこーし背ェ高いだけやろ!」


 そう言いながら椅子の上から蹴飛ばされたカイを見下ろしているアズは確かに小さかった。たぶん、百五十五センチメートルには到達していないだろう。


「ああ、なるほど。小さいな」


 セイヤが率直に意見を述べると今度はセイヤに向かってアズの蹴りが飛んできた。しかし、伊達に天使から長年逃げて来たわけじゃない。セイヤはいとも簡単にアズの蹴りを受け止めた。


「女がそんな足を振り回すな。しかも今君はスカートだぞ。君は女の子らしくないからかスパッツをはいているようでよかったけど、もしスパッツをはいていなかったら恥ずかしい事になっていたぞ」

 

 そう言いながらもセイヤはふりあげられているアズの足を離そうとしなかった。

 セイヤ本人は別にスパッツはいてるんだしいいだろ?的な考えなのだが、世間一般的にはそうはいかない。


「あんたいつまで足持ってんねんっ!!」


 アズは顔を赤くしながらセイヤの手から足を無理やりひきはがすとその勢いのままセイヤの顔面に拳をぶつけた。今度は見事にクリーンヒットして立ち上がっていたセイヤはできるだけ衝撃を和らげるためにわざと後ろにこけた。


「痛い」


 セイヤはカイの横に並んだ。


「あはは、一緒」


 すでに立っている楽しそうに笑っているカイだが、顔の蹴られた部分が赤くはれている。セイヤはなんとか受け流してそこまで喰らわなかったから腫れるほどではないし、アズの力はセイヤに傷をつけるほどの力はない。


「お前ほどやられてない」


 むくりと起き上がったセイヤはカイを見ながらぽつりとつぶやいた。


「お前も背が低い」


「セイヤが高すぎるんだよ!俺はこれでも百七十センチメートルあるんだ!」


「そんでもチビはチビやろが!」


「それ、お前に言われたくない」


「だから両方チビだって」


「あんたがでかいんや!」


「そうだそうだ!俺は標準よりチョイでかいくらいだぞ!」 

  

 ああ、楽しい。こんな馬鹿みたいな話をしていて少し楽しい。こんな日常がこれからもずっと続いてくれるなら、俺はずっとここに住んでいたい。

 珍しく他人とこんなにも楽しく会話をしているセイヤは自分の事が会議にかけられているとは思いもしなかった。

はい、楽しそうですね、セイヤ君ww


こんな日常が続けばいいのにって俺も願います


んじゃ、次はりぃさんお願いしますっ!

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