32話 氷の魔石を求めて
『遂に新しい魔法陣へ行きますのにゃ!』
『わぁ、やったー! 新しい所の冒険だー♪』
盛り上がるルキちゃんとウル。
ラフちゃんとゴブくんは寒いところは苦手とのことなので、お留守番をして畑の面倒を見ているそう。
「じゃぁ、新しい所へ行くメンバーは私とルキちゃんとウルでいいね?」
「ほっほー……」
『ワシも行こう』
長老がパタパタと飛んで来てウルのもふもふな背中にズボッと埋まった。
「長老も来てくれるの? 知らない素材の鑑定が出来て助かるかも〜」
「ほっほー……」
メンバーが決まった所で次は防寒具を作ることに。
しかし、ウルも長老も元からもふもふのもふなので防寒具は特に要らないとのこと。念の為マフラーを作って首に巻いてあげた。
ルキちゃんはもふもふだけどガッチリ装備して行きたいとのことなので、私とルキちゃんでお揃いの魔法使いが着るローブをクラフト。内側がふわふわしている暖かいやつだ。
防具もローブなんかは染料が充実してきたおかげで色んなものが作れるようになっている。防具の納品依頼をこなしていくのもありだなぁ。
さて、自分とルキちゃん用にミトンとブーツも作り、雪国へ行く準備は出来た。
「じゃぁ、行ってきます♪」
『行ってらっしゃーい! 気を付けて〜』
『行ってらっしゃいだべさ〜』
全員ウルの背中に埋まると、ラフちゃんとゴブくんに見送られて目的の転送魔法陣へと出発した。
⸺⸺
『到着〜』
やがて目的の転送魔法陣へと辿り着くと、ウルはシュルシュルと身体を縮めて小さくなった。私たちは自然とウルから降りる形になる。
「ウル、ありがとね。あっ、この魔法陣にも石版の置き手紙があるね」
転送魔法陣の隣に落ちている石版を覗き込むと、マルシャンの魔法陣の隣にあった石版と同じことが書いてあった。
『どの魔法陣を最初に見つけてもいいように全部の魔法陣に手紙を置いてくれていたのですにゃ』
「そういう事だね。そうだ、お礼のメッセージを書いておいたら女神様に届くかな?」
私はウエストポーチからペンを取り出すと、石版の隅の方に【素敵な魔法陣をありがとうございます。この無人島ももらえたスキルも最高です。ユノ・カグラ】とメッセージを残しておいた。
「よし、じゃぁ行くよ? いっせーのーで!」
みんなでぴょんとジャンプして、一緒に魔法陣の上に乗り、まだ見ぬ地へと転送された。
⸺⸺⸺
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視界が開けると、そこは一面雪原だった。幸い天候は晴れているようで、遠くの方に町のような影が見える。
「うわぁ、雪しかない! 顔が寒い! もふもふになって来て正解だったね、長老」
「ほっほー……」
長老はバサバサと飛び上がると、私のローブのフードにすっぽりと収まった。それ良いな、楽だし暖かそう……。
『今回は町の中じゃないのですにゃ……』
『あっ、あっちの方にあるの、町かな? オイラがそこまで連れて行ってあげるよ』
ウルはそう言って大きくなる。
「ウル最高! ルキちゃんは念の為結界をよろしくね」
『はいですにゃ』
ルキちゃんがすぐに結界を展開してくれた。これで魔物も寄り付かない。
私たちは再びウルの背中に埋まると、向こうの方に見える町へと向かうのであった。