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14話 星空キャンプと思い出

「わぁ、お星様がすごく綺麗! そうだ、海岸ならもっとよく見えるかも!」

 そう言ってファストトラベルを開くが、ウルユ島で登録していたのは“拠点”だけだった。


「あーん、海岸も登録しておけば良かった〜」

 がっくしと肩を落とす私。

『それなら、ファストトラベルの登録をしに、みんなで散歩に行ったら良いのですにゃ♪』

「あっ、良いねぇ、夜のお散歩♪ せっかくだからゆっくり歩いて行こう」

「わぉん、わぉーん♪」


 ルキちゃんが勇者の光で“結界陣”の展開をしてくれる。これのおかげで道中魔物に()うこともなく、夜のお散歩を楽しむことが出来た。


⸺⸺海岸⸺⸺


 やがて海岸へと辿り着き空を仰ぐと、1つ1つの星が拠点で見上げたときよりも強く煌々(こうこう)と輝いていた。

「わぁ、プラネタリウムだ……!」

 まず目に入ったのは大きな青白いお月様。

「あれって青いけどお月様なのかな……? それとも別の惑星……?」

『お月様だよ♪ お月様は青いのが普通だよ?』

 ウルがそう答えてくれる。現地人がいるとこう言う疑問もすぐに解決して助かる。

「そうなんだ。私たちのいた世界はね、お月様はうすーい黄色だったんだよ?」

『えっ、黄色? 変なの〜!』

 ウルはそう言ってクスクスと笑う。いつか私も黄色い月なんて変だって、そう思うようになるんだろうなぁ。


「そうだ、ウル。背中に寝転がっても良い?」

『もちろん良いよ! はい、どうぞ♪』

 ウルはそう言ってペタンと伏せをしてくれた。

「ありがとう、お邪魔します♪」

『僕も失礼しますにゃ』

 うんしょ、よいしょとウルの背中によじ登り、仰向けにボフッとダイブした。もふもふで温かくて、幸せいっぱいで寝てしまいそうだ。

 今寝ちゃったらもったいない。もっとこの星空を堪能したい。その一心でみんなと共に空を見上げた。


『あっ、あそこに輪っかの付いている変な星がありますにゃ!』

「本当だ〜、土星みたい! 肉眼でも確認出来るんだね……ってか、猫って視力悪くなかったっけ?」

 確か超近視なんだよね。

『それが、この世界に来てからピントがバチッと合って色んなものがよく見えるようになりましたにゃ』

「そーなの? じゃぁ、ルキちゃんもこの世界に来て良いことがあったんだね♪」


『僕は、ユノが拾ってくれてからずっと良いことばかりでしたにゃ。この世界に来てからも、その良いことの延長ですにゃ』

「ルキちゃん〜! 懐かしいなぁ、ルキちゃん、まだ赤ちゃんで雨の日に道路の隅でブルブル震えていたんだよね……」

『僕はまだ赤ちゃんだったのに、お母さんにもう独りで生きていけるでしょって言われて追い出されたのですにゃ。野良猫界は厳しいのですにゃ。あのまま死んじゃうかと思ったら、ユノが助けてくれたのですにゃ。僕は、あの時のご恩を絶対忘れないのですにゃ』


「元気になって良かったよね、ルキちゃん。私もね、ルキちゃんが家で待っててくれたから今までお仕事頑張って来れたんだよ。これからはお仕事の時もずっと一緒。ウルも、これから3人で色んな想い出作っていこうね♪」

「わぉ〜ん♪」

「ごろにゃぁ〜♪」


 ゆっくりと、のんびりとした時間が流れている。やがてウトウトしてきた私は、パンパンとほっぺを叩いてファストトラベルを開くと、“海岸”を登録して“拠点”へと戻った。


 そして、テントの中でみんなで寄り添って眠りにつくのであった。


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