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お買い物にいこう!①

「あら、ジェーン。ずいぶん難しそうな本を読んでるのね」


 夕食を片づけたダイニングテーブルでジェーンが読書をしていると、カレンが横にやってきた。

 『元素図鑑』。そのタイトルを目に入れただけで頭が痛くなり、持っているだけで手がしびれてくるぶ厚い本を置き、ジェーンは目をこする。


「職場のレイジさんに『お前は魔力あっても頭すっからかんだから、本読んで少しは知識詰めろ』と言われたんです」

「とても素直な言い方する先輩なのね。でもこの本はその人が貸してくれたのかしら?」


 カレンは苦笑をにじませつつ、図鑑をぱらりとめくる。


「はい。これと同じくらいぶ厚い本を三冊持たされました」

「むしろ嫌がらせかしら!? い、いえ、親切よね。きっと……」

「ジェーンちゃんはもう少し易しい入門書からはじめたほうがいいんじゃないスか?」


 そこへペットボトル片手に、キッチンからルークも会話に加わる。ジェーンはパッと表情を明るくした。数日前から考えていた計画を実行するのは今しかない。


「そうなんです! 私もそう思ってました。それで図書館に行きたいんですけど、道とか利用法がわからなくて……。ルークかカレンか、明日いっしょに行ってくれませんか!?」


 明日は水曜日。クリエイション・マジック・ガーデンの定休日で、大半の従業員は休みだ。だが、頼ろうと思っていたダグラスは、職場の者と遊びにいくと夕食の席で話していた。プルメリアも友だちと出かけると言う。

 特に予定を口にしていなかったカレンとルークに、ジェーンは手を合わせてお願いする。シェアハウスとガーデンを行き来する日々。通勤路から外れたら最後、帰ってこられる自信はなかった。


「俺はいいっスよ。暇だし」

「私もちょうど見たいものがあるから、行くわ」


 快く引き受けてくれたルークとカレンに、ジェーンは喜びがあふれる。


「ありがとうございます! じゃあじゃあ、銀行もいいですか!? あと日用品や食料品も!」

「欲望が留まることを知らない!」


 ルークのツッコミが飛ぶ。


「いろいろ買い物したいのは仕方ないわよ。ジェーンは通勤かばんだって紙袋でがんばってるんだから」

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